政策

国交省 地価LOOK 21年第2四半期 住宅地で上昇地区増、商業地は「下落」最多に

 国土交通省は8月20日、21年第2四半期版(21年7月1日時点)の「地価LOOKレポート」をまとめ、公表した。主要都市の高度利用地として全国100地区を対象に四半期ごとに実施し、先行的な地価動向を明らかにするもの。第2四半期の地価動向は、上昇地区数35地区(前期比7地区増)、横ばい地区数36地区(同9地区減)、下落地区数29地区(同2地区増)となった。

 用途別(右図参照)に見ると、住宅地では下落は前期に続き0地区だったが、横ばいは8地区に減少。他方、上昇は24地区に増加しており、「マンションの販売状況が堅調な中、事業者の素地取得の動きが回復している地区が増加している」(同省不動産・建設経済局地価調査課)。商業地では、前期から大きな変化は見られなかったが、コロナ禍で店舗等の収益性が低下し下落している地区があるなど、一部で弱い動きが見られた。11ある上昇地区は、中核都市の駅前通りや大型商業施設を有するなど共通項がある。 

 変動率区分に着目すると、84地区は前期から変わらない一方、12地区で上方に、4地区で下方に移行した。上方に移行した12地区のうち、横ばいから上昇に移行したのは7地区。そのうち商業地は駅前再開発などで繁華性の向上が期待される中野駅周辺(東京都中野区)のみ。住宅地が6地区を占め、3地区は湾岸エリア(東京都中央区、江東区)となり、マンション販売の堅調さを示す結果となった。

オフィス動向に影も

 また、横ばいから下落に移行した4地区はいずれも商業地で、3地区は東京・丸の内や八重洲などのオフィス地区となった。同課では「空室率の上昇と賃料下落による弱含みが見られる。コロナ禍による影響が顕在化し始めるのか今後も注視が必要」と慎重姿勢を示した。ホテル需要が上昇をけん引してきた金沢駅周辺(石川県金沢市)でも、観光客数の減少などの影響を受け、下落に移行している。

 圏域別に見ると、三大都市圏(77地区)では、上昇28地区、横ばい27地区、下落22地区となり、東京圏と大阪圏では前期から上昇地区数が増加。地方圏(23地区)では、上昇7地区、横ばい9地区、下落7地区となり、おおむね住宅地が上昇、商業地が横ばいという傾向が見られた。