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住友林業 今期の取り組み DX活用し営業手法や商品など見直し ニューノーマルと脱炭素対応

 住友林業は、今期(21年12月期)の取り組みとして、コロナ禍が完全に収束しないことを前提とし、ウィズコロナ・ポストコロナへの対応強化や財務基盤、ガバナンスの強化を打ち出した。ポストコロナ社会をにらみ、「ニューノーマル」への対応と「脱炭素社会」に向けた流れをビジネスチャンスに変え、新たな成長戦略の足掛かりとする。光吉敏郎社長は「お客様の購買行動や市場の変化、それに対する営業手法や商品開発、サプライチェーンのあり方など見直しが必要なものを明確にし、その対応に迅速に取り組む」と語った。

 21年12月期は、ウィズコロナ・ポストコロナの対応を強化する。各セグメントの具体的な取り組みとしては、住宅・建築事業では、リアルデータ活用やデジタルマーケティングを含めたDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、注文住宅やリフォームにおける商品提案力や営業力を高める。国内の注文住宅は、緊急事態宣言で住宅展示場来場が大幅に減少。その代替として、ウェブやデジタル対応による顧客への情報提供を通じて、必要に応じて住宅展示場での商談に誘導する「ニューノーマルに対応」(光吉社長)した営業手法を確立する。

 また、労務費の上昇を踏まえ、施工の合理化と工期短縮を数年間かけ段階的に取り組む。そのほか、中大規模の木造建築市場開拓や、グループ会社である熊谷組やコーナン建設とのシナジーの発揮を目指す。

 新たな収益の柱となった海外住宅・不動産事業については、米国で1万1000戸、豪州で3500戸の販売を計画。米国、豪州をはじめアジアなどで、戸建て住宅事業と不動産開発事業の持続的な成長と事業領域の拡大など環境変化に対して耐性が高い事業ポートフォリオを構築する。

 木材建材事業は、国内の新設住宅着工に連動しない事業の拡大や、設計支援といった取引先向けDXの推進による付加価値提案などに取り組む。資源環境事業では、再生可能エネルギー300メガワット体制の実現やインドネシア植林地における管理面積拡大などを進める。

9カ月間比較で過去最高益

 一方、同社の20年12月期連結業績は、決算期変更に伴う4~12月の9カ月間。そのため、20年3月期第3四半期との比較となる。米国住宅市場が低金利や政策支援により活況で、海外住宅・不動産事業が伸びたことで増収増益となった。9カ月間の第3四半期ベースで経常利益は過去最高を更新した。

 セグメント別では、海外住宅・不動産事業が売上高3524億円(前期比25.8%増)となり、これまで最大の規模だった住宅・建築事業の3323億円(同3.6%減)を上回った。木材建材事業は、新型コロナに伴う国内外の市況低迷で減収減益。住宅・建築事業は、足元の住宅市場は回復基調である一方、注文住宅の工事進ちょくの遅れや、リフォームの完工高不足による減収減益となった。

 海外住宅・不動産事業は、米国の戸建て住宅事業において1万戸販売体制を整えたことなどにより、大幅な増収増益。資源環境事業は、木質バイオマス発電事業が堅調に推移したことから増収となる一方、植林事業会社の連結子会社化に伴う段階取得差損などにより減益となった。

住友林業

決 算 20年12月(9カ月 )

売上高 8,398億円 (--%)

営業利益 474億円 (--%)

経常利益 512億円 (--%)

当期利益 303億円 (--%)

予 想 21年12月

売上高 1兆2,570億円 (--%)

営業利益 725億円 (--%)

経常利益 800億円 (--%)

当期利益 480億円 (--%)