政策

緊急事態宣言拡大 大都市圏中心に感染抑止 賃料支援は申請期限を延長

 政府は1月13日、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法(新型コロナウイルス感染症対策特措法)に基づく緊急事態宣言の対象として7府県を追加した。同月7日に1都3県に宣言を発出してから、6日間での対象拡大となった。同宣言に基づく対策や要請、それに伴う支援、対象期間などに変更はない。また、菅義偉内閣総理大臣は13日の会見で全国拡大の可能性について問われたものの、今後の方針については語っていない。

 今回緊急事態宣言の対象地域として追加されたのは、栃木県、岐阜県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県。ただし、今回追加された地域以外でも、新型コロナウイルスによる感染が拡大している地域では、飲食店の営業時間短縮など同宣言で示された対策を講じた場合に、「同宣言に準じる措置」(菅総理)として対象地域と同様の支援を行う方針だ。

関連業者に一時金

 同宣言に基づく営業時間短縮に応じた飲食店等に対しては、1日最大6万円の「協力金」が支給される。また政府は追加支援策として、飲食店に限らず、同宣言の影響を受けて売り上げが減少した事業者に対しても「支援一時金」を支給することとした。

 この一時金の対象は、宣言対象地域の飲食店と取引がある農業者や飲食料品業者、備品提供業者等のほか、外出自粛の影響を大きく受ける宿泊・観光施設、タクシー事業者など。こうした分野の事業者で、1~2月の売り上げが前年比で半減した場合には、最大で法人40万円、個人事業主等20万円を支給する。

 加えて、緊急事態宣言の発出および拡大を踏まえ、政府は前回の宣言を受けて創設した「家賃支援給付金」と「持続化給付金」について、1月15日までとしていた申請期間の延長を決めた。経済産業省によると、「必要書類の準備に時間を要するなど、特段の事情がある場合」に限られるものの、申請書類の提出期限を当初から最大1カ月延長し2月15日までとした。

 申請期限の延長期間中に両支援金を申請する場合、家賃支援給付金については「期限に間に合わない特段の事情」についての書面が必要。また持続化給付金については、支給要件である売り上げ減少の対象月は20年12月に限られ、1月31日までに期限延長を別途申し込む必要がある。

今後の展開は不透明

 短期間での対象追加について政府は、宣言発出の判断材料となる指標が一定値を超えたタイミングが、東京圏とそれ以外に時間差があったことなどを理由としている。

 厚生労働省のまとめによると、東京都は20年末ごろから新規感染発覚者数が急上昇し、21年に入ってから800人前後で推移したのち、連日のように過去最高を更新。また東京に隣接する3県においても、おおむね同様の感染発覚者数増加が見られた。

 他方、今回追加された7府県についてはばらつきも見られる。政府は宣言発出の判断基準としている指標について、新規感染発覚者の数だけでなく、各地域の医療体制や病床利用率も考慮していると説明。また人口規模の大きさに伴う他地域への影響や、各自治体の首長からの要請も判断材料になったと思われる。

 とはいえ、今後対象地域や期間が拡大・縮小されるかどうかは不透明。今回までに対象となった11都府県以外の地域においても、今後の国や自治体等の方針変更を想定した対応策を検討しておく必要がありそうだ。