災害とマンション ――コロナで混迷加速 (4) 旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所副所長 大木祐悟 非常時の意思決定体制 テレビ会議には規約変更が必須

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大木祐悟氏

 マンションの意思決定の基本は総会です。これまでは、マンションが被災したときの復興を考える際は、避難した区分所有者にどのように連絡を取るかということを中心に考えていましたが、今回の感染症騒動により、総会をすることそのものがリスクであることに気付かされました。そこで最終回では、この場合の対応について考えてみます。

 最近は、テレビ会議が至るところで行われていますし、現実にZoomを使った集会の可否に関して管理組合から質問を受けることもあります。この件について結論から言えば、規模が小さなマンションを除くと区分所有者集会をテレビ会議で対応することは物理的に難しいと思いますが、理事会であれば技術的には十分に対応が可能であると思います。

 ただし、その場合でも規約の変更は不可欠です。

 すなわち、総会、理事会(以下「会議」といいます)共に規約において「定足数」が決まっていると思いますが、多くはテレビ会議について想定した規定になっていないのではないでしょうか。そうだとすれば、テレビ会議を想定した会議の運営ができる規約を設定することが必要となります。例えば、あらかじめ登録したアドレスからEメールを会議の招集者に送信した上でテレビ会議の参加を確認する手法や、会議の議事についての議決権行使書をEメールに添付して送信することで書面出席をする等の工夫で対応できるものと思われます。

 なお、このような形で理事会を運営することができれば、総会は議決権行使書や委任状で対応することも可能です。この場合は、当日は総会に出席しなくても理解できるように議案を丁寧に作り、少し余裕を見て招集をする等の工夫も必要かと思われます。

電磁的手法の規定

 ところで、02年の区分所有法の改定の際に、「電磁的手法」による議決権行使の規定も設けられていますし、標準管理規約でも電磁的手法にかかる規定のオプションが提示されています。現状は電磁的手法の採用を実施している管理組合はあまり多くないと思いますが、これを機会にこの規定について考えてみるべきでしょう。

 今回の感染症騒動で、働き方や社会の仕組みも大きく変わる可能性が議論されていますが、管理組合の活動も大きく変わるきっかけになるようにも思います。マンションの意思決定には区分所有者の合意形成が課題であるといわれていますが、一方でマンションには様々な知見を有する人がいるので、十分な準備をした上で意思決定が合理的にできる仕組みを構築しておけばいろいろなことに対応が可能です。万が一に備えて十分な準備をしましょう。

 (おわり)

 おおき・ゆうご=83年早大商学部卒。同年旭化成工業入社。現在は、旭化成不動産レジデンスマンション建替え研究所副所長、定期借地権推進協議会運営委員長、NPO都市住宅とまちづくり研究会理事ほか。日本不動産学会会員、都市住宅学会会員。借地借家問題、定期借地権活用、空き家問題、生産緑地問題等を中心とした不動産有効活用と、マンション管理、マンション再生問題、被災マンションの復興問題等の講演や論説多数。

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