総合

大言小語 退化しない覚悟

 日本の政治は進化しているのか、退化しているのか。民主党の代表選がスタートしたが、国民の関心は今一つ。3人が立候補したが、政策の違いがよく分からないのも問題だ。護憲派から改憲派まで、右から左までの寄り合い所帯、結果として〝何も決められない政党〟というイメージを早く払しょくしてもらいたい。

 ▼かつては自民党が党内に多様な意見を擁していた。しかし、このところの自民党は〝安倍カラー〟一色で、非主流派が見当たらない。では今の民主党と、かつての自民党が似ているのかといえば、とんでもない。自民党は最後は一つにまとまったが、民主党は子供のケンカで最後までバラバラだ。中選挙区制が行われていた頃の自民党は派閥抗争が常態化していたが、最終的には派閥の領袖が陰で取引する老かいさを備えていた。

 ▼一色に染まった自民党も危ない。普天間飛行場の辺野古移設反対を掲げて当選した翁長沖縄県知事が上京しても、主だった閣僚は誰一人面会していないという。移設を認めた前仲井真知事と比べたその冷遇ぶりに、驕る権力の不気味さを感じる。政府は沖縄県民の声を無視するつもりか。

 ▼政治だけではない。日本は今や企業も個人も、「退化だけはしないぞ」という覚悟が必要だ。昨日よりも、今日の自分は成長できただろうか。今宵も一献、静かな居酒屋で、内なる己の声に耳を傾けよう。