決算

三井不リアル 収益・利益とも過去最高 売買好調、単価上昇けん引

 三井不動産リアルティは、新型コロナ禍で売上高に相当する営業収益に加えて、本業のもうけを示す営業利益で過去最高を記録した。22年3月期の連結損益を見ると、営業収益は1790億円、営業利益が256億円となった。本業の仲介事業は、取扱件数が4万1183件(前年度比6.9%増)と好調に推移し、過去3番目に多い水準だった。取扱高は1兆8926億円(同21.0%増)となり、売買と賃貸の仲介手数料や賃貸管理の収益などを含めた総売上高は901億円(同17.4%増)といずれも過去最高をたたき出した。ちなみに過去最高の取り扱いは20年3月期の4万2818件だ。

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 取締役専務執行役員の正木条氏は、「売買仲介で大型案件が想定より多く、単価の上昇も業績に寄与した」と話す。首都圏がけん引したが、関西圏や中部圏など地方全般でも底堅い需要を拾い上げた。戸建て住宅の需要はやや増えたものの、圧倒的にマンション需要が強いという。「在宅勤務の定着で郊外へという流れは一部にとどまっており、(報道などで騒がれるような)メーンストリームにはならない」との見方を示す。

 都心エリアは件数ベースで1割の伸びを示した。富裕層向け仲介店舗「リアルプラン」も取扱件数が1割以上増えて高額物件の取引活発を裏付けている。相続税で国税庁の追徴課税を最高裁が追認する判決を先般出したことへの取引の影響はないと見通す。

 今期(23年3月期)の業績について、ロシア・ウクライナ情勢やインフレ経済など不透明感があるものの、正木専務は「大きな変調がないことを前提に事業計画は策定しており、収益は前期から微増とみている。4月は前年度並みに契約が取れている。売主の価格目線も依然として変わらず高い水準で推移している」と話す。低い金利水準も依然として追い風材料だ。日米金利差に伴う円安の進行でインバウンド需要の復活も視野に入れている。「コロナ禍の2年間は在日外国人に照準を当ててきたが、最近は中国や台湾など華僑系の反響が戻ってきている」と実感する。

 今後の店舗展開については、数ありきではなく質を追う体制にシフトする。

 店舗の大型化と資材価格の高騰が相まって新規出店する際の店舗内装費が倍近く跳ね上がっている影響を踏まえて対応する。店舗の収益性をにらみながら効率的な店舗展開をめざす。同社の期末時点の店舗数は291店と前年比で5店舗増にとどまった。

 もう一つの収益の柱である時間貸し駐車場事業「三井のリパーク」は新型コロナで解約などが進みダメージを受けた。期末時点の管理台数は25万台となり、2万台強を減らしている。今期以降、事業地を増やす方向ではなく収益性を重視し、事業地を厳選して展開する。カーシェア事業はコロナ禍でも台数を増やしている。グループが運営する「カレコ・カーシェアリングクラブ」の会員数は増加しており、会員数は期末時点で32.1万人と1年前の24.5万人から大幅に増えている。

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