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東京大学・NTT デジタルで現実を制御 スマートシティ実現に向けて

 東京大学グリーンICTプロジェクトとNTTコミュニケーションズは、スマートシティ構想の実現に向けたデータ利活用の取り組みの一環として、現実世界をデジタルデータによって仮想空間上に再現し、融合させる〝デジタルツイン〟技術の実証実験を3月に始めた。ビルなどの現実の建物空間を仮想空間上に生成する技術を確立する。実証実験は9月まで行う。

 デジタルツイン技術は双子(ツイン)のように、「仮想空間」上に「現実世界」の空間を生成する。センサーなどで検知した現実空間のデータをリアルタイムに仮想空間に再現。現場にいなくても、分析や予測などに活用できる。

 今回の実証実験では、建物のデータを3Dモデルで構築・管理する手法BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)のデータや、センサーなどのIoT情報、位置情報などを集約。その上で、それらのデータプラットフォームを活用し、デジタルツイン・アプリケーションを構築する技術的課題やプロセスを検証する。

 今回、試験的に同アプリを作成する。その最適な構築プロセスと手法に関する知見を蓄積する。作成したアプリを活用して実証実験する。一つの具体的な事例としては、現実世界で稼働している「清掃ロボット」をデジタルツインの仮想空間上で制御するなどといった実験を重ねる。

 現状では一般的に、デジタルツイン・アプリケーションを構築するための標準化された手法やプロセスは未だ確立されていないという。建築や設計、ビルサービスなどといった多分野の企業などが参画して共創する環境を実現するためには、そのアプリ構築技術の標準化が急務となる。

 今後、両社では、将来の共創に向けた取り組みのため、技術標準化の提案や活用事例を創出する。様々な都市課題の解決を図り、データの利活用の側面でスマートシティ構想の実現を目指していく。