総合

大言小語 満席はいけません

 1月の居酒屋は客が少ないという。年末年始の呑み疲れが影響しているのか。それに、今年は年初からの連続株安で気分は暗い。もっとも日本人で株式投資をしているのは1割程度というから庶民には関係ない話か。実はそうでもない。

 ▼GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が株式への投資比率を増やしていくようだが大丈夫か。株式市場は本来は企業の資金調達の場だが、既存株式を売買する流通市場はプロの投資家の思惑で動く〝博打場〟に近い。しかも今回は原油価格の動向が絡み、世界の金融資本家らが糸を引いていると言われる。そんな世界にGPIFが直接手を出していくとしたら心配だ。

 ▼国内では規制を緩和して、個人が空き家を〝民泊〟にできないかという議論が活発化している。増える外国人観光客のためにというのが第一義のようだが、提供する側に目を転ずれば、年金はもらえそうもないから自分で少しでも収入を増やしたいという悲壮感が伝わってくる。「どうぞ無償でお泊まりください。その代わり、祖国のお話をお聞かせいただければ」といった、〝おもてなし〟精神は何処へやら。

 ▼客席が7割方しか埋まっていない居酒屋は店には悪いが、客にとっては落ち着いていいものだ。隣客のタバコの煙を吸わされるようでは体にも悪いが、気分が悪い。居酒屋はやはり店主によるおもてなしの場であってほしい。