皆さんはお部屋の間取りについて考えたことがありますでしょうか?

毎日の暮らしの中で当たり前になっている間取りですが、実は「ここにドアがあったらなぁ」とか「水回りがなんか使いにくい」といった要望が出てくると思います。

既存のマンションや一軒家を購入した人は、もうできあがっているものだからその間取りに自分の生活を合わせるしかないと思っているでしょう。
インテリアや家具も、間取りに合わせて調達して配置することになります。

 

ところが、注文住宅で新居を作った人にも同じ悩みがあって、実に9割以上の人が住んだ後に「間取りをやり直したい」と思っているのです。

おしゃれなサンプルを見て憧れのお部屋を作ってみたはいいものの、実際に住んでみると使いにくかった…という後悔が後をたたないそうです。

この記事では、なぜせっかくのマイホームがこんなことになってしまうのかを解説したいと思います。

 

そもそも間取りとは何か?

間取りとは、「部屋の区画の配置」をさします。
部屋の数を数字で表し、リビング・ダイニング・キッチンなどを「LDK」というように、数字とアルファベットで表記します。
マンションなどでは「2LDK」「1K」「1R」などの間取りがほとんどになります。
最近は「サービスルーム」(昔でいうところの納戸)がついた「2SLDK」といった間取りも目にしますね。

 

もし既存の間取りを変更する場合、壁を壊す必要があるため高額の費用がかかります。

そのため完成住宅に住む場合はほとんど何もせずに入居するケースがほとんどですが、1から要望を伝えられる注文住宅の場合はどうでしょうか。

 

実はここにも落とし穴があったのです。

住宅完成後に気づいた!間取りの失敗例

カタログや間取り図では見えない、実際に住んでみるとわかる失敗は結構な数があります。

「間取り 失敗」と検索すると…悲しい声がたくさんネット上にありました。

 

その中で特に多い失敗事例は下記の5つです。

 

1.リビングの形と家具の形がうまくあわず、模様替えができない
2.ライトを天井に埋め込んだら思いのほか暗かった
3.開放的な階段にしたら空調効率がひどく悪くなった
4.お風呂の位置が悪く、移動が不便
5.お風呂の窓を道路側にしてしまった

 

ではこのような失敗をしないためにはどうすればいいでしょうか?

「間取り先生」という愛称で親しまれている建築士の上田康允(やすまさ)先生にお話を伺いました。

間取りで泣いた過去

上田先生は「間取り学」という理論を構築した、間取りのプロフェッショナルです。
これ以上間取りで悲しむ人を一人でも減らしたい!と「間取りプランナー」という資格を立ち上げています。

 

実は上田先生も、かつて間取りで泣いた人の一人でした。

 

上田先生が30歳のころです。

当時、建築とは無縁の業界のサラリーマンだった上田先生が、ご自身の家を建てるために一念発起して住宅会社に相談しました。
担当の建築士の方もとても親切な方で、要望を丁寧に聞いてくださいました。
金額も考えていた予算に収まり問題もなし。

出来上がった新居も要望通りで完璧と思っていたのです。

※写真はイメージです

 

ところが…

 

実際に住んでみると
室内を移動するとき、ジグザグの動線が多く、そのたびに、何度も曲がらないといけない
ということが判明しました。

 

えっ!?こんなに面倒なの?なぜプロがこんな不快な間取りを提案したの?
これはダメだと思い、建築士に相談してみると
「間取りはご要望いただいた通りで、契約通りの内容になっています」
と言われてしまいました。

 

確かに契約印を押したのは上田先生ですが、高い高いお金を払って手に入れたマイホームがこの状態で、何もフォローがないのは納得がいかない!
上田先生は悔しくて悔しくて2週間眠れなかったそうです。

 

その後「こんな思いをしている人が他にもいるのではないか?」と考え建築業界へ転職。
その後、大手ハウスメーカー→工務店→設計事務所とキャリアを重ねます。

「間取りで困っている人をなくしたい!」という強い思いが「間取りプランナー」の誕生につながるのです。

なぜダメな間取りができてしまったのか?

これは誰が悪い、どこに責任があるという問題ではありませんでした。

 

建築士という資格は、実は「法律」「構造」「設備」「施工」をマスターする資格のため、デザインと間取りは勉強の対象になっていないのです。
つまり、構造上は問題ないけれども、暮らしてみると住みにくい…という住宅がつくられてしまう可能性が非常に高いのです。

本当の間取りは図面やシミュレーションだけでは作ることができません。
住む人の暮らしやライフスタイルがあって初めて完成します。

 

そのため、建築士・不動産の営業やプランナーの方こそ間取りについての知識を持っておくべきなのです。

 

良い間取りの条件とは?

では、良い間取りと言われるデザインにはどのような要素が必要となるのでしょうか?
間取り学の基礎的な考え方は4つです。

①動線
②彩光
③風通し
④騒音

家の構造からではなく、暮らしに視点を置いた考え方が間取り学の基本になっています。

憧れのおしゃれなデザインを取り入れるのももちろんいいですが、暮らしにくいお部屋では本末転倒です。

まずは4つの基本条件から間取りを考えてみてはいかがでしょうか。

間取りプランナーはどんな人が取得するべき?

ズバリ「不動産業界のプロ」が取得すべき資格です。

不動産営業、プランナー、建築士など、家づくりのプロの方にこそ間取り学を習得してほしいです。

 

一軒家は通常数千万円くらいする高額なお買い物。
家を建てる人にとっては、人生最大の財産になります。

その財産が満足いかないということでは、建築業者は責任を一部果たせていないということにもなります。

 

皆が満足して暮らすために。
もう一度間取りの重要性を考えてみる必要がありそうです。

 

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「間取り先生」プロフィール

上田康允(やすまさ)

1965年生まれ 兵庫県神戸市出身 現在滋賀県彦根市在住。
ハウスメーカー・工務店で勤めた後、建築家として独立。
現在、「上田康允デザインコラボ」建築設計事務所の代表として、全国各地で、住宅・店舗の設計監理を手がけている。
「一般社団法人 日本間取り協会」 代表理事。

間取りの専門家で、「間取り先生」の愛称で、テレビ出演や、全国での講演活動など、多方面で活躍中。

趣味は合気道で、「和合の道を探る」というのがモットー。
海外旅行が趣味で特にハワイが大好き。
著書に、「安らぐ家は間取りで決まる」12万部ロングセラー、「間取りにこだわればいい家になる」3万部ベストセラー、「間取りプランナー1級・2級・初級教本」(日本間取り協会講座用)、共著に「絶対失敗しない土地と一戸建ての買い方」がある。

 

メディア出演

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