「太陽光パネルの火災は水で消せない!」のファクトチェックが証明した3つの課題
太陽光パネルから火災が発生!
つい先日も住宅用太陽光発電パネルの蓄電池から火災が発生しています。
幸いにも怪我人が出ませんでしたが、このようなニュースが後を絶ちません。
太陽光発電パネルのあり方については様々な意見があり、情報がひとり歩きすることも数多くあります。
賛成派・反対派はもちろん、パネル設置の義務化や補助金、電気の買取制度についても議論は広がっています。
東京都の太陽光パネル設置義務化に伴い話題になっている「太陽光パネルの火災と消火」のニュースについて詳しく解説していきたいと思います。
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SNSで拡散された「太陽光パネル火災」
”何度も言ってますが、ソーラーパネル火災は水での消火が不可能です。東京みたいな密集地で火を出したら、一体どうなるのか。/誰でも想像が付くと思いますね。”
引用:Twitterより
これは、小池百合子東京都知事が発表した「都内で新築する住宅に太陽光発電設備の設置義務づけを検討」という新聞記事に対して、2021年10月2日にツイートされたものです。
ソーラパネルが炎上しているTikTok動画が載せられ、SNS上では「ソーラーパネルの火災は水で消えない」という情報が拡散されました。
ところが、この情報は全くの誤りであることが判明します。
太陽光パネル火事は水で消化できない?
毎日新聞社はこの情報に対し取材を行いました。
取材に対し総務省消防庁消防救急課は
「他の火災と同様に放水で消火している。太陽光パネルだから水を使えないという事実はない。太陽光パネルを設置した住宅火災の放水消火は各消防本部で普通に実施している。」
と回答しています。
※毎日新聞記事より
感電を伴うために注意は必要ではあるものの、「水で消化ができない」という情報はまったくのデマで、その情報だけがSNSで一人歩きしてしまったのです。
現在でも太陽光パネル火災に関連するツイートはかなりの数があります。
まだまだ情報のひとり歩きの「消化」はできていないようですね。
ファクトチェックが掘り起こした3つの課題
毎日新聞社が実施したファクトチェックは、太陽光パネルについての課題を再認識させてくれました。
(ちなみにファクトチェックとは、Twitterなどで広がっている情報が事実に基づいているかどうかを調査・取材して、正確な情報をみなさんに共有することです。 ひとことで言うと「デマ消し」ですね。)
課題1:太陽光パネル火災件数の増加
消費者安全調査員会によると、太陽光発電パネルに関係する火災は2008年〜2017年までに127件も発生しています。これは住宅用パネルのみの数字のため、事業用ビルなどの火災を含むとさらに件数が増します。
火災の原因は、太陽光パネル本体、ケーブル、パワーコンディショナーから発生したものなど複数に及びます。
クリーンエネルギーの代名詞とも言われる太陽光。
なぜ、これほどの数の火災が太陽光パネルで発生するのでしょうか?
課題2:かつて急速に設置された太陽光パネル
2000年以降、コスト低下の成果が出て太陽光パネルが一般的に認知されはじめました。
2011年の東日本大震災では福島原発事故の影響で、原子力にかわるエネルギー源として改めて太陽光発電の価値を見出されます。
そして、2012年7月に固定価格買い取り制度が制定されて以来、太陽光発電設備は全国に急速に増加しました。
以下のグラフをご覧ください。
※太陽光発電協会HPより
その結果、太陽光パネルの導入件数は年平均で約310,000件と大きな伸びを見せます。 しかし、当時は十分な知識がない状態で施工されていたため、設置後10年後に火災事故に発展するケースも数多くあります。
また、東京都が住宅への太陽光パネルの設置義務化を検討していることもあり、最近でも新規参入する施工会社が増加しています。
課題3:太陽光パネルのメンテナンス不足
太陽光発電パネルの法定耐用年数は17年ですが、実際の寿命は20年とも30年とも言われています。実際にはもっと大きく寿命を伸ばしているケースもあります。
ところが、寿命になる前に火災事故などが発生してしまうと、全て取り替えという事態になってしまうのです。
寿命に満たない太陽光発電パネルが火災事故を起こしてしまう原因の一つに「メンテナンス不足」があげられるでしょう。
大手の住宅メーカーは太陽光パネルに長期保証を付けているところが多いですが、事業用ビルなどに設置された太陽光パネルはアフターメンテナンスがあまりできていない状態です。
太陽光発電は日光が当たっている間は稼働し続けます。 パネルは屋根の上に設置しているケースがほとんどで、目視で状態を確認することができません。
専門家による定期的なメンテナンスを行うことにより、火災を未然に防ぐことができるようになります。
そのため不動産管理会社や保守会社は、太陽光発電のメンテナンスができる資格者を必要とするようになり、求人も数多く掲載されています。求人募集サイトによっては約1,500件の求人情報があります。
会社側は、資格取得者が社内にいることにより、トータルメンテナンスができる業務拡大を進めることができるため、顧客からの信頼を得ることができることがメリットになります。
太陽光発電のメンテナンスを行うには『太陽光発電メンテナンス技士』という資格が必要です。
太陽光発電メンテナンス技士は民間資格です。 実務経験は不要で、テストの難易度は、テキストを読んで資格認定講座をしっかりと聞くことで合格できるレベルです。
合格率は99%。不動産資格の中では難易度は低い資格になります。
太陽光発電メンテナンス技士の資格保有者の年収は、一般的に400万から600万円が目安になっています。
資格取得後は、協会の会員システムにて随時開催している「新技術や最新情報のセミナー」「開業支援セミナー」「電気基礎のセミナー」等を受講することができ、知識の範囲を大きく広げることができるのが特徴となります。
太陽光発電メンテナンス技士の受験者は2,000人を突破し、ますます増えていきます。
メンテナンス不足でこれ以上火災事故を増やしてしまうことを防ぐため、今後ますます必要とされる『太陽光発電メンテナンス技士』の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
※太陽光発電メンテナンス技師は現在募集を停止しています。
関連資格の太陽光発電アドバイザーの資格はこちら
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