賃貸経営、管理、土地活用、不動産投資・空き家対策・建物検査などビジネスに役立関連ニュースや豆知識をお送りします。
VOL 35 発行日:2023.3.27


サブリースは、40年前にハウスメーカーが海運業界のからヒントを得て、アパートのサブリースを始めたことが一番最初と言われています。その時代は、ハウスメーカーもアパートを建てるだけで、アパートの管理は、すべて大家さんがやっていました。しかし遊休地に賃貸住宅を建てても管理運営のノウハウがないため、アパート建設をためらう方が多くおられてました。そこでアパートを建てたのちの管理運営も一括して受けるという「マスタリース契約」を行うことで、アパートの建設受注を伸ばしたのがきっかけです。

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サブリースのビジネススキームのほころび

資金に余裕のある人や遊休地を持っている人が、金融機関から借りてアパートを建築、賃貸経営はサブリース会社に任せるという「ビジネスモデル」に多くの方々が飛びつきました。「預金通帳だけを見ていればいいですよ。30年間の収入補償でリスクはありません」と言われて契約さ
れた方も多いと聞きます。

ハウスメーカーにとっても、定型化されたアパートを、安く建築することで建設受注が延ばせます。アパート建設が利益の中心でした。賃貸住宅の管理運営は赤字でなければ利益が少なくても問題なかったのです。

ところが、このビジネススキームにほころびがでてきました。リーマンショック後の景気低迷で移動が減り空室率が増え始めました。当然、賃貸住宅への投資が急激に減り始めます。サブリース会社では建設だけでは、利益を得にくくなったのです。管理運営でも利益を得る必要がでてきました。
アパート建設の従来以上のコスト削減を行うとともに、一括借上賃料の減額で利益を出さなくならなくなったと推測しています。アパートオーナーも、預金通帳をみているだけでは駄目だということにようやくきがついたのです。

賃貸住宅経営の将来

これから、賃貸住宅はどのように変化していくかについて、いろいろなシナリオが考えられます。ただ確実に言えることは、日本は、ますます高齢化が進み、人口は確実に減少していきます。 20年後には、人口は約2000万人減るとの予測です。在留外国人が増えなければ住宅需要は大きく縮小します。
1990年ごろに、多くのアパートや賃貸マンションが建設されました。これらのアパートは、そろそろ築30年です。建物は、建築後20年は美観も設備もなんの問題も起こりません。だから建物のオーナーは、このままずっと良い状態が続くと思ってしまいます。ところが築25年を過ぎたころから、急激に劣化が目に見えてきます。防水性能が落ちてきます。給排水の設備は2530年が限度です。美観も悪くなってきます。築年数の古いアパートは、大きな修繕工事を行わなければ新規入居者からは見向きもされなくなってきます。空室率が増えれば、家賃をさらに下げることになります。サブリース会社も一括借上げをしなくなるかもしれません。今、賃貸住宅ビジネスは大きな分岐点にたつことになります。

出口を考える時代

サブリース事業を行っている企業だけではなく、賃貸住宅のオーナーにとっても、賃貸事業経営の出口を考えなければならない時代になっています。これまでのように、部屋を貸しているだけのビジネススキームでは、空室率はますます高くなっていきます。行き着く先は「限界アパート」。家賃が安いからという理由だけの入居者しかいなくなってしまいます。そのようなアパートでは、廊下には家具が放置され、建物は傷んだままで周囲からも嫌われるアパートになってしまいます。
そこでは、2つの選択肢が考えられます。ひとつは、アパート経営からの撤退。もう一つは、思い切った次世代アパートへの再生です。

どちらも簡単ではありません。費用もかかりますが、大きな決断が必要です。私達は次へのお手伝いをしたいと考えています。

関連資格:認定サブリース建物取扱主任者