住宅は人生で最も大きな買い物のひとつです。
私たちも住宅を購入する際や、リフォームを行う前には、建物の状態を確実に把握しておく必要があるでしょう。

実はこの「建物の状態」、建築会社やリフォーム業者を信用して任せっきりにしていませんか?
実はこれ、とても危険なのです。

何がどのように危険なのでしょうか。
その理由と、私たちはどのような知識を持っておくべきかを解説したいと思います。

建物検査やホームインスペクションが注目されている理由とは?

建物検査士の資格や、ホームインスペクターの資格を取る方が増加しています。

 

理由として、今まで建物に関する取引の際に行われる重要事項説明(重説)には「取引建物に関する事項」と「取引条件に関する事項」がありますが、建物の第三者による検査は、行なったか否かを記載する必要があるのみです。(ただし、実施した場合は1年以内の証明が必要)

 

アメリカなど、他の国では建物の第三者確認は当たり前になっており、この流れが今後日本でも当たり前になっていくことが予想されます。

実際、新築住宅の80%に何らかの欠陥が見つかったというデータもあります。

建物検査とホームインスペクションの違いとは?

建物検査(建物状況調査)は、中古住宅を対象とした調査です。
専門家が住宅や建物の構造、設備、安全性などを徹底的に調査し、欠陥や修繕が必要な箇所を明らかにするものです。
見逃しがちな箇所まで洗い出し、適切な対策を立てることができます。

 

 

例えば、外観や内装はきれいでも、雨漏りや結露、断熱性能の低下など、目に見えない欠陥が隠れている可能性があります。
このような欠陥が放置されると、将来的に大掛かりな修繕が必要になったり、健康被害をもたらす恐れもあるのです。

 

一方、ホームインスペクションは、新築一戸建て住宅を含むすべての住宅を対象にしています。
ハウスメーカーが建築した家に対し、細かい欠陥がないかどうかを確かめることができます。

 

ホームインスペクションは新築建物の引き渡し前に行う必要があるのはもちろんのこと、契約前に依頼しなければならないケースがあるため、ハウスメーカーや工務店に事前に相談するようにしましょう。

建物検査とホームインスペクションが必要となるシーン

建物検査とホームインスペクションは、主に以下のようなシーンで必要となります。

 

1.中古住宅や建物の売買時
買主側が専門家に依頼して物件の状態を確認するため検査を行います。
隠れた欠陥がないか、修繕が必要な箇所がないかをチェックします。

 

2.新築住宅の検査(ホームインスペクションのみ)
施工業者による検査に加え、買主側が専門家に依頼して第三者検査を行います。
見えない部分も含め、適切に施工されているかを確認します。
この検査は一戸建て住宅では特に重要です。

 

3.リフォーム・リノベーション時
マンションにエアコンを取り付ける際、勝手に壁に穴を開けてはいけないことをご存知でしょうか?
壁には「構造壁」と「雑壁」があります。
構造壁は構造上主要な部分となるため、穴を開けてしまうと建物全体の耐震性に影響が出てしまいます。

 

そのため、マンションの壁に穴をあけるためには管理組合の許可は絶対に必要です。
しかし、穴を開ける壁が構造壁の場合はNGであることが多く、許可は下りないケースがほとんどです。
また、仮にOKだとしても、構造壁の穴あけをリフォーム業者が行うことはできません。
管理組合が直接行うのが原則となっています。

 

また、エアコン取り付け業者やリフォーム業者はこういった法律や知識を知らないケースが多いので注意しましょう。

 

4.定期的な建物状況確認
建物の老朽化状況を把握するため、一定期間ごとに検査を行います。
将来的な大規模修繕の予測やそのための貯金計画など、メンテナンス計画を立てるのに役立ちます。

 

信用のできるハウスメーカーや工務店であっても、中古や新築を問わずに専門家による客観的な検査を行うことは、リスク回避や適切な価格設定、維持管理計画の立案に欠かせません。

建物診断やホームインスペクションの費用は?

一般的な建物診断やホームインスペクションの費用相場は、一戸建ての場合で5〜7万円、マンションの場合は4〜6万円程度です。
これはあくまでも基本調査の費用になります。

 

実際の診断を行った場合は、検査員の費用、出張旅費、事務スタッフの費用、報告書の作成費など、最大で15万程度を目安にしておくと良いでしょう。

建物検査・ホームインスペクションの悪徳業者を見分ける方法は?

建物検査士・ホームインスペクターが行う診断内容は項目が決まっています。
この項目をきちんとやっていない業者はほとんどの場合この表を買主側に提示してこないため、まず検査表を見せてもらうことが悪徳業者を見分ける第一歩になります。

国土交通省が発表している「現状検査チェックシート」を参考にしてみてください。

 

建物検査の際に「保険金が降りるので実質タダでできます」というお話もよく聞きますが、実際は詐欺であることが多いです。

 

以前話題になりましたが、大手の中古車買取会社が、自社でわざと壊しておいて「壊れていますので保険で直しましょう」といった内容と同じです。

 

もしもこのような詐欺に引っかかってしまって保険会社にバレた場合、詐欺業者ではなく依頼主(家主)が罰せられるのでくれぐれも気をつけてください。

 

まとめ

住宅は非常に高額な買い物。
不動産を購入する側、売買する側、そしてリフォームする側も欠陥や施行ミスなどがない住宅を取引したいものですよね。

 

特にこれからのリフォーム業者の方は、建物検査士やホームインスペクターの知識を身につけ、正確な知識を持って安心安全なサービスの提供をすることが重要と言えるでしょう。

 

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