宅建士の試験が5問免除になる裏ワザ!条件と理由を詳しく解説
宅建士試験は毎年20万人前後が受験する国家資格ですが、合格率は例年15〜17%程度と決して高くありません。しかし、不動産業界で働く方には、試験問題のうち5問が免除される制度があることをご存じでしょうか。
この宅建の5問免除制度を活用すれば、勉強の負担を減らしながら効率的に合格を目指すことができます。ただし、誰でも利用できるわけではなく、一定の条件を満たした上で登録講習を修了する必要があります。
本記事では、宅建士試験の5問免除制度について、適用される条件から申込手順、メリット・デメリット、効果的な活用法まで詳しく解説します。不動産業界で働きながら資格取得を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
宅建の試験が5問免除される制度を詳しく解説
宅建士試験における5問免除制度は、宅地建物取引業に従事する方を対象とした特別措置です。この制度を利用することで、本試験の一部問題が免除され、より効率的に合格を目指せます。
宅建の5問免除制度の仕組み
5問免除制度は、宅地建物取引業法に基づき、宅地建物取引業に従事している証明書である「従業者証明書」を所持している従業者が登録講習を修了することで、本試験の5問が免除される仕組みです。
通常、宅建士試験は全50問で構成されており、合格基準は例年35点前後です。5問免除を受けると、第46問から第50問までの5問が自動的に正解扱いとなり、実質的に45問の試験を受けることになります。なお、5問免除の条件として実務経験の有無は問われません。
この制度の最大のメリットは、免除された5問が最初から正解として加算されるため、合格ラインが実質的に下がる点にあります。例えば合格基準が35点の年であれば、5問免除を受けた受験者は残り45問中30問程度正解すればよく、合格できる確率が高くなります。
さらに、試験時間も通常の2時間から1時間50分に短縮されますが、解答すべき問題数も減るため、時間的な余裕が生まれます。この余裕を活用して、他の問題により集中できる点も大きなメリットです。不動産業界で働きながら資格取得を目指す方にとって、非常に有利な制度といえるでしょう。
宅建の5問免除を受けるための条件をわかりやすく解説
宅建の5問免除制度を利用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。ここでは、受講資格から再受講のルール、注意すべきポイントまで詳しく解説します。
登録講習の受講条件
登録講習を受講するには、申込みから修了まで宅地建物取引業に従事していることが必須条件となりますが、実務経験の有無は問われません。
具体的な受講条件は以下の通りです。
- 宅地建物取引業者の従業者であること
- 勤務先の企業から従業者証明書の交付を受けていること
- 講習の申込みから修了までの期間、継続して在職していること
従業者証明書は、勤務先の宅地建物取引業者が発行する公的な証明書で、申込時に提出が必須となります。この証明書がなければ、登録講習の受講自体ができません。なお、従業者証明書は原則として就業開始時に会社から発行されるため、通常は所持しているはずですが、入社直後の場合はまだ持っていない可能性もあります。
また、従業者の範囲には正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイトも含まれます。ただし、派遣社員の場合は派遣元企業が宅地建物取引業者でなければ対象外となるため注意が必要です。
重要な点として、あくまで「宅地建物取引業」の従事者が対象であり、賃貸住宅管理業等の従事者は対象外となります。
| 雇用形態 | 受講可否 | 備考 |
|---|---|---|
| 正社員 | 可能 | 最も一般的なケース |
| 契約社員・パート | 可能 | 従業者証明書があれば問題なし |
| 派遣社員 | 条件付き | 派遣元が宅地建物取引業者である必要 |
| 個人事業主 | 不可 | 宅地建物取引業者でない限り対象外 |
さらに、登録講習の申込から修了試験合格までの期間中、継続して宅地建物取引業の従業者である必要があります。途中で退職した場合、修了証明書は発行されないため、転職を考えている方は時期に注意してください。
宅建に落ちた場合の5問免除に関する再受講ルール
登録講習の修了資格・修了証明書には3年間の有効期限があり、期限切れ後に再び5問免除を受けるには再受講が必要です。
修了資格・修了証明書の有効期限は、修了試験に合格した日から3年間です。この期間内であれば、何度でも宅建士試験を受験する際に5問免除の適用を受けられます。
しかし、3年の有効期限が過ぎると、修了資格・修了証明書は失効します。その後再び5問免除を受けたい場合は、もう一度登録講習を受講し、修了試験に合格する必要があります。再受講の際も、初回と同様の条件を満たさなければなりません。
なお、一度登録講習を修了していても、再受講時に内容の一部省略などの優遇措置はありません。初回と同じ手順で受講し、修了試験に合格する必要があります。
5問免除の登録講習を受ける際の注意点
宅建の5問免除を確実に受けるためには、スクーリング実施日の2か月以上前までに申込みを完了させる必要があります。
| 時期 | 必要な手続き | 注意点 |
|---|---|---|
| 12月から5月 | 登録講習の申込 | 定員があるため早めに申込する |
| 4月から7月 | 自宅学習 | 約2ヶ月間の自宅学習を実施 |
| 5月から7月 | スクーリング、修了試験受験 | 全カリキュラム参加、試験の受験が必須 |
| 7月 | 宅建士試験の受験申込 | 修了者情報の記入が必要 |
| 10月 | 宅建士試験本番 | 修了資格の有効期限確認 |
5問免除制度を利用する際には、申込時期や手続きの締切、修了証明書の発行タイミングなど、いくつか注意すべきポイントがあります。
まず、登録講習の申込から修了証明書発行までには、通常2か月から3か月程度の期間が必要です。宅建士試験の受験申込は例年7月に行われるため、遅くとも5月までには登録講習の申込を完了し、7月中に講習を修了し、5問免除を取得しておく必要があります。
また、修了試験に不合格となった場合、再試験を受けることはできますが、本試験の申込期限までに修了証明書が発行されなければ、その年の5問免除は適用されません。
さらに、宅建士試験の受験申込時には、修了証明書に記載された証明書番号または修了者情報として通知された修了番号を願書に記入する必要があります。この番号の記入がないと、5問免除が適用されないため注意してください。
また、登録講習は国土交通大臣の登録を受けた機関のみが実施できます。申込前に、実施機関が正式に登録されているか確認することも重要です。
宅建の5問免除を受けるための具体的な手順
ここからは、宅建の5問免除の条件を満たした方が実際に制度を利用するための具体的な手順について、必要書類の準備から申込方法、受講の流れまで詳しく解説します。
5問免除に必要な書類
登録講習の申込で最も重要な書類は従業者証明書であり、法改正により押印は不要になりました。
| 書類名 | 入手方法 | 準備にかかる時間 |
|---|---|---|
| 受講申込書 | 実施機関のウェブサイトからダウンロード | 即日(またはWEBフォームから直接申し込み) |
| 従業者証明書 | (所持していない場合)勤務先の会社に発行依頼 | 所持していない場合は数日〜1週間程度 |
| 本人確認書類 | 運転免許証やマイナンバーカードをコピー | 即日 |
| 証明写真 | スマホ等で撮影、または写真店やスピード写真機で撮影 | 即日 |
| 受講料の振り込み証明 | オンラインバンキングの明細画面やATMの振込証明書を取得 | 即日 |
従業者証明書は勤務先の宅地建物取引業者が発行する書類で、申込者がその企業で「宅地建物取引業に従事している従業者」であることを証明するものです。従業員証明書には、宅地建物取引業法に規定されている所定の様式を使用します。国土交通省や講習機関のウェブサイトから様式を確認・ダウンロードできます。
なお、従業者証明書の発行には時間がかかる場合があります。特に大手企業では人事部門の承認が必要なケースもあるため、余裕を持って依頼することをおすすめします。
また、証明写真は郵送申込みの場合、受講申込書に貼付します。サイズは3センチ×2.4センチです。オンライン申込みの場合は画像ファイルをアップロードしますので、スマホ等で撮影を行い、準備しておきましょう。
登録講習の申し込み方法
登録講習の申込は、各実施機関のウェブサイトからのオンライン申込み、または郵送で行うことができます。
申込の主な流れは以下の通りです。
- 登録講習実施機関を選定する
- 実施機関のウェブサイトで受講日程を確認する
- 必要書類を準備する
- 受講料を指定口座に振り込む
- オンラインまたは郵送で申込みをする
- 実施機関から受講票・教材が届くのを待つ
登録講習は、全国の不動産関連団体や教育機関が実施していますが、定員制となっているため、希望する日程が埋まってしまう可能性があります。特に6月〜7月にかけては申込が集中するため、早めの手続きが重要です。
申込後、受付が完了したら受講票と自宅学習、スクーリング用の教材が送付されます。到着次第すぐに自宅学習を開始しましょう。
なお、申込締切は各実施機関によって異なりますが、自宅学習期間が約2か月あるため、一般的にスクーリング実施日の3か月前から2か月前に設定されています。締切直前は混雑するため、余裕を持った申込を心がけましょう。
登録講習の受講から修了までの流れ
登録講習は、約2か月間の自宅学習、約10時間のスクーリング講義、そして修了試験の3つのステップで構成されています。
まず、自宅で行う学習では、実施機関から送付されたテキストや問題集を使って学習します。この期間は約2か月間で、基礎知識の習得を目的としています。
次に、スクーリング講義を受講します。スクーリングには「会場スクーリング」と「オンラインスクーリング」の2種類があります。会場スクーリングでは実施機関が指定する全国各地の会場で、1日または2日間の講義を受けます。オンラインスクーリングの場合は、自宅等からパソコンやスマートフォンで受講できます。講義時間は全部で約10時間です。
スクーリングでは、自宅学習で学んだ内容をより深く掘り下げるとともに、試験対策のポイントも解説されます。欠席・遅刻・早退すると修了試験を受けることができないため、スケジュール調整は確実に行いましょう。
最後に、修了試験が実施されます。会場スクーリングの場合はスクーリング最終日に試験を受けます。オンラインスクーリングの場合は、別日にペーパーテスト形式で実施されます。修了試験は通常、正答率70パーセント前後が合格ラインとなります。自宅学習とスクーリングの内容をしっかり理解していれば、ほとんどの方が合格できる難易度です。
| 段階 | 期間 | 内容 |
|---|---|---|
| 自宅学習 | 約2か月 | 自宅でテキストや問題集を使った学習 |
| スクーリング | 約10時間(1日または2日間) | 会場での対面講義またはオンライン受講、出席必須 |
| 修了試験 | スクーリング最終日または別日 | 合格基準は正答率7割程度 |
| 修了情報の通知 | 試験合格後1週間程度 | 郵送またはメールで通知 |
修了試験に合格すると、1週間程度で修了者情報が通知されます。法改正により、書面だけでなくメールでの通知も可能になりました。繰り返しになりますが、この修了資格があれば、合格日から3年間、宅建士試験で5問免除を受けることができます。
まとめ
宅建の5問免除制度は、宅地建物取引業に従事する方が登録講習を修了することで利用できる有益な制度です。第46問から第50問までの実務分野が免除され、実質的な合格ラインが下がるとともに、勉強負担も軽減されます。
5問免除の条件としては、従業者証明書を所持していることが必須ですが、実務経験の有無は問われません。登録講習に申し込み、約2か月間の自宅学習と約10時間のスクーリング講義を経て修了試験に合格する必要があります。申込から修了まで2か月以上かかるため、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。
不動産業界で働きながら宅建士資格の取得を目指す方は、ぜひこの制度の活用を検討してみてください。















