不合格のメンバーを労い、悔しさの奥にある本音を拾い上げる

株式会社モデスティ代表の長野です。
宅建の合否が出た後のメンバーへの対応、十分にできているでしょうか。

まず優先的に行ってほしいのは不合格だったメンバーへの対応です。日々の1on1面談の場などで個別に合否を確認し、「悔しい」と口にしているメンバーにはしっかり向き合うのがいいでしょう。

そこでは不合格という結果が「本当に悔しいのか?」「なぜ悔しいのか?」と問いかけ、言葉の奥に隠れている本音に迫ってください。「悔しい」「次は必ず受かりたい」という気持ちが本物かどうかを確かめるのです。本物だと分かれば、合格を勝ち取るためのサポートを始めましょう。

いきなり勉強させてはいけない。12月は徹底的に自己分析

ここで1点、注意点があります。メンバー本人に「やっていこう!」という気持ちがあふれていても、即座に勉強を再開させないことです。次の宅建試験までおよそ1年。落ちた後すぐにトップギアにしたとしても、その気持ちをキープするのは難しい。

12月。まずは自己分析に付き合ってあげることをおすすめします。

マネージャーは壁打ち相手に徹し、次年に向けた学び方をともに再設計するのが良いでしょう。どの科目で落としたのか(民法? 宅建業法?)、勉強方法は適切だったか、量は足りていたか。的確に分析を行い、その後の努力が成果に結びつくようにサポートするのです。

 

1月からの勉強は習慣づくり。まずは週1回・1時間を継続できるか

年明けの1月。本格的に始動する時期ですが、ここでもペースを考える必要があります。おすすめは週1回・朝1時間だけに限定し、勉強を行う習慣づくりに目標設定すること。勉強が苦手な人や、習慣づくりが初めての人は週1回30分からでもいいです。3ヶ月続けることができれば、自然と習慣はできあがってきます。

勉強する日時を決めたら、マネージャーはそれが本当にできているかどうか、確認するようにしてください。確認する際は「何を勉強したのか」「参考書のどのページを進めたのか」具体的に質問するのがポイント。「勉強した」と本人が言ってても、それが本当か、やり方は適切なのか、確かめることをおすすめします。

 

モチベーション維持は、テストの点数を見ながらがベスト

最初の1ヶ月きちんと勉強ができたと思っても油断は禁物。新たな習慣づくりを始めて2〜3ヶ月目で飽きが始まることが多いためです。「ちゃんとやれ」「サボるな」と、マネージャーが喝を入れても良いのですが、それではいつまでも自律的に勉強する姿勢が身につきません。

本人が自分を奮い立たせる仕掛けとは何か。効果的な方法はテストです。過去問でも良いですし、今ならAIで弱点特化の小テストも作れます。点数は現在地を感情抜きで映す鏡。何がどれだけできていないかが可視化され、「やってます」「頑張ってます」という口先と実態のギャップも一瞬で分かります。これを毎月繰り返していくことでモチベーションは維持しやすくなります。

目標に対して点数が足りなかったメンバーには「この点数を受けて今後どうしていくか」「今の課題は何か」と、ここでも自己分析を促すようにしてください。
一方、点数が足りているメンバーも気をつけなければいけません。点数をキープしながら確実に合格するために何をしていくべきか、ともに考えていきましょう。

 

不合格に激怒するマネージャーは三流。マネジメントを放棄している

メンバーが合格できるかどうか、その大半はマネジメントの手腕にかかってると私は思います。不合格の責任を100%メンバー本人に乗せるのは筋違いなんです。
もちろん、記念受験のような気持ちだったメンバーもいるかもしれません。ただし、それもマネージャーが宅建を取得する意味を伝えられていないことが原因だと私は考えます。

宅建試験に合格することで不動産営業としてのベースの知識が身に付くことはもちろん、お客様からの信頼の土台になること、資格手当や昇進条件に直結すること、そして転職後も効く一生ものの資格であること。これらが伝われば、今の令和世代の人材はみな優秀ですから、懸命に取り組んでくれます。

そうして積み重ねた努力によって1年後、受かったときは全力で称賛してあげてください。普段は食べられないご飯をご褒美にするのも良いでしょう。社員全員の前で、合格までのプロセスやその喜びを話してもらう機会をつくるのも良いと思います。

宅建合格への道のりの中で、自らの課題に向き合い成果を出すこと。そして一度、不合格になってから合格したメンバーには、自らが、何かあった時やり直す強さを持っていることを実感してもらえる機会にもなるでしょう。
マネージャーとしての伴走設計の計画と実行、ぜひ、この1年をやり遂げてみてください。

メンバーだけではなく、マネージャーのあなた自身も大きな成長を遂げているはずです。

 

著者

株式会社モデスティ|代表取締役 長野 卓将

株式会社リクルートにて住宅情報誌「SUUMO」の営業・マネージャーを20年以上歴任。
大手から中小まで、首都圏・地方を含む多様な不動産会社を担当。
その後、2012年に株式会社モデスティを設立。ロープレ観察と実践指導で数千人以上の成長を後押し。

経営者・営業マネージャー向けメルマガ「週刊モデスティ」は登録者1,900名超。
住宅新報主催セミナー登壇、同紙・Webでの掲載のほか、不動産関連メディアからの引き合いも多数。
誠実で成果の出る営業の普及をライフワークとする。

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