賃貸経営、管理、土地活用、不動産投資・空き家対策・建物検査などビジネスに役立関連ニュースや豆知識をお送りします。
VOL 33 発行日:2023.3.13


私共には不動産投資のトラブルで多くの方が相談にこられます。「サブリース会社が家賃減額を言ってきた」「不当に高くかわされてしまった」「賃貸収入が安定していると言われたが空室が多くて赤字だ」・・・・。話をお聞きしてみて、不動産投資セミナーの内容を、調べてみると、講師の方ですら、建物の知識をほとんど持っておられないということに驚かされます。

NBC日本橋ビジネス資格教育センター ニュース・豆知識

建築の知識がなくても投資は可能との思い込み

投資セミナーの案内では、
不動産投資の安定した収入は、年金への不安がなくなる。
サラリーマンは、収入が安定しているのでフルローンで借りやすい。
少しぐらいの赤字でも、節税対策になる。
インフレのリスクヘッジになる。
相続対策。
・・・・がどのセミナーでも講師
が話される内容です。
気が付かれたと思いますが、建物の話はほとんどされません。話さないのではなく知識がないのではないかと思いました。何人かの宅建士の方に話を聞きますと、建築の法律の話はご存知ですが、建物の技術的な側面については、あまり知識はないようです。確かに宅建の試験科目には多くは出てきません。

建物は必ず劣化する

不動産投資をされた方に、どんな建物をどのような融資で購入されたかを聞きました。平均年40歳で、築25年から30年の収益物件を30年ローンで購入されるのが平均のようです。そして、こんな質問をします。「30年後あなたは70歳で今の会社は、おそらく退職されていますね。たぶん年金生活です。その時この建物はどうなっているか想像できますか?」「その建物に入居したいという人はどんな人ですか?」このメールマガジンを読まれた方は、ご近所の物件やご自身の住まいの30年後を想像してみてください。昭和39年東京オリンピックの時に、都内に多くの公営団地が建築されました。今はほとんど見る影もない状態です。
建物は、築30年を超えると、何もしなければ急速に劣化してきます。マンションですら50年を超えると限界マンションと言われます。

どんな知識が必要か

日本の住宅の平均寿命は27年から37年と言われています。アメリカは50年、イギリスは70年です。ヨーロッパやアメリカには、50年経っても住みやすい住宅が多くあります。その差は、メンテナンスにお金と労力をかけている違いです。
今更、サラリーマン投資家が建築の知識を得るのは大変です。またそんな必要もありません。必要なのは、建物を維持管理(メンテナンス)をするには何が必要かという知識です。建物の問題点を把握して、メンテナンスします。お金か労力かどちらかをかけることです。アメリカの男性は、労力を惜しみません。休日にはホームセンターで資材を買ったり道具を借りて作業します。
そして建物を維持し続けるのです。

何から取り掛かるか

不正融資で買われた築30年の賃貸マンションを調査したら、コンクリートが剥がれて鉄筋が見えていました。買われた方にお聞きしたら、建物を見たこともない、利回りだけを聞いて投資したとのこと。
まず、専門家に見てもらいましょう。そして何をしなけれならないかを相談しましょう。まずはそこからです。

関連資格:建物検査士