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VOL 25 発行日:2022.1.16


「レジリエンス」という言葉を聞くことが多くなりました。レジリエンス(resilience)とは、弾力、復元力、回復力という意味です。心理学的には、「困難な状況にもかかわらず、うまく適応する過程や能力」「精神的回復力」とされています。一昨年のパラリンピックでも、障害のある方のレジリエンス力に勇気づけられた方も多いと思います。そこで「住まいのレジリエンス」という側面を取り上げてみます。

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災害への備え「レジリエンス」

自然災害により住まいの被害件数の増加傾向は、高くなる一方です。洪水や土砂災害を引き起こす日降水量が200mm以上となる年間の日数を「1901年から1930年」と「1990年から2019年」で比較すると、直近の30年間は約1.7倍の日数となっています。自然災害の発生件数は「台風」が57.1%と最も多く、次いで「地震」、「洪水」が多くなっています。他方、被害額は、一たび発生すれば広域に甚大な被害をもたらす「地震」が8割超を占めており、次いで「台風」、「洪水」の順となっています。日本に住む限りこの災害からは逃れることはできません。
そこで重要となるのが「レジリエンス」です。そこに私は2つの考えがあります。「住まいの安全性を高める」「もしもの時のための備え」つまり事前と事後のレジリエンスが重要だと私たちは考えています。

住まいの安全性を高める

住まいは、年々劣化します。劣化したマンションは、自然災害にも弱くなってきます。例えば外壁のコーキングや塗装を放置していますと、防水性能が劣化して雨風に弱くなり雨水が入り込んできます。窓のサッシも開閉に不具合がでて、隙間風が入り込んでしまいます。ところが多くの家庭では、定期的な点検をしないため気がついたら、多額の修繕費がかかってしまう状態となります。
これを防ぐのが「住まいのカルテ」です。住まいのカルテを作成して、計画的な修繕を行うこと レジリエンスの第1歩です。

もしもの時のための備え

修繕をきちんとしていても、毎年の台風や大雨による氾濫、地震によって被害を受ける可能性があります。そのため火災保険に加入して備えているわけですが、火災保険が申告しても保険金が充分支払われないことがあります。自然災害で被害を受けると保険会社から鑑定人が調査に来ます。この調査では、被害状況を見たときに、経年劣化による劣化だと判定されると保険金は支払われません。このような事態はかなり多くあると言われています。

それを防ぐのも「住まいのカルテ」です。住まいのカルテを作成して、修繕履歴をきちんと把握しておくことで、鑑定人から経年劣化と認定されなくなります。鑑定人にとっても、保険会社への報告をする際の証明となります。「住まいのカルテ」は、国土交通省でも作成を薦めています。
「住まいのカルテ」の作り方は、建物検査士の講座で学べます。

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