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VOL 24 発行日:2023.1.9


今回の改正で、2階建ての住宅のリノベーションにも「建築確認申請」が必要となります。

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四号特例の廃止

昨年、2022年に建築基準法が改定されました。内容はかなり多岐にわたりますが、ここでは「建築基準法第6条1項」について、説明いたします。この第6条は、建物の建築・移転・増改築・大規模修繕・大規模模様替・用途変更を行う場合に、建築確認申請についての規定です。
改正前は、建築物は一号〜四号の4つに区分されていました。その四号は、二階建て以下200㎡未満の建物の大規模修繕・大規模模様替えには特例として建築確認申請は不要とされていました。しかし改正後は、従来の四号はなくなり一号〜三号の3つの区分に変更になっています。三号が、平屋建ての小規模住宅や倉庫だけになりました。二階建て以下200㎡未満の建物も、すべて二号となり、大規模修繕・大規模模様替えであっても建築確認申請が必要となります。

大規模修繕・大規模模様替とは

大規模修繕・大規模模様替えとは、主要構造部(壁、柱、床、梁、屋根、階段)の50%を超える修繕工事等のことです。一般的にはリフォームとかリノベーションという工事です。ちょっとした間取りの変更、畳の部屋をフローリングに変える、壁紙の張替えやキッチンや浴室の更新工事は、全体の50%にはあたらず、これまでどおり建築確認申請は不要です。
しかし、「屋根の吹き替え」「外壁をサイディングに変える」「階段の位置の変更」「過半のの間取り変更」は、主要構造部の50%を超えるためにひとつであっても建築確認申請が必要となります。

改正は、かなり前から検討されていたようですが、きっかけとなったのは、熊本地震と言われています。確かに、熊本地震における2階以上の建築物のバランスの悪さや不適合の金物による被害が大きかったため、一戸建て住宅でも2階以上であれば特例制度が廃止されることで、壁量、バランス確認や金物チェックなど耐震性を高める工事が必要になり耐震性が高くなります。

具体的には何が変わるか

この改正は、再建築不可物件に大きな影響を与えそうです。国内には、建築基準法第42条で定める道路に面していない建物が約30%以上あるとされています。東京でも20%以上が再建築不可です。改正前では、この建物もほとんどが四号特例措置対象でしたので、建築士の設計も不必要で大規模のリノベーションを行い、新築に近い状態にできました。中には、これをビジネスチャンスとして再建築不可物件を安く仕入れ、リノベーションして高く売る悪質業者もいました。
これまでは、リフォーム業者は建築業の許可もなく、届け出も不必要でした。建物の知識もあまりなく危険な状態でした。これが少しでも改善されれば、良いと思います。
この改正の具体的な施行令は今後2年程度でまとめられ、この改正の施行は2025年の4月になるようです。
改正内容は、国土交通省の動画改正建築物省エネ法及び改正建築基準法等に関する説明動画(第1弾)でみることができます。
関連資格:建物検査士