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VOL 23 発行日:2022.12.26

NBC日本橋ビジネス資格教育センター ニュース・豆知識

鉄筋コンクリートの耐久性

鉄筋コンクリートの建物の法定耐用年数は47年ですが、これは、税務上の減価償却の基準です。実際の寿命ではありません。
都市工学の専門家に聞きますと「メンテナンスさえ、きちんとすれば、鉄筋コンクリートは、研究によると、150年は耐えられる」とのことです。コンクリートの中性化の終了時期は120で、外壁の仕上げがきちんと維持されていると150年の寿命だそうです。
とはいえ、150年以上経過した「鉄筋コンクリート造の建物」は、どこにもありません。日本の一番古いコンクリート造は、今は使われていない1877年築の伊王島灯台退息所で、現存の鉄筋コンクリートでは、1911年に建設された横浜の三井物産の横浜支店1号館です。集合住宅(日本で言うマンション)の世界で最初の鉄筋コンクリート造は、1906年に建造された、パリ「フランクリン通りの集合住宅」です。もちろんまだ住んでいるそうです。日本で一番古い鉄筋コンクリートの集合住宅は、世界遺産の長崎の「軍艦島の7階建て集合住宅」で1916年の
建築です。この軍艦島の集合住宅は、修繕すればまだ住める状態とのことです。

今も住まわれているのは、都内では墨田区の80年前の集合住宅、大阪ではトヨクニハウスが1932年建築ではないかと言われています。大阪のトヨクニハウスは途中40年間空き家だったそうです。

マンションの建て替え

最も古い分譲マンションは、東京の渋谷の「宮益ビルディング」で1953年に東京都が分譲したものです。11階建てでお金持ちマンションと言われたそうです。50年後の2003年には、老朽化のため一度建て替え決議がされました。そのときはリーマンショックが起きて頓挫しました。その後も老朽化がかなりすすみ、2012年に再度建て替え決議が成立しました。しかし反対者の訴訟があり建て替えは進展しませんでした。ようやく2022年に、15階マンションに建て替えることとなりました。

マンションの老朽化

鉄筋コンクリートの寿命は150年あるのに、なぜ建て替えが必要なのでしょうか。マンションはオフィスビルなどとは違い、居住性が重視されなけれならないためです。50年前とは、耐震基準も違ってきています。居住空間としての部屋の高さも高くなっています。スラブや壁の厚さも充分ではなく、遮音性が高くありません。そして何より設備には、更新できないものも出てきています。50年でもなお資産価値を維持し続けているマンションでも、これらの問題には対処できていません。

10年後の2033年には築50年のマンションは129万戸になるとされています。築50年でメンテナンスが不十分のマンションは、スラム化するのではないかと危惧されています。これは今後の日本の大きな社会問題になるかと思われます。NBC日本橋ビジネス資格教育センターでは、今後この問題に取り組んでまいります。

関連資格:建物検査士