2025年 賃貸不動産経営管理士試験の合格発表・解答番号・全問解説

合格予想点は35点!

合格発表は2025年12月25日

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【2025年賃貸不動産経営管理士試験】全問題と解説

2025年・賃貸不動産経営管理士 全問題と氷見敏明による解説発表!

 

【問1】成年後見に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 成年被後見人である賃貸人が賃貸借契約を締結した場合において、締結時に賃貸人の判断能力が回復していたとしても、家庭裁判所により後見開始の 審判が取り消されていなければ、成年後見人は、賃貸人本人が3か月前に締結した賃貸借契約を取り消すことができる。

2 賃貸人が意思無能力の場合、賃借人が賃貸借契約の解除の意思表示をするために必要なときは、賃借人は、利害関係人として、家庭裁判所に賃貸人の後見開始の審判を請求することができる。

3 成年被後見人である賃貸人が、契約期間を2年とする定期建物賃貸借契約を締結しようとするときは、成年後見人の同意を得て、賃貸人本人が賃貸借契約を締結することができる。

4 賃貸人の後見開始の審判がなされたときは、成年後見人は、その審判を理由として、存続中の賃貸借契約を取り消すことができる。

 

【問1】正解①
①は正しい。成年被後見人の法律行為は原則として取り消すことができ、行為時に一時的に判断能力が回復していたとしても、後見開始の審判が取り消されない限り行為能力制限は継続するため、後見人は契約を取り消すことができる(民法9条)。
②は誤り。後見開始の審判を請求できる者は民法7条に限定列挙されており、賃借人は申立権者に含まれない。
③は誤り。成年被後見人が本人として定期建物賃貸借契約を締結することは原則認められず、後見人が代理して行うのが適切であるため、民法9条の枠組みに反する。
④は誤り。後見開始審判を理由として、審判前に締結された既存の賃貸借契約を取り消すことはできず、取り消しの対象となるのはあくまで審判後の本人の法律行為に限られる(民法9条)。

 

【問2】 サブリースに関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。 なお、 本間において 「原賃貸借契約」とは、賃貸人 (建物所有者)と賃借人との契約関係を指し、「転貸借契約」とは、転貸人(賃借人)と転借人との契約関係を指すものとする。

ア 建物所有者が賃貸不動産を不動産業者に賃貸し、不動産業者が転借人に当該賃貸不動産を転貸するサブリース事業において、建物所有者が原賃貸借契約の期間満了時に同契約の更新を拒絶することについては、借地借家法第 28 条の正当事由が求められない。

イ 原賃貸借契約における月額賃料が30万円で、転貸借契約における月額賃料が40万円の場合、賃借人が支払期日までに賃料を支払わないときは、賃貸人 は転借人に30万円の支払を直接請求できる。

ウ台風による飛来物により賃貸物件の窓ガラスが破損し転借人が修繕した場合、転借人は転貸借契約に基づき、原賃貸借契約の賃貸人に修繕費用を直接請求することができる。

エ原賃貸借契約の賃貸人と転貸人が同契約を合意解除した場合、賃貸人は原賃貸借契約の解除を転借人に対抗できる。

1 1

2 2

3 3

4 4

 

【問2】正解①
アは誤り。サブリースであっても、原賃貸借契約の更新拒絶には借地借家法28条の正当事由が必要であり、転借人の使用継続も賃借人の使用継続とみなされるため、正当事由制度は排除されない(借地借家法26条3項・28条)。
イは正しい。適法な転貸がある場合、転借人は原賃貸借契約における賃借人の債務の範囲内で、賃貸人に直接賃料を支払う義務を負うため、原賃料30万円の範囲で請求できる(民法613条1項)。
ウは誤り。必要費償還請求権は賃借人の権利であり、転借人が賃貸人に直接請求することはできない(民法608
条)。
エは誤り。適法な転貸がある場合、原賃貸借の合意解除は転借人に対抗できない(民法613条3項、最判昭9.3.7)。
以上より、正しいのはイで、正解は①となる。

 

【問3】賃貸物件の修繕に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 賃貸借契約において、賃貸人の修繕義務を免除し賃借人に修繕義務を課す特約も有効である。

2 賃借人の子である幼稚園児が賃貸物件の排水管を詰まらせた場合、責任能力のない者の行為であるため賃借人が責任を負うことはなく、賃貸人に修繕義務が課される。

3 賃貸人が修繕を怠ったことにより賃貸物件を全く使用収益することができなかった場合、賃借人はその期間の賃料支払義務を免れる。

4 賃貸人の修繕義務違反により賃借人に損害が発生した場合でも、賃借人が損害を回避又は減少させる措置をとることができたと解される時期以降の損害については、全ての賠償を請求できるとは限らない。

 

【問3】正解②
①は正しい。修繕義務を賃借人に負わせる特約は、公序良俗に反しない限り有効であり、判例(最判昭29.6.25)もこれを肯定している。
②は誤りで、正解。幼稚園児に責任能力がないとしても、賃借人の支配下で生じた損傷である以上、修繕費用は賃借人が負担するのが原則であり、賃貸人の修繕義務とはならない(民法606条1項但書)。
③は正しい。賃貸人の修繕義務違反により目的物を全く使用収益できなかった場合、対価関係が失われるため、その期間の賃料は発生しない(民法601条、東京地判平成20年4月11日)。
④は正しい。損害拡大防止義務に基づき、賃借人が損害を減少できた時期以降の損害については、過失相殺により賠償の範囲が制限される(民法418条)。

 

【問 4】定期建物賃貸借契約における次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア定期建物賃貸借契約の更新がない旨の事前説明を書面に基づいて行えば、その書面の交付がなくとも、契約は有効に成立する。

イ 契約期間が1年未満の定期建物賃貸借契約も有効である。

ウ電磁的記録により定期建物賃貸借契約を締結することは可能である。

150㎡の居住用建物の定期建物賃貸借契約において、賃借人が海外転勤を理由に解約を申し入れた場合、同契約は解約申入日から1か月を経過することで当然に終了する。

1 1

2 2

3 3

4 4

 

【問4】正解③
アは誤りで、正解。定期建物賃貸借は、更新がないことを有効に定めるために「書面での契約」と「書面交付による事前説明」が必須であり、書面交付がなければ更新なし特約は無効となる(借地借家法38条1項・3項・5
項)。
イは正しい。通常賃貸借と異なり、定期建物賃貸借は1年未満でも有効である(38条1項)。
ウは正しい。令和3年改正により、電磁的記録で締結した定期建物賃貸借は書面契約と同視される(38条2項)。
事前説明書面も電磁的方法で提供可能である(同条4項)。
エは正しい。床面積200㎡未満の居住用定期建物賃貸借では、転勤などのやむを得ない事情があるとき、賃借人は1か月前の申入れで中途解約できる(38条7項)。
以上より、正しいのは3つで、正解は③となる。

 

【問 5】賃貸借契約の終了に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 賃貸人が期間の定めのある建物賃貸借契約を期間の満了をもって更新せず終了させる場合、更新拒絶には正当事由の具備が必要となるところ、 正当事由は具備されてから6か月間持続しなければならない。

2 期間の定めのある建物賃貸借契約において、賃貸人が更新拒絶により賃貸借契約を終了させるためには正当事由の具備が必要となるところ、いわゆる立退料の提供の申出は正当事由の主たる要素となり、賃貸人及び賃借人各自が賃貸物件の使用を必要とする事情は、補完的要素として考慮されるに過ぎない。

3 期間内解約の定めのない、期間の定めのある建物賃貸借契約においては、賃借人に限り期間内解約を申し出ることができる。

4 期間の定めのない建物賃貸借契約において、賃借人が解約を申し入れた場合、解約申入日から6か月を経過しなければ、同契約は終了しない。

 

【問5】正解①
①は正しい。賃貸人が更新拒絶や解約申入れにより期間満了契約を終了させるには、通知時に正当事由が必要であり、更にその後6か月間、正当事由が持続していなければならない(最判昭28.1.30、借地借家法28条)。賃借人保護の制度趣旨による。
②は誤り。正当事由の主たる判断要素は、賃貸人・賃借人双方の使用必要性であり、立退料の申出は補完的要素にすぎない(借地借家法28条)。
③は誤り。期間途中での解約は、期間内解約権を当事者が留保している場合にのみ可能であり、賃借人だけが一方的に解約できるわけではない(民法618条)。
④は誤り。賃借人からの解約申入れは民法617条により3か月で終了し、本肢の「6か月」は賃貸人側の解約申入れの場合である(借地借家法27条)。

 

【問 6】建物賃貸借契約が賃借人の賃料不払を理由に解除され終了する場合に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 賃貸人が賃借人の賃料不払を理由に賃貸借契約を解除する場合、賃借人の帰責事由は解除権行使の要件にならない。

2 解除の意思表示が賃借人に到達したといえるためには、賃借人の了知可能な状態に置かれるだけでは足りず、賃借人が直接通知を受領することが必要となる。

3 建物賃貸借契約において家賃債務保証業者が賃借人の債務の保証人となる場合に、当該業者が賃料の代位弁済をしていれば、賃借人の債務不履行は否定される。

4 賃貸借契約書において、 賃借人が支払を怠った賃料の合計額が3か月分以上に達したときは賃借人の債務の保証人である家賃債務保証業者が賃貸借契約を無催告にて解除できる旨の条項は、賃借人が同意して締結した契約書の内容である以上、有効である。

 

【問6】正解①
①は正しい。賃料不払による解除は民法541条に基づく債務不履行解除であり、履行遅滞の帰責性は解除権発生の要件ではない。解除の可否は不払の客観的事実と不履行の程度によって判断される。
②は誤り。意思表示は通知が相手方の支配圏に到達すれば足り、本人が受領する必要はない。判例は、家族が受け取った場合でも到達と認めている(最判昭43.12.17)。
③は誤り。保証会社の代位弁済があっても賃借人自身の履行事実にはならず、不履行は解消されない。解除判断にも影響しない(最判平26.6.26)。
④は誤り。保証会社が無催告で賃貸借契約を解除できるとする条項は、賃借人に不当に不利益であり消費者契約法10条により無効とされた(最判令4.12.12)。

 

【問 7】賃貸借契約の当事者の死亡に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 賃貸人が死亡し相続人が複数の場合、被相続人の死亡前に支払期限が到来していた未払賃料債権は、相続の発生により、遺産分割を経ることなく、各相続人の持分に応じて分割されて帰属する。

2賃貸人が死亡し相続人が複数の場合、被相続人の死亡前に発生した敷金返還債務は不可分債務となり、各相続人がそれぞれ賃借人に対して全額の返還債務を負担する。

3 居住を目的とする建物賃貸借契約の賃借人が相続人なしに死亡した場合、その当時、婚姻又は縁組の届出をしていないものの、賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者は、相続人なしに死亡したことを知った後1か月以内に反対の意思表示をしない限り、建物の賃借人の権利義務を承継する。

4 公営住宅の使用者が死亡した場合、使用者に相続人がいても、その相続人は、当然に使用権を相続により承継するわけではない。

 

【問7】正解②
①は正しい。金銭債権は可分債権であり、相続開始と同時に法定相続分に応じて分割承継される。未払賃料債権を遺産分割の対象としない(最判昭29.4.8)。
②は誤りで正解。敷金返還債務は金銭債務であり不可分債務ではない。敷金返還債務は相続分に応じて各相続人に分割される(東京高判昭54.9.28)。
③は正しい。借地借家法36条により、相続人不存在で死亡した賃借人と「事実上の夫婦等」で同居していた者は、1か月以内に反対の意思表示をしなければ賃借人の権利義務を承継する。
④も正しい。公営住宅の使用権は賃貸借ではなく使用許可であり、相続により当然に承継されるものではない(最判平2.10.18)。

 

【問 8】 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、各問において「賃貸住宅管理業法」という。)に基づく賃貸住宅管理業の登録に関する次の記述のうち、不適切なものはいくつあるか。

ア 管理戸数が200 戸未満の賃貸住宅管理業を営む者であっても、登録を受けた場合は他の登録業者と同様に賃貸住宅管理業法に関する規制に服することとなる。

イ 管理戸数が200 戸未満の賃貸住宅管理業を営む者であっても、国土交通省は賃貸住宅管理業の登録を受けることを推奨している。

ウ 管理戸数が200 戸未満の賃貸住宅管理業を営む者の管理戸数が 200戸以上となった場合、その時点で国土交通大臣に登録の申請をしていれば賃貸住宅管理業を営むことはできる。

1 なし

2 1

3 2

4 3

 

【問8】正解②
アは適切である。管理戸数が200戸未満であっても、任意で登録を受けた場合には、賃貸住宅管理業法第2章の規制(業務管理者選任、分別管理、定期報告等)がすべて適用されるため、登録業者として同様の義務を負うものである(同法3条、同規則3条)。
イは適切である。国土交通省は、管理戸数が200戸未満の事業者であっても、法令順守やトラブル防止の観点から登録を推奨しており、登録は社会的信用の向上にも資する旨を明確にしている。
ウは不適切である。管理戸数が一時的にでも200戸を超えた時点で登録が完了していなければ、賃貸住宅管理業を営むことはできず、単に申請中であることでは足りない。(同規則3条)。
よって、不適切なものは1つである。

 

【問 9】賃貸住宅管理業法に基づく賃貸住宅管理業の登録に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア 賃貸住宅管理業者がその営業所又は事務所ごとに掲げるべき標識には、登録年月日、登録の有効期間の起算日及び満了日等の国土交通省令で定める事項の記載が義務付けられている。

イ 賃貸住宅管理業者は、登録の更新を受けるに際し財産及び損益の状況が良好である必要があるため、最近の事業年度における貸借対照表、損益計算書等の内容により「財産的基礎を有しない者」とみなされた場合、更新は拒否される。

ウ 賃貸住宅管理業者が登録の更新を受けようとする場合は、その者が現に受けている登録の有効期間の満了日の90日前から満了日までの間に、国土交通省令で定められた登録申請書及び添付書類を国土交通大臣に提出しなければならない。

エ 令和371日に登録を受けた賃貸住宅管理業者は令和8630日に登録の有効期間の満了日が到来するので、その後も引き続き賃貸住宅管理業者として業務を行う場合は登録の更新申請が必要である。

1 1

2 2

3 3

4 4

 

【問9】正解③
アは正しい。賃貸住宅管理業者は営業所・事務所ごとに標識を掲げる義務があり、その標識には登録番号・登録年月日・登録の有効期間・商号等を記載する(賃貸住宅管理業法19条、施行規則39条・別記様式第12号)。
イは正しい。登録の新規・更新いずれの場合も、申請者が欠格事由に該当しないことが要件であり、その一つとして「賃貸住宅管理業を的確に遂行するに足りる財産的基礎を有しない者」が定められている(同法6条1項2号、7条3項)。その判断のため、直近事業年度の貸借対照表・損益計算書の提出が求められ、内容次第では更新が拒否される。
ウは誤り。更新申請は、有効期間満了日の90日前から30日前までに行う必要があり、「満了日まで」ではない(施行規則4条)。
エは正しい。登録は5年ごとに更新が必要であり(3条2項)、令和3年7月1日に登録を受けた場合、有効期間は令和3年7月1日から令和8年6月30日までとなるため、その後も業務を継続するには更新申請が必要となる。なお、「令和3年7月1日に登録を受けた」を「申請・受理した」と解釈すると、効力は翌日の7月2日からとなるので、満了日は7月1日となり誤りの可能性もある。
以上より、正しいのは3つで、正解は③である。

 

【問 10】賃貸住宅管理業法に基づく業務管理者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 賃貸住宅管理業者の営業所において業務管理者が2名選任されていたが、そのうち1名の業務管理者が退職した場合、新たに業務管理者を追加して選任するまでは、その営業所では新たな管理受託契約を締結することができない。

2 業務管理者は、入居者の居住の安定の確保等の観点から、賃貸住宅管理業者の従業員が行う管理業務等について必要な指導、管理及び監督の業務に従事する必要があり、宅地建物取引士の業務を兼務することはできない。

3 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者を、業務管理者に選任することはできない。

4 賃貸人から依頼を受けて200戸以上の賃貸住宅の維持保全を行っている実態があるものの、明示的に契約等の形式により委託を受けていない場合は業務管理者を選任する必要はない。

 

【問10】正解③
①は誤り。業務管理者が2名のうち1名退職しても、もう1名が残っている限り、その営業所で新たな管理受託契約を締結することはできる。管理受託契約が禁止されるのは、業務管理者が全員欠けた場合等に限られる(賃貸住宅管理業法12条2項)。
②は誤り。業務管理者は、従業員の行う管理業務の指導・管理・監督に従事する必要がありますが、宅建士との兼務は禁止されていない。「解釈・運用の考え方」でも専任の宅建士が業務管理者を兼務することは差し支えないとされている。
③は正しい。業務管理者は、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者など、登録の欠格事由(同法6条1項1~7号)に該当してはならず、そのような者を選任することはできない(12条4項)。
④は誤り。賃貸人から明示的な契約がなくても、本来賃貸人が行うべき維持保全を賃貸人に代わって行う実態があれば「賃貸住宅管理業」に該当する(同法2条2項・解釈運用)。200戸以上であれば登録義務・業務管理者選任義務が生じるため、「業務管理者を選任する必要はない」とする本肢は誤りである。

 

【問 11】賃貸住宅管理業法に基づく賃貸住宅管理業者の義務及び監督に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア賃貸住宅管理業者が合併により消滅し、その存続会社が賃貸住宅管理業の登録を受けていない者である場合は、存続会社は合併前の賃貸住宅管理業者が締結した管理受託契約に基づく業務を結了する目的の範囲内においてその業務を実施できるが、賃貸住宅管理業法の定める規定に従う必要がある。

イ 賃貸住宅管理業者は、賃貸住宅管理業を行う営業所の新設、廃止、所在地の変更があったときは、その日から30日以内に登記事項証明書を添付し国土交通大臣に変更届を提出する必要があり、これに違反した場合には監督処分や罰則の対象となる。

ウ賃貸住宅管理業者は、再委託先に対して指導監督の義務を負うことで管理受託契約の一部を再委託することができるが、再委託先が賃貸住宅管理業法の登録を受けた賃貸住宅管理業者であれば、受託した管理業務の全てについて他者に再委託することができる。

工賃貸住宅管理業者には、その業務に従事する従業者に従業者証明書を携帯させる義務が課されており、これに違反した場合には監督処分や罰則の対象となる。

1 1

2 2

3 3

4 4

 

【問11】正解③
アは正しい。合併により登録業者が消滅した場合、その一般承継人は、旧管理受託契約に基づく業務を結了する目的の範囲内で賃貸住宅管理業者とみなされ、法の規定に従って業務を行う必要がある(賃貸住宅管理業法27条)。
イは正しい。営業所の新設、廃止、所在地変更は登録申請事項の変更であり、賃貸住宅管理業者は30日以内に登記
事項証明書等を添付して国土交通大臣に変更届を提出しなければならず、違反すれば監督処分や罰則の対象となる(同法7条・44条)。
ウは誤り。管理業務の一部については再委託できるが、再委託先が登録業者であっても管理業務の全部を再委託す
ることは禁止されている(同法15条)。
エは正しい。賃貸住宅管理業者は、従業者に従業者証明書を携帯させ、請求があれば提示させる義務を負い、違反
すれば処分・罰則の対象となる(同法17条・23条・44条)。
以上より、正しいのは3つで、正解は③である。

 

【問 12】委任契約に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 無償で委任事務の処理の委託を受けた場合、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭に利息が発生したときは、その利息は委任者に返還しなければならない。

2 受任者が委任者の請求に応じて随時、委任事務の処理状況を報告していた場合、委任事務の終了の際の報告は不要である。

3 受任者が委任事務を処理するために必要と認められる債務を負担した場合、委任者に対して、自己に代わってその弁済をすることを請求することができる。

4 受任者が委任事務を処理するために必要な費用を支出したときは、委任者に対し、その費用に支出の日以後の利息を付して請求することができる。

 

【問12】正解②
①は正しい。受任者は委任事務の処理により受領した金銭を委任者へ引き渡す義務を負い、その利息・果実も委任者に返還すべきである(民法646条)。
②は誤りで、正解。受任者には、委任者の請求に応じた随時報告義務に加えて、委任終了後には経過及び結果を遅滞なく報告する義務があるため、随時報告していても終了時報告は不要とはならない(民法645条)。
③は正しい。受任者が委任事務を処理するため必要な債務を負担した場合、委任者に自己に代わる弁済を請求できる(民法650条2項)。
④は正しい。必要費を支出した受任者は、費用とともに支出の日以後の利息を請求することができる(民法650条
1項)。

 

【問 13】 賃貸住宅管理業法に基づき賃貸住宅管理業者が管理受託契約締結前に行う重要事項の説明(以下、各問において「管理受託契約重要事項説明」という。)に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか

ア 賃貸住宅管理業者の登録年月日と登録番号を説明しなければならない。

イ 管理業務の対象となる賃貸住宅の面積を説明しなければならない。

ウ 賃貸人が加入している賠償責任保険等によって補償される損害について、賃貸住宅管理業者が責任を負わない場合、その旨を説明しなければならない。

エ 管理受託契約の更新の方法について説明しなければならない。

1 1

2 2

3 3

4 4

 

【問13】正解④
アは適切。重要事項説明では、登録年月日・登録番号を含む業者情報を説明する義務がある(賃貸住宅管理業法13
条、施行規則31条1号)。
イは適切。対象となる賃貸住宅の所在地・構造・面積等の説明が必要である(同法規則31条2号)。
ウは適切。賃貸人の加入する保険で補償される損害について業者が責任を負わない場合、その旨を説明すべきとされる(同法規則31条7号)。
エは適切。管理受託契約の更新方法、解除事由等について説明義務がある(同法規則31条11号)。
以上より、適切なものは全部で、正解は④である。

 

【問 14 】管理受託契約重要事項説明に関する次の記述のうち、不適切なものはいくつあるか。

ア賃貸住宅管理業者の従業者が、管理受託契約の相手方に対して従業者証明書を提示せずに管理受託契約重要事項説明を行う場合、説明を受けた相手方が、説明者は当該賃貸住宅管理業者の従業者であることを知っていたような事情がない限り、管理受託契約重要事項説明が行われたとは認められない。

イ賃貸住宅管理業者の業務管理者でない従業者が、管理受託契約の相手方に対して管理受託契約重要事項説明を行う場合、業務管理者の管理及び監督の下に行われるものでなければならない。

ウ賃貸住宅管理業者が管理受託契約の報酬の変更をするに当たり、説明を受けようとする者の承諾があれば、その変更に係る管理受託契約重要事項説明を行った後、期間を置かずに変更契約を締結できる。

1 なし

2 1

3 2

4 3

 

【問14】正解②
アは不適切。重要事項説明は、賃貸人から委託を受けようとする管理業者が行う義務がある(管理業法13条1項)。実際の説明を行う者については、その管理業者の従業員であれば、必ずしも業務管理者である必要はない。また、管理受託契約の重要事項説明を行う際、従業者証明書の提示は義務付けられていない。よって設問の文章は不適切である。
イは適切。重要事項説明を管理受託契約を締結する管理業者の従業員が行うときは、業務管理者の管理および監督の下に行われる必要がある。
ウは適切。管理受託契約変更契約を締結しようとするときに管理受託契約重要事項説明を行う場合は、説明を受けようとする者が承諾した場合であれば、説明から契約締結まで期間をおかないこととして差し支えないとされている(解釈・運用の考え方13条関係1)。
以上より、不適切なものはアの1つで、正解は②である。

 

【問 15】 管理受託契約重要事項説明をテレビ会議等のITを活用して行う場合に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア説明者及び重要事項の説明を受けようとする者が、図面等の書類及び説明内容を十分に理解できる程度に映像が視認できる環境でなければならない。

イ説明者及び重要事項の説明を受けようとする者の双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境でなければならない。

ウ重要事項の説明を受けようとする者が、管理受託契約重要事項説明書及び添付書類を確認しながら説明を受けることができる環境でなければならない。

エ 賃貸人から賃貸住宅管理業者に対し、 管理受託契約変更契約の重要事項説明を電話で行ってほしいとの依頼があった場合でも、その後に賃貸人から ITの活用による説明を希望する旨の申し出があれば応じる必要がある。

1 1

2 2

3 3

4 4

 

【問15】正解④
アは適切。管理受託契約の締結前の重要事項説明については、一定事項のすべてを満たしている場合に限り、テレ
ビ会議等のITを活用することができ、これらの条件を満たした上でテレビ会議等のITを活用して説明を行った場合には、対面による説明と同様に取り扱われることとなる(解釈・運用の考え方13条関係4(2))。「説明者及び重要事項の説明を受けようとする者が、図面等の書類及び説明の内容を十分に理解できる程度に映像が視認できる環境であること」は、当該事項に含まれる。
イは適切。「説明者及び重要事項の説明を受けようとする者の双方が発する音声を十分に聞き取ることができるとともに、双方向でやりとりできる環境で実施していること」は、当該事項に含まれる。
ウは適切。「重要事項の説明を受けようとする者が、管理受託契約重要事項説明書及び添付書類を確認しながら説明を受けることができる環境であること」は、当該事項に含まれる。
エは適切。賃貸人から管理業者に対し、電話により管理受託契約変更契約の重要事項説明を行ってほしいとの依頼があった場合であっても、その後に改めて賃貸人から、対面又は前記のITの活用による説明を希望する旨の申
し出があれば、当該方法により説明しなければならないものとされている(解釈・運用の考え方13条関係4(3))。
以上より、すべて適切なので、正解は④である。

 

【問 16】 賃貸住宅標準管理受託契約書(国土交通省不動産・建設経済局令和3423日公表) に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 賃貸住宅管理業者が入居者から徴収した家賃等は、半年ごとに賃貸人に引き渡すこととされている。

2賃貸住宅管理業者が災害又は事故等の事由により、賃貸人の承認を受ける時間的な余裕がなく緊急に業務を実施したときは、速やかに口頭で業務の内容その実施に要した費用の額を賃貸人に通知しなければならないとされている。

3 賃貸住宅管理業者が修繕の費用負担について賃貸人を代理して入居者と協議する場合は、その内容について事前に賃貸人と協議し、承諾を求めなければならないとされている。

4 賃貸人が賃貸住宅管理業者に対し、管理業務を行うために必要な情報を提供しなかったために賃貸住宅管理業者に生じた損害は、賃貸住宅管理業者が負担するとされている。

 

【問16】正解③
①は誤り。賃貸住宅標準管理受託契約書(標準契約書)では、その7条において「管理業者は、入居者から徴収した当月分の家賃等を、毎月、頭書(6)に記載する振込先に、頭書(6)に記載する期日までに振り込むことにより、賃貸人に引き渡さなければならない」とされており、「半年ごとに賃貸人に引き渡すこと」とはされていない。
②は誤り。標準契約書では、その11条で「管理業者は、災害又は事故等の事由により、緊急に行う必要がある業務
で、賃貸人の承認を受ける時間的な余裕がないものについては、賃貸人の承認を受けないで実施することができる。この場合において、管理業者は、速やかに書面をもって、その業務の内容及びその実施に要した費用の額を賃貸人に通知しなければならない」とされている。書面により通知する必要があるので、口頭では足りない。
③は正しく、正解。標準契約書では、その13条において「管理業者は、管理業務のうち同条各号に掲げる業務について、賃貸人を代理するものとする。ただし、管理業者は、「賃貸借契約の更新」「修繕の費用負担についての入居者との協議」「賃貸借契約の終了に伴う原状回復についての入居者との協議」に係る業務を実施する場合には、その内容について事前に賃貸人と協議し、承諾を求めなければならない」とされている。
④は誤り。標準契約書では、その16条において、「賃貸人が、管理業者が管理業務を行うために必要な情報を提供せず、又は同条2項に定める必要な措置をとらず、そのために生じた管理業者の損害は、賃貸人が負担するものとする」とされている。よって、賃貸住宅管理業者が負担することとはされていない。

 

【問 17】 次の記述のうち、賃貸住宅管理業法に基づく特定転貸事業者が、特定賃貸借契約を締結しようとする際に行う相手方への説明 (以下、各問において「特定賃貸借契約重要事項説明」という。)において、特定賃貸借契約の相手方になろうとする者に交付すべき書面(以下、各問において「特定賃貸借契約重要事項説明書」という。) に記載しなければならない事項として誤っているものはどれか。

1 特定賃貸借契約を締結する特定転貸事業者が会社である場合については、その商号、住所、ファックス番号及び電子メールアドレス

2 特定転貸事業者が賃貸人に支払う家賃については、その支払方法

3 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全については、その回数や頻度、維持保全に要する費用の分担

4 転貸の条件として入居者を学生限定とする場合については、その旨 

 

【問17】正解①
①は誤りで、正解。特定転貸業者は、特定賃貸借契約を締結しようとするときは、賃貸人となろうとする者に対し、契約締結までに、特定賃貸借契約の内容及びその履行に関する事項であって規則で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならない(管理業法30条1項)。この重要事項説明において書面に記載して説明すべき事項として、特定賃貸借契約を締結する特定転貸事業者の商号、名称又は氏名及び住所」がある(同法施行規則45条1号、解釈・運用の考え方30条関係2(1))。「ファックス番号及び電子メールアドレス」については、記載しなければならない事項には含まれていない。
②は正しい。重要事項説明において書面に記載して説明すべき事項として、「特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項」がある(同法施行規則45条3号)。
③は正しい。重要事項説明において書面に記載して説明すべき事項として、「特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法」がある(同法施行規則45条4号)。この説明事項は、特定転貸事業者が行う維持保全の内容であり、維持保全を行う回数や頻度を明示して可能な限り具体的に説明する必要があるとされている(解釈・運用の考え方30条関係2(4)、ガイドライン6(5)⑤)。
④は正しい。重要事項説明において書面に記載して説明すべき事項として、「転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項」があり(同法施行規則45条10号)、学生限定等の転貸の条件を定める場合は、その内容が説明事項となるものとされている(解釈・運用の考え方30条関係2(10)、ガイドライン6(5)⑩)。

 

【問 18】 特定賃貸借契約重要事項説明に関する次の記述のうち、「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」 (国土交通省不動産・建設経済 局令和5331日改正。 以下、各問において、「サブリースガイドライン」という。)に照らして不適切なものはどれか。なお、本間において、「オーナー」とは特定賃貸借契約において特定転貸事業者の相手方となろうとする者をいうものとする。

1 サブリース業者が特定賃貸借契約重要事項説明を行わせる従業者について、法律上の制限はないが、賃貸不動産経営管理士など専門的な知識及び経験を有する者によって説明が行われることが望ましい。

2 サブリース業者が行う特定賃貸借契約重要事項説明に当たり、テレビ会議 等のITを活用する場合、オーナーの承諾の有無にかかわらず、特定賃貸借契約重要事項説明書をあらかじめ送付しておく必要がある。

3 サブリース業者が、電子メールを用いて特定賃貸借契約重要事項説明書を提供しようとする場合、記録に残る方法で、あらかじめオーナーの承諾を得なければならない。

4 特定賃貸借契約の更新時にサブリース業者がオーナーに支払う賃料を減額改定する場合、オーナーからの依頼があれば、一定の条件の下で電話により特定賃貸借契約重要事項説明を行うことも可能である。

 

【問18】正解②
①は適切。特定転貸業者は、特定賃貸借契約を締結しようとするときは、賃貸人となろうとする者に対し、当該契約の締結までに、重要事項について書面を交付して説明しなければならない(管理業法30条1項)。特定転貸事業者がこの重要事項の説明を担当させる従業者について、管理業法上の規定はないが、特定転貸事業者は、一定の実務経験を有する者や賃貸不動産経営管理士等の専門的な知識及び経験を有する者に重要事項説明を行わせることが望ましいとされている(解釈・運用の考え方30条関係1 、ガイドライン6(2)、FAQ集)。
②は不適切で、正解。サブリース業者が行う特定賃貸借契約重要事項説明につき、一定事項のすべてを満たしている場合に限り、重要事項説明にテレビ会議等のITを活用することが認められる(解釈・運用の考え方30条関係4(2)、ガイドライン6(6))。満たすべき事項として、「重要事項の説明を受けようとする者が承諾した場合を除き、重要事項説明書及び添付書類をあらかじめ送付していること」とあるので、設問の記述は不適切である。
③は適切。サブリース業者が書面の交付に代えて書面に記載すべき事項を電子メール等電磁的方法によって提供するためには、賃貸人の承諾を得ていなければならない(同法施行令3条1項)。なお、当該承諾については、電子メール等相手方が承諾したことが記録に残る方法で得なければならない(解釈・運用の考え方30条関係4(1))。
④は適切。特定賃貸借契約の締結前の重要事項説明については、一定事項の全てを満たしている場合に限り、電話による説明をもって対面による説明と同様に取扱うものとされている(解釈・運用の考え方30条関係4(2)、13条関係4(3)、FAQ集)。この一定事項の中に、「賃貸人から特定転貸事業者に対し、電話により特定賃貸借契約変更契約の重要事項説明を行ってほしいとの依頼があること」がある。

 

【問 19】 賃貸住宅管理業法第28条の勧誘者に関する次の記述のうち、サブリースガイドラインに照らして正しいものはどれか。

1 勧誘者とは、サブリース業者のマスターリース契約締結に向けた勧誘を行う者と、転貸借契約の締結に向けた勧誘を行う者である。

2 サブリース業者から、自社のマスターリース契約の勧誘の際に渡すことができるように自社名の入った名刺の利用を認められている者でも、明示的に勧誘を委託されていない限り、勧誘者には当たらない。

3 勧誘とは契約締結を勧める行為であり、契約のメリットを強調して締結の意欲を高めるにとどめる場合は、勧誘に当たらない。

4 サブリース業者の行為規制のうち、誇大広告等の禁止及び不当な勧誘等の禁止は、勧誘者にも適用されるが、契約締結前における契約内容の説明・書面交付義務は、勧誘者への適用はない。 

 

【問19】正解④
①は誤り。管理業法でいう「勧誘者」とは、特定転貸事業者と特定の関係性を有し、特定転貸事業者が特定賃貸借契約の締結についての勧誘を行わせる者である(管理業法28条、解釈・運用の考え方28条関係1、FAQ集)。「転貸借契約の締結のための勧誘を行う者」ではない。
②は誤り。「勧誘者」は、特定転貸事業者から明示的に委託を受けて勧誘を行う者、又は明示的に勧誘を委託されてはいないものの特定転貸事業者から勧誘を行うよう依頼をされたり、勧誘を任されたりしている者である(解釈・運用の考え方28条関係1、ガイドライン3(2)、FAQ集)。「特定のサブリース業者が、自社のマスターリース契約の勧誘の際に渡すことができるよう、自社名の入った名刺の利用を認めている者」は、明示的に勧誘を委託されていなくても、「サブリース業者と特定の関係性を有する者」として勧誘者に該当する。
③は誤り。「勧誘」とは、特定賃貸借契約の相手方となろうとする者の特定賃貸借契約を締結する意思の形成に影響を与える程度に契約締結を勧めることをいう(解釈・運用の考え方28条関係1、ガイドライン3(2)、FAQ集)。特定の特定転貸事業者との特定賃貸借契約のメリットを強調して契約締結の意欲を高めさせるなど、客観的に見て特定賃貸借契約の相手方となろうとする者の意思の形成に影響を与えていると考えられる場合も勧誘行為に含まれる。
④は正しく、正解。サブリース業者への行為規制のうち、契約締結前における契約内容の説明・書面交付義務は、勧誘者に対しては適用されない。

 

【問 20 】賃貸住宅管理業法に基づく特定賃貸借契約に係る広告に関する記述のうち、誤っているものはどれか。ただし、定期建物賃貸借契約ではないものとする。

1 誇大広告等が禁止される事項は、「特定転貸事業者が支払うべき家賃」、「賃貸住宅の維持保全の実施方法」、「特定賃貸借契約の解除に関する事項」の3つのみである。

2 特定転貸事業者の配布するチラシにおいて特定転貸事業者が「○年家賃保証」とのみ記載するのは、実際のものよりも著しく有利であると誤認させるような表示である。

3 誇大広告等が禁止される事項である「賃貸住宅の維持保全の実施方法」には、維持保全の内容のみならず、頻度も含まれる。

4 動画広告において、特定賃貸借契約を締結しようとする相手方が契約を選択するに当たって重要な考慮要素となるものに関する表示を行う場合は、相手方が読み終えることができるだけの十分な時間をかけて表示する必要がある。

 

【問20】正解①
①は誤りで、正解。誇大広告等が禁止される事項は、問題文記載の3つの事項のみではなく、規則で定める事項も含まれる。
②は正しい。問題文のとおり(ガイドライン4(7)①)。
③は正しい。問題文のとおり(ガイドライン4(3)②)。
④は正しい。問題文のとおり(ガイドライン4(4))。

 

 

【問 21】賃貸住宅管理業法に基づく特定転貸事業者に対する国土交通大の処分に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。

ア特定転貸事業者は、特定賃貸借契約の締結に向けて不当な勧誘を行った場合、国土交通大臣より違反の是正のための措置をとるべきことの指示処分を受けることがある。

イ国土交通大臣は、特定転貸事業者に対し賃貸住宅管理業法第331項の指示処分を行った場合、対象となる違反行為の軽重に応じ、公表するか否かを判断する。

ウ 特定転貸事業者は、特定賃貸借契約の締結に向けて不当な勧誘を行った場合、国土交通大臣より、1年間業務の全部を停止すべきことを命じられることがある。

1 なし

2 1

3 2

4 3

【問21】正解②
アは正しい。問題文のとおり(法第33条第1項)。
イは誤り。指示処分を行った場合には、その旨を公表しなければならないとされている(法第33条第3項)。
ウは正しい。問題文のとおり(法第34条第1項)。
以上より、誤りはイのみで、正解は②である。

 

【問 22】 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律及び「国土交通 省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」(国 土交通省令和511)に関する次の記述のうち、適切なものの組合せはどれか。

ア社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮は、努力義務とされている。

イ不動産管理業者が、歩行障害を有する者に個別訪問により重要事項説明等を行うことを求められた場合に、個別訪問を可能とする人的体制を有していないため対応が難しい等の理由を説明した上で、当該対応を断ることは、合理的配慮の提供義務違反に該当しないとされている。

ウ不動産管理業者が、障害者に対して障害の状況を確認することは、障害者の社会的障壁を除去するために必要な範囲で、プライバシーに配慮して行えば、不当な差別的取扱いに該当しないとされている。

エ電話利用が困難な障害者から各種手続においてメールによる対応を求められた場合であっても、自社マニュアル上、当該手続は利用者本人による電話のみで対応するものとされている場合には、それを理由として対応を断ることは、合理的配慮の提供義務に違反しないとされている。

1 ア、イ

2 ア、エ

3 イ、ウ

4 ウ、エ

 

【問22】正解③
アは不適切。合理的配慮義務は、障害者差別解消法が令和3年5月に改正されて(令和6年4月1日施行)、法律上の義務となった。
イは適切。「国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針(以下「差別解消ガイドライン」)」によれば適切である。
ウは適切。差別解消ガイドラインによれば適切である。
エは不適切。差別解消ガイドラインによれば、合理的配慮の提供義務違反に該当する事例として挙げられている。
以上から、適切なものはイとウで③が正解。

 

【問 23】 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(以下、 本間において「住宅セーフティネット法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。 なお、本間において「セーフティネット登録住 宅」とは、同法第8条の「住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅事業に係る賃貸住宅」をいう。

1 住宅セーフティネット法に基づく制度では、セーフティネット登録住宅の改修への支援と、入居者の負担を軽減するための支援が用意されている。

2 賃貸住宅の賃貸人がセーフティネット登録住宅の登録をする際、入居を拒まない住宅確保要配慮者の範囲を限定することが可能である。

3 賃貸住宅の賃貸人がセーフティネット登録住宅の登録をする際、住宅の規模、構造等についての制限はない。

4 賃貸住宅の賃貸人がセーフティネット登録住宅の登録をする際、一棟単位だけでなく、住戸単位での登録も可能である。

【問23】正解③
①は正しい。住宅セーフティネット法により正しい。
②は正しい。住宅セーフティネット法により正しい。
③は誤りで、正解。セーフティネット登録住宅の登録の際には、住宅の規模、構造等について、耐震性を有すること、住戸の床面積が原則25㎡以上であること、家賃の額が近傍同種の住宅の家賃の額と均衡を失しないことなどの一定の基準に適合することが必要とされている。
④は正しい。住宅セーフティネット法により正しい。

 

【問 24】個人情報の保護に関する法律に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1住所や電話番号だけでも、他の情報と容易に照合することができ、これにより特定の個人を識別することができる場合、当該情報と併せて全体として個人情報に該当することがある。

2 会社の他の部署へ個人データを提供する場合、当初特定した利用目的の達成に必要な範囲であれば、あらかじめ本人の同意を得る必要はない。

3 個人情報取扱事業者が個人データを第三者に提供する場合、個人情報保護委員会の許可を得る必要がある。

4 個人情報取扱事業者が登記簿等を閲覧して個人情報を取得する場合、利用目的を公表していれば、 本人に通知する必要はない。

 

【問24】正解③
①は正しい。個人情報保護法第2条第1項参照。
②は正しい。個人情報取扱事業者内において、当初特定した利用目的の達成に必要な範囲であれ、本人の同意を得る必要はない。
③は誤りで、正解。個人情報取扱事業者が個人データを第三者に提供する場合、個人情報保護委会の許可を得る必要はない。
④は正しい。登記簿等で国の機関、地方公共団体等により公開されている情報については、利用目的を公表していれば、本人に通知する必要はない。

 

【問 25】 賃貸住宅管理業法第20条に基づく委託者への定期報告に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア委託者への定期報告は、法令上、口頭でも足りるとされているが、書面で行うことが望ましい。

イ 委託者への定期報告は、管理受託契約を締結した日から1年を超えない期間ごとに行わなければならない。

ウ管理業務の対象となる賃貸住宅の入居者からの苦情の対応状況は、委託者への定期報告の対象に含まれる。

エ委託者への定期報告は、業務管理者が行う必要がある。

1 ア、イ

2 ア、エ

3 イ、ウ

4 ウ、エ

 

【問25】正解③
アは誤り。委託者への定期報告は、管理業務報告書を作成し、交付して説明しなけければならない(賃貸住宅管理業法20条、同法施行規則第40条第1項)。
イは正しい。問題文のとおり正しい(同法施行規則第40条、解釈・運用の考え方第20条関係2)。
ウは正しい。問題文の通り正しい(同法施行規則第40条第1号乃至第3号)。
エは誤り。委託者への定期報告義務があるのは管理事業者であり、必ずしも業務管理者が行う必要はない。
以上より、イとウが正しく、③が正解である。

 

【問 26】法令に基づく設備の定期点検に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

1 共同住宅の消防用設備について、設備全体の作動状況を確認する総合点検は6か月ごとに行い、また、機器の外観 機能及び作動状況を確認する機器点検は1年ごとに行う必要がある。

2 自家用受変電設備を設置した自家用電気室を設け、高圧で受電して共用部分やテナントへ電力を供給する場合は、電気主任技術者を選任するか、保安管理業務を外部委託する必要がある。

3 簡易専用水道設置者は、毎年1回以上、定期に、地方公共団体の機関又は国土交通大臣及び環境大臣の登録を受けた者に依頼して検査を受けなければならない。

4 浄化槽の定期検査は、都道府県知事の指定する指定検査機関が行わなければならない。

 

【問26】正解①
①は不適切で、正解。消防用設備等の点検について、機器の外観、機能および作動状況を確認する機器点検は6か月に1回、設備全体の作動状況を確認する総合点検は1年に1回行う必要がある(消防法第17条の3の3)。
②は適切。問題文のとおり(電気事業法第38条、第43条、
同法施行規則第52条第2項)。
③は適切。問題文のとおり(水道法第34条の2第2項、同
法施行規則第56条)。
④は適切。問題文のとおり(浄化槽法第7条、第11条2項)。

【問 27】相隣関係に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。

ア土地の所有者は、境界付近における建物の修繕のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。

イ土地の所有者は、他の土地に設備を設置しなければガスの供給を受けることができないときは、ガスの供給を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置することができる。

ウ隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、急迫の事情がある場合であっても、竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときでなければ、土地所有者は、自ら越境した枝を切除することができない。

エ隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、竹木の所有者に根を切除するよう催告し、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときでなければ、土地所有者は、自ら越境した根を切除することができない。

1 ア、イ

2 ア、エ

3 イ、ウ

4 ウ、エ

 

【問27】正解①
アは正しい。相隣関係につき、正しい記述である(民法209条)。
イは正しい。令和3年に民法が改正されて、土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができるとされた(民法230条の2)。
ウは誤り。急迫の事情がる場合には、境界線を越えた隣地の竹木の枝を、催告を得ることなく土地所有者は、その枝を切除することができる(民法233条第3項)。
エは誤り。隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、土地所有者はその根を切り取ることができる(民法233条2項)。
以上より、アとイが正しく、正解は①である。

 

【問 28】 定期建物賃貸借でも一時使用目的の賃貸借でもない建物賃貸借契 約(以下、各問において、「普通建物賃貸借契約」という。) で、賃借人が賃料 3か月分を滞納している場合において、賃貸人又は賃料の収納業務を委託された賃貸住宅管理業者の対応に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 賃借人の債務に連帯保証人がある場合、賃貸人は、まずは賃借人に対し滞納賃料の支払を請求し、賃借人がその履行をしないときに限り、連帯保証人に対する請求をすることができる。

2賃借人が賃貸人に対し、敷金を滞納賃料の一部に充てることを請求した場合であっても、賃貸人は、改めて滞納賃料の全額及びこれに対する遅延利息を賃借人に請求することができる。

3 賃貸住宅管理業者が、賃借人から前月分の滞納賃料の弁済であると指定されて賃料の1か月分を収受したが、賃貸人が直ちに異議を述べた場合には、いずれの滞納分に充当するかを賃貸人と協議の上で決めることができる。

4 賃貸人から特別の委任があれば、賃貸住宅管理業者が、賃借人に対し滞納賃料の支払を求める訴訟を提起してその回収を図ることができる。

 

【問28】正解②
①は誤り。連帯保証の場合は、賃貸人は、賃借人に対して滞納賃料に支払請求しすることなく連帯保証人に対する請求をすることができる(民法第454条)。保証債務は、原則として主たる債務が履行されない場合に第二次的に履行すべき債務(「補充性」)という性質を有しているが、連帯保証債務には補充性が排除されており、催告の抗弁権(民法第452条)及び検索の抗弁権(民法第453条)がない。
②は正しく、正解。賃貸人は、賃借人が賃料債務を履行しない場合には敷金をその弁済に充てることができるが(民法第622条の2第2項前段)、賃借人は、敷金を賃料債務に充てることはできない(同項後段)。
③は誤り。賃借人が弁済の充当する債務を指定した場合には、その指定に従って充当されることになる(民法第488条)。
④は誤り。滞納賃料の支払いを求める訴訟を提起することは法律事務に該当し、報酬を得ている管理業務の一環として行うものとして、弁護士法違反となる(弁護士法第72条)。

 

【問 29】 借地借家法第32条に定める賃料増減請求権の行使に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 普通建物賃貸借契約で、賃料改定は協議により行うという特約がある場合でも、当事者間で協議が調わないときは、賃貸人は、賃料増額請求権を行使することができる。

2 定期建物賃貸借契約で、契約期間中は賃料の増減をしないという特約があるときでも、賃借人は、賃料減額請求権を行使することができる。

3 賃貸人が賃料増額請求権を行使した場合において、賃借人がその請求が到達してから1か月以内に異議を述べなかったときは、賃料は、請求到達後1か月が経過した時点から増額される。

4 賃借人が複数の場合、賃貸人による賃料増額請求権行使の通知が賃借人の 一部に対してなされたときでも、賃貸人はすべての賃借人に対し、増額後の賃料を請求することができる。 

 

【問29】正解①
①は正しく、正解。普通建物賃貸借契約においては、協議特約があっても協議が整わなければ、賃貸人は賃料増額請求を行使することができる(借地借家法第32条1項)。
②は誤り。定期建物賃貸借契約においては、賃料増減請求をしない旨の特約がある場合には、賃借人もち賃料増減額請求を行うことはできない(同法38条第9項)。
③は誤り。賃料増額請求権が行使されると、賃料はその請求が賃借人に到達したときに賃料増額の効果が発生する。
④は誤り。賃借人が複数の場合の賃料増額請求権の行使は、賃借人全員に対して行う必要がある(最判昭54.1.19)。

 

【問 30】 個人であるAが賃貸不動産を賃借するに当たって、Aが勤務する 会社BAの委託を受けて連帯保証人となった場合の連帯保証契約に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 賃貸借契約の保証は根保証に当たるため、賃貸人とBとの間の連帯保証契約は、賃貸借契約におけるAが負うべき滞納賃料等の債務につき、極度額を定めなければ無効とされる。

2 賃貸人は、Bから請求があったときは、Aの賃貸借契約上の債務の履行状況につき、情報提供しなければならない。

3 賃貸借契約が事業のためになされる場合、Aは、自己の財産及び収支の状況などにつき、保証の委託に際しBに情報提供しなければならない。

4 Aが所在不明で連絡がとれない場合、Bは、別に解除権の授権がなくとも、連帯保証人として、賃貸借契約の解除をすることができる。

 

【問30】正解②
①は誤り。個人根保証の場合には、極度額を定めることが必要であるが、法人が連帯保証する場合にはその必要はない(民法第465条の2)。
②は正しく、正解。問題文の記述は正しい(民法第458条の2)。
③は誤り。保証契約時に情報提供が必要とされるのは、保証人が個人の場合であって、法人の場合には必要ではない(民法第465条の10第3項)。
④は誤り。連帯保証人は賃貸借契約を解除することはできない。

 

 

【問 31】会計に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 費用とは、未払金、前受金等、将来において一定の財産を減らすものをいう。

2 取引を適正に会計処理するためには、現金の入出金が生じた時点で収益又は費用の計上を行わなければならない。

3 企業会計原則は、法令に定められたものではないが、すべての企業がその会計を処理するに当たって従わなければならない基準である。

4 会計では、一般的に、損益計算書とキャッシュフロー計算書の2つを合わせたものを財務諸表と呼んでいる。

 

【問31】正解③
①は不適切。費用とは、金銭等の財産が減少する要因を意味する。外注費、給与、消耗品費、水道光熱費など。一方、未払金、未払金は、将来において一定の財産を減少させる負債に該当する。
②は不適切。取引を適正に会計処理するためには、収益または費用は発生の事実をもって計上する派生主義が適切だとされている。
③は適切で、正解。企業会計原則についての適切な記述である。
④は不適切。会計では、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つから構成される。

 

【問 32】 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン (再改訂版) (国土 交通省平成238月。以下、各問において「原状回復ガイドライン」という。) に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア原状回復ガイドラインによれば、賃借人所有のエアコンの設置によって生じた壁のビス穴の跡の原状回復費用は、賃借人の負担とはならない。

イ原状回復ガイドラインによれば、喫煙によりクロスに付着したタバコの臭いの原状回復費用は、賃借人の負担とはならない。

ウ原状回復ガイドラインによれば、フローリングワックスがけの費用は、賃借人の負担とはならない。

エ原状回復ガイドラインによれば、備付けのエアコンの内部洗浄の費用は、喫煙による臭いの付着の有無にかかわらず、賃借人の負担となる。

1 ア、イ

2 ア、ウ

3 イ、エ

4 ウ、エ

 

【問32】正解③
アは正しい。原状回復ガイドラインによれば、エアコン(賃借人所有)設置による壁のビス穴、跡については、テレビ等と同様一般的な生活をしていくうえで必需品になってきており、その設置によって生じたビス穴等は通常の損耗と考えられる。
イは誤り。原状回復ガイドラインによれば、喫煙等によりクロス等がヤニで変色したり臭いが付着している場合は、通常の使用による汚損を超えるものと判断される場合が多いと考えられる。なお、賃貸物件での喫煙等が禁じられている場合は、用法違反に当たるものと考えられる。
ウは正しい。原状回復ガイドラインによれば、フローリングワックスがけは、通常の生活において必ず行うとまでは言い切れず、物件の維持管理の意味合いが強いことから、賃貸人負担とすることが妥当と考えられる。
エは誤り。原状回復ガイドラインによれば、エアコンの内部洗浄は、喫煙等による臭い等が付着していない限り、通常の生活において必ず行うとまでは言い切れず、賃借人の管理の範囲を超えているので、賃貸人負担とすることが妥当と考えられる。
以上より、誤りはイとエで、正解は③である。

 

【問 33】賃貸住宅における原状回復に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 原状回復ガイドラインによれば、継続して使用可能な賃貸住宅の設備であっても、経過年数を超えたものについては、賃借人が故意に破損し、使用不能とした場合でも、賃借人は原状回復費用を負担する必要はないとされている。

2 原状回復費用の賃借人の負担について、原状回復ガイドラインの内容と異なる特約を定めても無効である。

3 原告が原状回復に係る少額訴訟の訴えを提起した場合、被告は訴訟を通常の手続に移行させることはできない。

4 原状回復に係る少額訴訟においては、反訴を提起することはできない。

 

【問33】正解④
①は不適切。原状回復ガイドラインによれば、経過年数を超えた設備等であっても、継続して賃貸住宅の設備等として使用可能の場合に賃借人が故意・過失により設備等を毀損し、使用不能としてしまった場合には、賃貸住宅の設備等として本来機能していた状態まで戻す、例えば、賃借人がクロスに故意に行った落書きを消すための費用(工事費や事件被等)などについては、賃借人の負担となることがある。
②は不適切。原状回復費用の賃借人の負担について、原状回復ガイドラインの内容と異なる特約を定めた場合も常に無効となるものではなく、1:特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなど客観的、合理的理由が存在し、2:賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識し、3:賃借人が特約による義務負担の意思表示をしている場合には、特約も有効となり得る。
③は不適切。原告が少額訴訟の訴えを提起した場合、被告は希望すれば、通常の訴訟手続に移行させることができる(民事訴訟法第373条)。
④は適切で、正解。少額訴訟手続においては、反訴が禁止されている(民事訴訟法第369条)。

 

【問 34】土地、建物等に係る損害賠償責任に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じた場合において、その工作物の占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、その工作物の所有者が損害賠償の責任を負う。

2 建物の管理を行う賃貸住宅管理業者は、建物の安全確保について事実上の支配をなしうる場合、占有者として工作物責任を負うことがある。

3 竹木の栽植又は支持に瑕疵があることによって他人に損害を生じた場合において、その所有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、その所有者は損害賠償の責任を負うことはない。

4 エスカレーターの引渡し時点において欠陥がある場合、不動産に付合して独立した製造物でなくなったとしても、当該エスカレーターは製造物責任法の製造物責任の対象となり得る。

 

【問34】正解③
①は正しい。土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない(民法717条1項)。
②は正しい。建物の管理を行う賃貸住宅管理業者が、建物の安全確保について事実上の支配をなしうる場合には占有者として工作物責任を負うことがあるというのが判例である(東京地判昭和55.4.25、東京地判平成29.1.20)。
③は誤りで、正解。竹木の栽植又は支持に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その竹木の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない(民法717条2項)。
④は正しい。「製造又は加工された動産」を「製造物」といい(製造物責任法第2条第1項)「製造物を業として製造、加工又は輸入した者(製造業者)等」(同法第2条第3項)は、「製造、加工、輸入等をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」(製造物責任法第3条第1項)。建物等の土地の工作物は製造物責任の対象ではないが、「製造業者等が製造物の引渡しをした後にその製造物が不動産に付合して独立した動産でなくなったとしても、その製造物は、製造物責任の対象となり得る」と解されている(東京地判平成25.4.19)。

 

【問 35】建物の構造に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

1 プレハブ工法は、規格化された部材を組み合わせるため、設計の自由度が高い。

2 鉄筋コンクリート造は、中低層の建物に多く利用されているが、現在は、高層の建物でも採用されている。

3 鉄骨鉄筋コンクリート造は、鉄筋コンクリート造に鉄骨部材を内包した構造で、鉄筋コンクリート造よりも耐震性に優れている。

4 鉄骨造は、鋼材の加工性が良く、施工工期が短く、省力化が可能である。

 

【問35】正解①
①は不適切で、正解。プレハブ工法は、規格化された部材を組み合わせるため、設計の自由度が低い。
② は適切。鉄骨鉄筋コンクリート造は、中低層の建物(8階建てくらいまで)に多く採用されているが、現在はコンクリートと鉄筋の強度の高い材料を採用することにより、高層鉄筋コンクリート造建造物(Hi-RC)でも広く採用されている。
③は適切。鉄骨鉄筋コンクリート造は、一般的に鉄筋コンクリート造よりも耐震性(強度・変形能力)に優れており、鉄骨構造より振動が少なく、遮音性が高い。比較的高層建築物に向くとされている。
④は適切。鉄骨造は、比較的軽量なので(超)高層建物に採用されることが多い。耐震性に優れる。

 

【問 36】 「2017年改訂版 既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準 同解説」(一般財団法人日本建築防災協会) に基づく耐震診断に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

1 耐震診断の大きな流れは、建物調査、構造耐震指標の算定、耐震性能の判定の順となる。

2 耐震診断には、第1次診断法、第2次診断法、第3次診断法がある。

3 1次診断法では、比較的壁の少ない建物では耐力が過大評価される。

4 耐震診断の結果、補強が必要と診断された場合には、補強計画を立案する。 

 

【問36】正解③
①は適切。既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断の大きな流れは、建物調査、構造耐震指標の算定、耐震性能の判定の順となるが、必要により補強計画、補強工事の実施となる。
②は適切。既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断の計算方法には、第1次~第3次診断までの方法がある。
③は不適切で、正解。第1次診断法は、各階の柱と壁(鉛直部材)のコンクリートの断面積とその階が支えている建物重量から計算する最も簡便な方法。比較的壁の多い建物には適しているが、壁の少ない建物では耐力が過小評価される。
④は適切。補強が必要と診断された場合、補強計画を立案し、その具体的な仕様等を決定するため、補強設計を行う。また、補強設計の妥当性を検討するため、補強後の診断は「精密診断」によることが望ましいとされている。

 

【問 37】住宅の室内に発生する漏水の原因や調査方法に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

1 雨水以外の漏水は、賃借人の過失や不注意を除けば、給水配管や排水配管からの漏水の他、給水管の保温不足による結露に起因する漏水などが考えられる。

2 配管からの漏水の場合、パイプシャフト内の配管や室内に露出している部分に漏水箇所が発見できなければ、床下やスラブの埋設配管、壁の内側に隠れた配管等からの漏水を疑う必要がある。

3 マンション等の場合、漏水の発生源は被害の生じた部屋の上階が多いことから、給水管を漏水の原因として調査する場合、上階の水栓をすべて閉め、給水メーターの動きを見ることで判断できる。

4 室内のキッチンの多くは防水されているので、流し台の排水ホースが外れたとしても、下階へ水漏れを起こすことはほぼない。 

 

【問37】正解④
①は適切。
②は適切。
③は適切。
④は不適切で、正解。トイレやキッチンは、多くの場合ほぼ防水されていないので、洗濯機を溢れさせたり、流し台や洗面台の排水ホースが外れたりしていると、下の階へ水漏れを起こす場合がある。また、配管からの水漏れやトイレの詰まりを放置すると、下階へ漏水することになる。

 

【問 38】共同住宅における防火管理に関する次の記述のうち、消防法等の規定によれば、正しいものはどれか。

1 防火対象物は、不特定多数の人が出入りする店舗やホテル、劇場などの非特定防火対象物と、事務所や共同住宅など利用者が限定されている特定防火対象物に分類され、設置する消防用設備等の基準や防火管理体制が異なっている。

2 主要構造部が耐火構造であるなどの一定の構造要件を満たす共同住宅は、消防設備等の設置が緩和される特例が設けられている。

3 共同住宅においては、収容人数30人以上の場合、防火管理者を定め、防火管理を行うための消防計画を作成させ、必要な業務を行わせなければならない。

4 消防用設備等の設置及び報告が義務づけられている共同住宅等の所有者、管理者又は占有者は、消防用設備等の点検を行い、その結果を毎年、所轄の消防長又は消防署長へ点検報告書として提出しなければならない。

 

【問38】正解②
①は誤り。共同住宅、事務所等不特定多数の人が出入りする用途ではない建物を非特定防火対象物といい、不特定多数の人が出入りする店舗や集会施設等を特定防火対象物という。
② は正しく、正解。共同住宅等の建築構造が一定の要件(主要構造部が耐火構造、住戸等間の防火区画、住戸等と共用部分の防火区画・開口部の防火措置)を備えている場合にあっては、当該共同住宅等の二方向避難又は開放廊下・階段の確保状況に応じて、消防用設備等の設置に係る特例基準が設けられている(共同住宅に係る消防用設備等の技術上の特例について(通知)(平成7年10月5日消防予第220号))。
③は誤り。共同住宅において、防火管理者を選任し、防火管理業務を行わせなければならないのは、防火対象物の収容人数が50人以上の場合である。
④は誤り。消防用設備等の設置及び報告が義務付けられている防火対象物の関係者は、居住用賃貸マンション等においては、3年に1回以上、消防署へ点検報告書を提出することが定められており、店舗等不特定多数の人が出入りする建物又はその用途が一部である場合は1年に1回の報告が義務付けられている。

 

【問 39】給水設備に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

1 給水配管には、各種の樹脂ライニング鋼管・ステンレス鋼鋼管・銅管・合成樹脂管などが使用されている。

2 逆サイホンとは、給水管内の水流を急に締め切ったときに、水の慣性で管内に衝撃と高水圧が発生する現象のことである。

3 室内の配管方式の一つであるさや管ヘッダー方式は、内管・さや管ともに樹脂管のため、軽量でフレキシビリティが高く、ねじ切り加工が不要である。

4 加圧給水方式は、水道本管から分岐して引き込んだ上水をいったん受水槽に蓄え、加圧ポンプによって加圧した水を直接、各住戸へ給水する方式である。 

 

【問39】正解②
①は適切。
②は不適切で、正解。逆サイホンとは、給水主管の断水時や、高置水槽の清掃などで給水が停止しているときに、下層階で大量の水が使用されると、上層階の飲料水配管内が負圧になり逆サイホン作用で吐水した水が逆流する現象をいう。
③は適切。さや管ヘッダー方式は、洗面所等の水回り部に設置されたヘッダーから管をタコ足状に分配し、各水栓等の器具に単独接続するもので、ガイドとなる樹脂製のさや管内に同じく樹脂製の内管(架橋ポリエチレン管またはポリブテン管)を挿入するものである。この方式は、給水だけでなく、給湯にも採用され、現在の給水・給湯配管方式として広く普及している。
④は適切。加圧給水方式は、ポンプ直送方式とかタンクレスブースター方式ともいう。ポンプは2台あって、通常1台が常時運転し、給水量が増えて給水圧力が低下すると、2台目のポンプが稼働して圧力を維持する。この方式は高置水槽が不要であり、高層マンションにも採用されている。

 

【問 40】賃貸住宅の登記に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 賃貸住宅の引渡しを受けて居住している賃借人は、賃借権の登記をしていなくても、当該賃貸住宅を購入した者に対し、自らの賃借権の存在を主張することができる。

2 賃貸住宅の所有権者として登記されていた者が、実際はその所有権を有していなかった場合でも、登記を信頼してその者から当該賃貸住宅を購入した者は、その所有権を有効に取得する。

3 賃貸住宅の所有権者として登記されている者が、実際はその所有権を有していなかった場合でも、その者が所有権者であるものと推定される。

4 相続財産である賃貸住宅の所有権が未登記であった場合には、相続人が、その所有権の保存登記をすることができる。 

 

【問40】正解②
①は正しい。借地借家法によれば、賃借権の登記がなくても、建物の賃借権については建物の引渡しがなされていれば、賃借人は新所有者に対し、賃借権を対抗することができる(借地借家法第31条)。
②は誤りで、正解。不動産登記には公信力は認められていないため、登記を信頼して権利を譲り受けても、譲渡人が無権利者であるならば、権利の取得は認められない。
③は正しい。不動産登記を経ている場合には、登記名義人は権利者であると推定される(不動産登記の推定力)。
④は正しい。登記簿の表題部所有者またはその相続人その他の一般承継人は、未登記の不動産について、保存登記をすることができる(不動産登記法第74条第1項第1号)。

 

 

【問 41】土地の価格に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1、公示価格は、一般の土地の取引価格に対する指標の提供、公共用地の取得価格の算定規準、収用委員会による補償金額の算定などのため、地価公示法に基づいて地価について調査決定し、公表される価格である。

2 基準地価格は、都道府県知事が地価調査を行い、公表される価格で、国土利用計画法による土地取引規制に際しての価格審査などのために用いられる。

3 相続税路線価は、相続税・贈与税の課税における宅地等の評価を行うため に設定される価格で、評価水準は公示価格の8割程度とされている。

4 固定資産税評価額は、都道府県知事が決定する基準年度の初日の属する年の前年の11日の時点における評価額であり、3年ごとに評価替えが行われ、宅地の評価水準は公示価格の7割程度とされている。

 

【問41】正解④
①は正しい。
②は正しい。
③は正しい。
④は誤りで、正解。固定資産税評価額は、市町村長が決定するものである。

 

【問 42】不動産の税金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 消費税の計算上、免税事業者からの課税仕入れについて、 令和7年度の消費税の納税においては、仕入税額控除の対象となる金額はない。

2 不動産所得において事業的規模による不動産貸付とは、貸付規模がおおむね5棟又は10室以上など社会通念上事業と称するに至る程度の不動産貸付をいう。

3 固定資産税は毎年11日時点、都市計画税は毎年41日時点での土地又は建物の所有者に対し市町村が課税する税金である。

4 建物の賃貸借契約書に賃料・礼金などの記載がある場合、その記載金額により印紙税が課せられる。

 

【問42】正解②
①は誤り。免税事業者からの課税仕入れについては、仕入税額控除の適用を受けることができないが、経過措置として令和5年10月1日から令和8年9月30日までは、仕入等に係る消費税額の80%が、令和8年10月1日から令和11年9月30日までは、仕入等に係る消費税額の50%が控除される。
②は正しく、正解。
③は誤り。都市計画税も、固定資産税と同様、毎年1月1日時点での土地建物所有者に対し市町村が課税する税金である。
④は誤り。建物の賃貸借契約書には、印紙税はかからない。

 

【問 43】火災保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 賃借人が蛇口を閉め忘れたために、階下の入居者の家財に損害を与えて法律上の損害賠償責任を負った場合、その家財は賃借人が契約した火災保険の個人賠償責任特約の補償対象となる。

2 賃借人が蛇口を閉め忘れたために、床や壁に損害を与えて賃貸人に対する法律上の損害賠償責任を負った場合、賃借人が契約した火災保険の借家人賠償責任特約の補償対象となる。

3 賃貸マンションやアパートの配管が原因で水濡れが生じ、賃貸人が法律上の損害賠償責任を負った場合、賃貸人が契約した火災保険に賃貸建物所有者賠償特約が付帯されていれば補償対象となる。

4 火災等の事故によって賃貸している建物の賃料収入が得られなくなった場合、賃貸人が契約した火災保険に家賃収入特約が付帯されていても補償対象とならない。

【問43】正解④
①は適切。
②は適切。
③は適切。
④は不適切で、正解。家賃収入特約により、賃貸人が、火災等の事故によって賃貸している建物の家賃収入が得られなくなった場合の損失が補償される。。

 

【問 44】 空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、本間において「空 家対策法」という。)に基づく空き家対策に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 空家対策法による空き家対策の3つの柱は、登記の義務化、管理の確保、建物状況調査の推進である。

2 市町村長は、そのまま放置すれば特定空家になるおそれのある空家を所有者不明空家として認定し、管理指針に即した措置を指導・勧告することができ、勧告を受けた所有者不明空家は、固定資産税の住宅用地特例の適用が除外される。

3 空家等活用促進区域は、市町村が区域や活用指針等を定め、用途変更や建替え等を促進する区域である。

4 市町村長から指定されたNPO法人、社団法人等の空家等管理活用支援法人の役割は、所有者等への普及啓発、市町村長から情報提供を受けた所有者等との相談対応を行うことであり、市町村長に財産管理制度の利用を提案することは認められていない。

 

【問44】正解③
①は不適切。空家対策法による空き家対策の3つの柱は、「活用拡大」「管理の確保」「特定空家の除去など」とされている。
②は不適切。市区町村長は、そのまま放置すれば特定空家になるおそれのある空家を「管理不全空家」として、管理不全空家に対し、管理指針に即した措置を指導・勧告する。勧告を受けた管理不全空家は、固定資産税の住宅用地特例の適用(200㎡以下の部分について課税標準が1/6等に減額される)の対象から除外される。「所有者不明空家」ではない。
③は適切で、正解。空家等活用促進区域は、市区町村が区域や活用指針等を定め、用途変更や建替え等を促進するための区域である(空家対策法7条等)。
④は不適切。支援法人制度として、市区町村長がNPO法人、社団法人等を空家等管理活用支援法人に指定し、指定された支援法人が、所有者等への普及啓発、市区町村からの情報提供を受け所有者との相談に対応する。この支援法人は、市区町村長に財産管理制度の利用を提案することもできるので、設問の記述は不適切である。

 

【問 45】賃貸不動産に係る新たな政策課題の解決や、新たな活用方策の推進において、賃貸住宅管理業者及び賃貸不動産経営管理士の役割に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 単身高齢者の居住の安定確保を図るため、住宅扶助費等の代理納付制度や残置物の取扱いに係る契約上の取扱いなどを説明し、賃貸人が家賃滞納等に対して感じる不安を払拭して、円滑な賃貸借につなげることが賃貸不動産経営管理士には期待される。

2 「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(法務省・国土交通省令和3 6月公表)によれば、解除関係事務受任者や残置物関係事務受任者には推定相続人、居住支援法人や社会福祉法人などを想定しており、賃貸人と管理委託契約を結んでいる管理業者は受任者になることはできない。

3 空き家の賃貸住宅化は空き家問題の解決策のひとつであるが、空き家の賃貸住宅化には所有者の意欲や資力、空き家の老朽化や劣化、戸建の賃貸需要の少なさなどの課題があるため、空き家所有者が賃貸不動産経営に参画できる環境の整備に賃貸不動産経営管理士が関与することはできない。

4 「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(国土交通 省不動産・建設経済局令和310月公表) によれば、賃貸住宅管理業者は、賃貸住宅における人の死について入居者に告知する必要がある。

 

【問45】正解①
①は適切で、正解。賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅経営について不安を持つ賃貸人に対し、住宅扶助費等の代理納付制度や残置物の取扱いに係る契約上の取扱い等を助言し、単身高齢者に対する積極的な賃貸住宅の提供を図ることによって、賃貸人の賃貸住宅経営上の不安の払しょくに資するとともに、社会的な要請でもある単身高齢者の賃貸住宅への入居の促進につなげる役割が期待されている。
②は不適切。残置物のモデル条項によれば、解除事務受任者や残置物事務受任者には、推定相続人を受任者とすることが困難な場合等には、居住支援法人や居住支援を行う社会福祉法人の他、賃貸人から管理受託している管理業者もなれるものとしている。
③は不適切。賃貸不動産経営管理士は、空き家所有者に対し、賃貸物件化による空き家の有効活用の助言・提言等を通じて、空き家所有者が安心して賃貸不動産経営に参画できる環境の整備等に積極的に関与し、空き家の賃貸化の促進等による空き家問題の解決に一定の役割を果たすことが期待されている。
④は不適切。当該ガイドラインは、宅建業者が宅建業法上負うべき義務の解釈についての一般的な基準である。賃貸住宅管理業者に対しての、人の死について入居者に告知するための基準とはされていない。

 

【問 46】賃貸住宅の入居者の募集に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。

ア 物件が既に契約済みで、取引できなくなっているにもかかわらず、そのままインターネットに広告表示を続けることは、不動産の表示に関する公正競 争規約 (平成17年公正取引委員会告示第23) によれば、おとり広告となる。

イおとり広告は、不動産の表示に関する公正競争規約に違反するが、宅地建物取引業法に違反するものではない。

ウ 空室が出た1か月後に、宅地建物取引業者である賃貸住宅管理業者が賃貸借契約の媒介を行った場合、賃貸人と賃借人の双方の承諾がある場合に限り、賃貸人と賃借人それぞれから賃料の1か月分の 1.10 倍に相当する額を報酬として受領することができる。

エ 令和64月以降に建築確認申請が行われた建築物について、賃貸事業を営む賃貸住宅の所有者には、広告物に省エネ性能を示すラベルを表示する努力義務が課せられる。

1 ア、イ

2 ア、エ

3 イ、ウ

4 ウ、エ

 

【問46】正解③
アは正しい。事業者は、物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する広告表示をしてはならない(不動産に関する公正競争規約21条おとり広告の禁止)。物件がすでに契約済みで取引できなくなっているにもかかわらず、そのままインターネットに広告表示を続けることは賃貸することのできない物件について広告をすることになるので、おとり広告となる。
イは誤り。おとり広告は、著しく事実に相違するものとして、誇大広告に該当し、宅建業法に違反する行為である(宅建業法32条)。
ウは誤り。宅建業者である管理業者が賃貸住宅管理において、賃貸人を媒介して入居者の募集業務をする場合、募集業務には宅建業法の適用があるため、原則として賃貸借契約の両当事者から受け取ることのできる報酬の合計額は、賃料の1か月分の1.10倍に相当する額が上限となる。当事者それぞれから1か月分の1.10倍に相当する額を受領することはできず、宅建業法違反となる(宅建業法46条、報酬額告示4)。
エは正しい。消費性能の向上を図るため、建築物省エネ法による表示制度が創設されており、建築物の販売または賃貸を行う事業者は、その販売または賃貸を行う建築物についてエネルギー消費性能を表示するよう努めなければならないものとして、広告物に省エネ性能を示すラベルの表示義務が課されている(建築物省エネ法33条の2)。
以上より、誤っているのはイとウで、正解は③である。

 

【問 47】建築基準法の用語に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 建築とは、建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転することをいう。

2 特殊建築物には、学校、体育館、病院などがあるが、共同住宅は含まれていない。

3 建築設備とは、建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう。

4大規模の模様替とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。

 

【問47】正解②
①は正しい。建築とは、建築物を新築し、増築し、改築し、または移転することをいう(建築基準法2条13号)。
②は誤りで、正解。特殊建築物とは、学校(専修学校および各種学校を含む)、体育館、病院の劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、市場、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、旅館、ほか共同、寄宿舎、下宿、工場、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵場、と畜場、火葬場、汚物処理場住宅その他これらに類する用途に供する建築物である(同法2条2号)。よって共同住宅も含まれている。
③は正しい。建築設備とは、建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針をいう(同法2条3号)。
④は正しい。大規模の模様替とは、建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう(同法2条15号)。

 

【問 48】機械式駐車場及びエレベーターの維持管理方法についての次の記述のうち、不適切なものはどれか。

1 立体駐車場設備には、一定の経過年数に応じて交換が必要な部品があり、メンテナンス費用の予算化が求められる。

2 機械式駐車場は、その構造や規模により不活性ガス消火設備、泡消火設備、ハロゲン化物消火設備等の設置が義務づけられている。

3 エレベーターの保守契約は、部品取替えや機器の修理を状況にあわせて行うフルメンテナンス契約と、 機器や装置の点検、給油、調整や消耗部品の交 換などに限り行うPOG契約がある。

4 共同住宅の所有者又は管理者は、3年に1回エレベーターの安全のための検査を行い、その結果を特定行政庁に提出しなければならない。

 

【問48】正解④
①は適切。立体駐車場設備には、「タワー式」「ピット式」「横行昇降式」等のタイプがあり、3年から5年で交換する部品や、8年程度で交換する部品があるので、メンテナンス費用の予算化が求められる。
②は適切。機械式駐車場では、その駐車場の構造や規模により、不活性ガス消火設備、泡消火設備、ハロゲン化物消火設備等の設置が義務づけられている。
③は適切。エレベーターの保守契約は、概ね月1回か2回の保守点検を実施する内容で、「フルメンテナンス契約」と「POG契約」の2方式がある。フルメンテナンス契約は部品取替えや機器の修理を状況にあわせて行う内容であり、月々の契約が割高となる。POG契約は消耗部品付契約のことであり、定期点検や契約範囲内の消耗品の交換以外の部品の取替えや修理は別料金となる。
④は不適切で、正解。法定点検として、建物の所有者等は、年1回昇降機定期点検報告書を特定行政庁に提出しなければならない(建築基準法12条、同法施行規則6条1項)。

 

【問 49】給湯設備に関する次の記述のうち、不適切なものはどれか。

1 飲用給湯方式は、ガスや電気を熱源とする貯湯式給湯機を必要箇所に個別に設置する方式である。

2 中央(セントラル) 給湯方式は、熱源機器、貯湯タンク、循環ポンプを設け、建物各所へ供給する方式である。

3 瞬間式給湯機は、給湯機内の熱交換器に通水し、ガスバーナーで加熱することによって機器に取り込んだ水を直ちに湯として供給する構造となっている。

4 ヒートポンプ給湯機は、電気と同時に発生する熱を回収し、給湯に利用するシステムである。

【問49】正解④
①は適切。飲用給湯方式は、ガスや電気を熱源とする貯湯式給湯機を必要箇所に個別に設置する方式で、給湯機に直接湯栓を付けた貯湯式給湯機を使用する等がある。
②は適切。中央(セントラル)給湯方式は、建物の屋上や地下の機械室にボイラーなどの熱源機器と貯湯タンクを設けて建物各所へ配管で供給する方式であり、ホテルや商業ビルなど大きな建物に使用される。
③は適切。瞬間式給湯機は、給湯器内の熱交換器に通水し、ガスバーナーで加熱することにより機器に取り込んだ水を直ちに湯として供給する構造となっている。
④は不適切で、正解。ヒートポンプ給湯機(エコキュート)は、ヒートポンプの原理を利用して大気から集めた熱を利用して湯を沸かす機器である。設問は、家庭用燃料電池(エネファーム)についての記述内容である。

 

【問 50】賃貸住宅を取り巻く社会的情勢に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」 (令和6925日公表。 以下、本間において 「令和5年住宅・土地統計調査」という。)によると、 令和 5101日の総住宅数 総世帯数は、いずれも前回調査 (平成30)より増加して過去最多となったが、1世帯当たりの住宅数は、前回調査より減少した。

2 令和5年住宅・土地統計調査によると、令和5101日の持ち家住宅率は 60.9% で、前回調査より低下する一方、借家の割合が38.0%となって前回 調査より増加したことに伴い、民営借家の割合が住宅全体の35.0%を占めることとなった。

3令和5年住宅・土地統計調査によると、令和5101日の空き家数9002千戸のうち、最も多いのは売却用の空き家である。

4 国土交通省総合政策局建設経済統計調査室 「建築着工統計調査報告 (令和 6年計)(令和7131日公表) によると、令和6年の新設住宅着工戸数の利用関係別内訳では、貸家、分譲住宅、持家の順に数が多い。

【問50】正解④
①は不適切。令和5年住宅・土地統計調査結果(総務省統計局)により2023年(令和5年)10月1日現在の主なデータをみると、総住宅数は、6504万7000戸であり、前回調査の2018年(平成30年)から4.2%の増加となり、過去最多となっている。総世帯数は5621万5千世帯で、1世帯当たりの住宅数は1.16戸となっており、2013年(平成25年)以降は同水準で推移している。したがって、1世帯当たりの住宅数が減少しているのではない。
②は不適切。同調査によれば、持ち家住宅率は60.9%となっており、前回調査の2018年と比べて0.3ポイント低下している。他方、借家は1,946万2千戸で、住宅全体に占める割合は35.0%となっており、2018年と比べて0.6ポイント低下している。借家の内訳をみると、「民営借家」が1,568万4千戸(住宅全体に占める割合は28.2%)と最も多くなっている。
③は不適切。同調査によれば、空き家は900万2千戸と、前回調査の2018年と比べて51万3千戸の増加で過去最多となっており、最も多いのは、賃貸用の空き家である。
④は適切で、正解。令和6年の新設住宅着工は、貸家及び分譲住宅が減少したため、全体で減少となった。なお、利用関係別戸数では、貸家が最も多く、次いで分譲住宅、持家の順に数が多い。

 

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