住宅・不動産業界のキャリアアップサイト「不動産ココ」に掲載されている資格の生まれた背景や魅力などを、主催する団体トップに聞く「トップインタビュー」。
NPO法人日本住宅性能検査協会の大谷昭二理事長に「建物検査士」について語ってもらった。

【住宅診断の専門家・建物検査士】
建物の健康状態を把握する上で「建物検査士」は重要な役割を果たす。住宅ストックが積み上がり、老朽化する物件も増えている中で、その重要性は増している。持続可能な社会活動の一翼を担う。NPO法人日本住宅性能検査協会の大谷昭二理事長に聞いた。

――建物検査の必要性について

日本の住宅の平均寿命は平均37年と言われている。米国の50年や英国の70年と比べると異常な短さだ。建物の所有者に維持管理(メンテナンス)の意識が希薄なためと思われる。賃貸マンションやアパート、戸建て住宅は30年以上もほったらかしで、雨漏りなどトラブルが発生して、はじめて修繕するのが実態。定期的な検査と適切な修繕が、持続可能な社会のためにいま最も求められている。
建物検査では、現在の価値にとどまらず、将来の価値も見極める役割があると思う。所有者からの依頼に基づいて現状を調査するだけではなく、不動産の売買や相続の際に建物の将来価値を見極めるための大切な仕事だ。30年先に建物が機能するために長期計画を国土交通省のガイドラインに基づいて立案している

――建物検査士講座で学べることは

契約に関する法律知識として改正民法、消費者契約法、品確法など幅広い。建物の法律知識としては建築基準法、都市計画法、消防法などを学べる。建物の知識は構造と工法、建築材料の知識。実務は建物の種類別に必要な検査ポイントを詳細に渡って講義している。また、建物を長期にわたり維持管理するための長期修繕計画の作成方法を理解してもらう」

――建物検査士は、不動産ADRの基礎資格でもあります

その通り。不動産ADR(裁判外紛争解決手続き)センターの調停員資格の基礎資格であり、ADR資格受講後にADR調停員として所有者と施工者の間でのトラブルを解決する役目も担っている

(2022/04/26)

 

「建物検査士」資格詳細ページ

※「建物検査士」は、建物検査の方法や判定に関する知識と経験を有する専門家
eラーニング講座の受講と復習テストで認定