建築費などの上昇による価格高騰を背景に新築マンション市場の縮小が続いている。首都圏での供給戸数は13年の5万6000戸からほぼ一貫して減少を続け、22年からの3万戸割れが25年で4年連続となるのはほぼ確実だ。価格高騰以外にも、10年頃からは30~40歳代人口の減少も始まっており、人口動態という構造的要因も背景にあると見られる。新築マンション市場縮小時代を迎え業界はどう対応すべきだろうか。
建築費や土地価格の上昇が止まらないため、事業難度が増しているとの指摘は多く聞かれる。用地不足も深刻化している。ならば、そうした事業機会の減少をむしろ前向きにとらえ、今こそマンションが抱える本質的課題に本格的に取り組む好機とすべきだ。具体的には合理的な管理体制の確立、住民同士の円滑な合意形成などが挙げられる。外国人居住者や不在オーナーなども増える中、管理アプリによる連絡体制の強化・総会開催などのIT化・DX化促進が期待されている。長期修繕計画の着実な実施に備え、管理会社による管理組合への専門コンサルタントの派遣・常駐、その延長線上にある管理会社による将来的な第三者管理体制への移行など新築時からの備えが求められている。
現在、老朽化したマンションがいわゆる〝2つの老い〟問題に苦しめられているのも「新築時からの備え」という発想が欠如していたからだろう。ディベロッパーが関与するのは引き渡しまでといわれるが、その後は系列の管理会社が長期にわたって関与し続ける責務があるという自覚を持つことが、これからのマンション業界に求められているのではないか。
もう一つの課題が合意形成という難題だ。マンションは多くの価値観を持った人たちが一つ屋根の下に暮らし、共同してその資産価値を維持していかなければならないという宿命を負っている。しかし現実は資産運用としてとらえて売却益確保を目的としている人もいれば、当初から賃貸として貸し出す目的の人もいる。もちろん純粋に居住用として長期に住み続ける人たちが多いが、そこでも年月を経る間には所得格差が拡大し、建物の修繕や大規模工事に対する姿勢にも大きな隔たりが生まれる。マンションという居住形態は総戸数が増え、年月を経るほど課題が増えるという現実を供給者側と購入者側の双方が覚悟する必要がある。大量供給時代が終焉し、少数高品質化時代を迎えた今こそ、そうした難題に本気で取り組む好機とすべきだ。今年4月には老朽マンションの適切な管理・維持・再生をしやすくするための改正区分所有法が施行される。決議要件の緩和、管理と再生手続きの円滑化、総会運営の合理化などその内容は本格的で多岐にわたる。この改正法を十分に活用し、超長期にわたって「安心して住み続けることが出来るマンション」への変革を期待する。



