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大言小語 「取引士」誕生で業界が誓うこと

 宅建業法改正による〝宅地建物取引士〟の誕生が現実味を増してきた。「主任者」の「士」への名称変更が、不動産業界に対する国民の信頼を加速させることを期待したい。

 ▼現状では、大切な資産である不動産について、国民が気軽に、安心して相談できる専門家が地元や身近にあまりいない。そうした信頼感の無さや、対応窓口の少なさが、日本の中古住宅市場活性化の障害になっているとしたら…。

 ▼不動産取引にまつわるリスクが多様化している今日、宅建業者の力だけでは国民の信頼確保が難しいという指摘もある。そのため国土交通省は、一昨年度から宅建業者を核とした協議会づくりを全国で進めている。不動産取引に関する各事業者や専門家をネットワークし、国民に「ワンストップ」で多様なサービスを提供するための仕組みである。ただ、こうした取り組みが最終的に成功するかどうかの鍵を握るのは、やはり宅建業者である。

 ▼国民が「士業」に求めるのは、こちら側に立って仕事をしてくれる姿勢である。その専門的能力を自分のために出し切ってくれるという信頼感である。医師や弁護士に対する期待もそういうものだ。つまり、「士」への名称変更は、不動産業界で働くすべての人たちが、顧客を決して裏切らないプロフェッショナルになることを誓う証(あかし)のようなものであろう。