住まい・暮らし・文化

22年キッズデザイン賞 積水ハ、ポラスが奨励賞 〝地域社会での育み〟を訴求

 キッズデザイン協議会(坂井和則会長)は9月28日、六本木アカデミーヒルズ(東京都港区)で「第16回キッズデザイン賞」の上位賞の表彰式とシンポジウムを開催した。同賞は子供や育児に配慮した製品・空間・サービスを顕彰するもの。今回は、受賞作品214点の中から、最優秀賞(内閣総理大臣賞)をはじめ、36点の優秀作品が表彰され、住宅関連業界からは、積水ハウスとポラスグループの中央住宅が奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)を受賞した。

 最優秀賞は、なないろレディースクリニックと黒田潤三アトリエが手掛けた医療施設群「なないろこまち」が獲得。「地域に人を引きつける施設が、〝この地域で子どもを産み育てたい〟〝ここで知り合った人々とつながり続けたい〟と感じさせる、リアルな触れ合いを大切にした良質な取り組み」と高い評価を受けた。

 中央住宅は、隣地に約300m2の市民農園を確保し、開発した埼玉県春日部市の分譲戸建て住宅「育てることで育む『農』のある暮らし ハナミズキ春日部・藤塚」(総戸数22戸)が、「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門」の消費者育成部門で奨励賞を受賞。土地の特長や既存住民とのコミュニケーションの構築に注力したエリアブランディングなどが、「住まいながら農に関わり、自らの食の成り立ちや消費を学べる、社会提案性の高い取り組み」と評価された。

 積水ハウスは、乳児期~児童期の子を持つ世帯に特化した間取りのほか、安心して子供が遊べる中庭、親同士で子供の預かり合いなどを想定したキッズラウンジ、子供の学びを手助けするterakoya(寺子屋)など、子育てを支援する要素を多数備えた埼玉県さいたま市の賃貸マンション「エルミタージュクール」(総戸数32戸=写真㊤)が、「子どもたちを産み育てやすいデザイン部門」の個人・家庭部門で奨励賞を受賞。共用部の設備と取り組みなどが「子育てに特化した思い切った空間提案」と評価を受けた。

 なお、今回は、383点の応募から214点が受賞した。

 表彰式であいさつに立った坂井会長は、「目に付いたのは〝地域〟というワード。子育ての孤立化が社会課題として意識され、地域社会で子供を育むことで地域自体も再生・成長していく取り組みが活性化していると思われる。また、SDGsの17のゴールが当たり前のように意識され、キッズデザインとSDGsとのつながりの強さが感じられた」と今回の受賞作品の特徴を総括した。