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一般財団法人日本不動産研究所(42) 全国市街地の変遷 ――昭和の記憶から次代へ 福岡市「六本松」・キャンパス跡地で進む再開発 九大移転による冬の時代乗り越える 多世代が集まる街に転換

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新たなシンボルの複合施設「六本松421」 人気住宅「MJR六本松」

天神の南西2.5キロ

 福岡市中央区六本松は、九州最大の繁華街である天神の南西約2.5キロに位置しており、市営地下鉄七隈線六本松駅から天神南駅まで約8分と都心への交通アクセスに優れ、周辺には大濠公園などの多くの緑地がみられる。六本松という地名は、その昔松があったことに由来し、1921年に九州大学の前身である旧制福岡高等学校が創立され、63年には九州大学教養学部が置かれるなど、従来は戸建て住宅や店舗が立ち並ぶ学生街として栄えていた。

 だが、70年代中盤に天神地下街が完成し、博多大丸が現在の位置に移転することから始まった天神の商業集積を契機に、状況が徐々に変化していった。81年には地下鉄空港線が開業し、それとともに82年に国鉄筑肥線鳥飼駅が廃止されたため、六本松周辺の商店街は客足が次第に遠のいていき、物販店を中心に店舗が少しずつ姿を消していった。

 そうした状況でも、街がそれほど活気を失わなかったのは、九州大学の存在がことさら大きかったといえるが、09年に九州大学が伊都キャンパスに移転すると、それまでこらえてきた店舗も閉店に追い込まれていき、六本松に冬の時代が到来した。

 しばらく厳しい状況にあった六本松だが、JR九州が14年に九州大学跡地北部(計約2.1万m2)を117億円で落札。15年に同地での複合商業施設の開発計画を発表すると、六本松に光明が差し始める。JR九州は、取得した土地の東部に、福岡市科学館や九州大学の法科大学院などが入る複合商業施設「六本松421」、西部には同社ブランドの分譲マンション「MJR六本松」を開発した。

事務所、住宅需要も

 17年9月に開業した「六本松421」は、住所の「4丁目2番1号」から命名され、1階にはスーパーマーケットの「ボンラパス」、2階には「蔦屋書店」がキーテナントとして入居するなど、商業エリアには20以上の店舗が入居し、六本松の新たなシンボルとして期待される。「MJR六本松」は、住宅部分が販売開始からわずかな期間で完売し、商業機能のある1階には、オムライスが有名な「五穀」を含め12店舗が入居し、休日は特に人通りが絶えない。

 こうした開発の影響を強く受ける形で、周辺の地価が上昇し、17年度基準地「福岡中央(県)5-12」の価格は1m2当たり59万円で、前年比13.5%の上昇となった。

 また、22年度には市営地下鉄七隈線が博多駅まで延伸する予定で、都心への交通アクセスが更に向上することが期待されるほか、九州大学跡地南部では裁判所、検察庁や弁護士会館が移転する予定で、これによる事務所需要や住宅需要の増加も期待される。

 現在、周辺ではマンションやオフィスの開発が進展しており、開発を目的とする土地の売買が多くみられるなど、一時期の活気を取り戻しつつある。再開発を契機に、学生の街から多様な世代やコミュニティが集まる街へ転換しつつある六本松。今後の動向にも注目である。

(日本不動産研究所九州支社、不動産鑑定士・山崎健二)

 

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