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社説 17年地価公示 地方の活性化は急務だ

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 17年地価公示(1月1日時点)が発表され、全用途平均で0.4%上昇し、2年連続の上昇となった。また、住宅地は横ばいとなり、9年ぶりに下落から脱した。商業地は1.4%と堅調に上昇。特に地方四市である、札幌市・仙台市・広島市・福岡市では、すべての用途で住宅地・商業地とも三大都市圏を上回る上昇となっている。地価は安定的に回復しており、日本の経済成長を後押しできる状況だ。

 住宅地が下落から脱した要因は、ゼロ金利政策による住宅ローン金利の低下にある。商業地の上昇要因は、再開発事業の進展による繁華性の向上や、外国人観光客の増加などを背景にホテルや店舗の進出意欲の旺盛さにある。

6割もの地点が下落

 しかし、地域をこと細かに見ると、どうだろう。地価公示資料の「上昇・横ばい・下落の地点数の推移」によると、全国の全用途で下落地点は1万352。41.4%、約4割の地点が下落。これを地方圏で見ると、同じ条件の下落地点は7764で58.7%。約6割もの地点が下落となる。また、このうち元気な地方四市を除くと、64.3%の地点が下落となっている。無視できない数字だ。

 首都圏の住宅地を見ても、東京23区と横浜市の一部では2%以上上昇しているが、神奈川県では横須賀や小田原で2%以上の下落。千葉県では、白井市、野田市、我孫子市が同様の下落。特に横須賀三浦地域では、下落幅が拡大した市町が見られる。これらにほぼ共通しているのが、最寄り駅からバス便となっている旧新興住宅地だ。景観を重視し、資産性を高める意味で設けられた建築協定による最低敷地面積制限のため、総額的に市場不適合が生じ、高齢化のみ進む街もあるという。

 16年の地価公示において、弊紙社説では、「国が進めているコンパクトシティ構想を更に迅速化させ、周辺地域の活性化を図る必要がある」とした。残念ながら、この1年で目に見えるようなスピード感はない。早急に対策を打たないと、高齢化と空き家に更に拍車がかかる。

 一方上昇地点を見ても極端な所がある。上昇している東京23区の中でも、千代田区、中央区、港区の上昇は5%以上と群を抜いている。該当区で販売されるマンションは1億円を超えるのが当たり前の世界だ。以前はインバウンド投資による購入が多かったが、現在は、国内資産家の購入割合が多いという。経済、地価を引っ張る効果があることは否定しないが、異常値としか思えないケースもある。それでも香港やシンガポールと較べて相対的に価格が安いので、この傾向は今後も続きそうだ。

 こうした現象は全体の地価を引き上げる効果はあろうが、それによって、下落を続けている地域への目配りを忘れてはいけない。今こそ、地方に対する投資になお一層注力する必要がある。地価の発表は日本を考え直すいい機会としなければならない。

 

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