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社説 過酷な賃貸市場 社会の要請にプロが応えよ

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 新設住宅着工統計によると、貸家建設が10月で12カ月連続の増加となった。国土交通省は相続税強化が背景にあるという。

 しかし、賃貸住宅市場には既に全空き家戸数の52%を占める429万戸もの空室があり、今後も増加が予想されている。

 それだけではない。家賃は新築時が一番高く、その後は経年と共に下がり続ける傾向が常態化している。建物の資産価値は古くなるほど減価していくから、土地価格が建物価値の減少分を埋めてなお余るぐらい上昇しなければ全体の資産価値も劣化していく。

 つまり、家賃、入居(稼働)率、資産価値のいずれもが下がり続けるという〝三重苦〟を前提に多くの賃貸住宅が建てられていることになる。これは賃貸住宅を事業経営と捉えれば、悪条件がそろい過ぎているので、普通はあり得ないことである。にもかかわらず、〝12カ月連続増加〟ということは、多くの賃貸住宅が事業経営というより、土地活用、相続税対策重視で建てられているからだ。

 当然、競争は激化する。そのため、近年はハウスメーカーなど事業者による一括借り上げ方式が加速している。同方式はプロが賃料を長期間保証してくれるから家主は安心して賃貸住宅を建てることができる。その際に、賃料保証契約の内容を十分理解し、後でトラブルにならないようにすることは当然だ。

 一方、前述した〝三重苦〟を必ずしも所与とはしない、賃貸住宅経営のプロと呼ばれる人たちが登場し始めているのも事実である。いわば、入居希望者が行列する可能性さえ秘めた賃貸住宅を企画するプロフェッショナルである。

 従来から賃貸住宅経営の成否を決めるのは、(1)立地(2)間取り(3)設備といわれてきたが、近年は〝暮らし〟そのものに着目した商品企画が人気を集めている。家主や入居者同士が日常的に交流することや、子育てがしやすい、入居者専用の食堂がある、家庭菜園ができるなど提案内容は多彩である。そうした新感覚の賃貸であれば、競争力は十分である。

 地元業者の役割も大きい。空室が多いアパートが増えれば地域が衰退し悪循環を招きかねない。管理を任されている物件については徹底した空室防止策や、空室を埋めるための工夫を家主に積極的に提案していく責務がある。地元に最も精通しているプロならではの知恵やアイデアがあるはずである。

 超高齢化、社会保障費の増大など不透明感を増す日本社会にあって、賃貸住宅の生活インフラとしての重要性は今後確実に高まるだろう。単身世帯の比率もすべての世代にわたって増加している。今後は持ち家取得を人生の大きな目標とする人は減少していくだろう。その意味で、プロによる良質な賃貸住宅が数多く供給されることは、実は社会の要請でもある。

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