今週の住宅新報 行政・団体ニュース

環境貢献で容積率緩和
市再生特別地区が対象 地方公共団体へ指針
国交省

国土交通省は、大都市でのまちづくりに民間の活力や創意工夫を最大限活かすため、民間事業者の幅広い環境貢献を評価し、容積率緩和につなげるよう地方公共団体を促す。都市再生特別地区(再生特区)(今週のことば)で提案する開発プロジェクトにおいて、民間事業者が求める「容積率の緩和」の根拠として、同事業者が離れたエリアで行う緑地保全をはじめとする環境貢献の取り組みなどを都市計画決定権者となる地方公共団体が評価するよう運用指針を改正。「幅広い環境貢献の取り組みを民間事業者が行う場合にあっては、これを積極的に評価することも考えられる」と明示する。7月20日に改正指針案を公表。9月の公布、施行を予定している。

建築物の容積率増加は、その建築物と隣接する交通や下水道をはじめとする社会基盤などに負荷を与える。そのため、既存の用途地域に基づく容積率制限などを受けず、自由度の高い計画を定めることができる再生特区で都市計画を決定する場合、各都市計画決定権者はそれぞれの基準に照らし、その負荷を吸収する同特区内の環境貢献など配慮を評価しつつ、決定してきた。一方で、国交省によると、再生特区から離れたエリアで行われる取り組みが評価されている実態はこれまで見られない。

こうしたことから、同一都市計画区域内での取り組みであることや、貢献の効果が相当期間継続するもので、それが都市計画制限などにより担保されることを前提に、積極的に評価するよう地方公共団体へのメッセージとして、運用指針で明示することを決めた。

併せて改正指針案では、都市計画決定権者がどのような考え方で民間プロジェクトを評価するか、その考え方を可能な限り事前に明示するよう要請する方針。民間事業者の積極的な提案を促す狙いがある。

幅広い環境貢献の取り組みによる容積率の緩和は、国交省の成長戦略で大都市の国際競争力強化に向け、提言された政策案の1つ。国交省はその政策案を元に、都市計画制度に関する専門の審議会(社会資本整備審議会都市計画部会都市計画制度小委員会)での議論を通じてこのほど、指針案をまとめた。

住宅着工予測 10−15年度は80万戸台で推移
12年度から減少へ 貸家が空室増で長期下降
住宅・市場研

住宅・不動産市場研究会(代表=伊豆宏・明海大学名誉教授)は7月22日、10―15年度の住宅着工予測を発表した。それによると、今後6年間は80万戸台で逓減傾向をたどり、15年度には81万6000戸にまで落ち込む見通しだ。利用関係別で、この間の落ち込み幅が最も大きいのは貸家で16%減少する。増加するのはマンション分譲だけで5%増える予想だ。

10年度の住宅着工戸数は09年度の77万5000戸より増えて、88万2000戸となる。11年度もわずかに増えて88万5000戸となるが、12年度からは85万5000戸、84万5000戸、82万9000戸、81万6000戸と減少していく。10年、11年度に増加するのは住宅金融支援機構による優良住宅に対する1%金利引き下げ、贈与税非課税枠の拡大、新築に対するエコポイントの導入などが寄与するため。

利用関係別では、貸家が06年度の53万戸をピークに急激に減り始めていくのが特徴で、12年度以降の減少をけん引している。貸家は15年度には28万戸にまで減少する。これは20歳代、30歳代世帯の需要層が減少していくため、空き家が更に増加し、家賃の低下が予測されるため。

地域別では東京圏と東海圏が11年度から、近畿圏は13年度から、その他地域は12年度から減少に転じていく。東京圏は10年度が32万1000戸で09年度より5万5000戸も増えるが、11年度は30万7000戸に減少する。これは、持家などはほぼ横ばいだが貸家が減少し続けるため、近畿、東海、その他地域も減少に転ずる要因は貸家の減少が大きい。

持家系が比較的堅調なのは、10年度以降、日本経済が回復に向かい、勤労者の可処分所得が増加し、持家取得能力が高まるため。

ひと
リノベ住宅は積極的な選択肢
設立1周年を迎えたリノベーション住宅推進協議会の広報担当
木内玲奈さん

中古住宅市場の活性化を目的としてリノベーション住宅推進協議会が発足したのが昨年の7月。

「当初は、50社集まるといいねと言っていた」会員数は、発足式に約100社が集まり、現在270社まで増えた。想定を大幅に上回るペースだ。この1年間で地方部会も大阪、名古屋、九州と次々と発足。近く広島でも立ち上がる。取材依頼も格段に増えた。「リノベーションに対する関心の高さを実感している」という。

協議会の発起会社の1つでもあり、早くからリノベーション事業を展開してきた会社、リビタの広報を務める。現在、リビタと協議会、両方の広報業務を忙しくこなす。

「リビタは新しい仕組みにチャレンジしている企業。協議会には様々な会社が集まり、リノベーション住宅の品質の標準化、普及を目指している。両方の広報に携わることで相乗効果が生まれている気がする」と楽しそうだ。

コーポラティブハウスのコーディネーターの経験を持つ。土地探しから設計、建設まで入居予定者をサポートしていく仕事だ。「認可関係や住宅ローンなども含め、住まいづくりの一連の流れに携わった経験が今の仕事にとても役立っている」

新築住宅に携わっていたからこそ、情報量の違いなど中古住宅が置かれている環境も分かる。

これまで、中古住宅を買ってリノベーションすることは、新築を手に入れられない場合の代替手段として見られがちだった。「しかし、これからのユーザーにとってはむしろ、当たり前、積極的な選択肢になるのではと期待している」。実は、自分でも中古物件を購入してリノベーションしたいと考えているところだという。その方が自分の住まいとしての愛着が深まるという声も多い。

もっと一般消費者に協議会のリノベーション住宅に対する理解を深めてもらうため、今後はインターネットを使った情報提供にも力を入れる。

供給側とユーザー、両方の視点を持った広報としてリノベーション住宅の魅力を伝えてくれそうだ。