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国交省予算&税制要望
高齢者住宅(サービス付き)の供給促進

国土交通省の11年度予算概算要求と税制改正要望が発表された。住宅政策では「高齢者対応」や「環境配慮」、「優良な新築や中古・リフォーム市場の活性化」が、都市政策では「大都市の国際競争力強化」が重視されるなど、5月にまとめた成長戦略を前面に押し出す内容となっている。
エコポイントは延長・拡充
住宅の高齢者対応では、介護や医療などのサービスが付いた高齢者住宅の供給促進が一大課題だ。国交省は、サービス付き高齢者住宅を法律上位置付け、登録制度を創設するため、厚生労働省と共管する高齢者住まい確保法の改正案を11年通常国会に提出する予定。概算要求では、そうした住宅の整備費を補助する事業などに350億円を要求した。要求額は前年度比2・19倍となっている。
整備費の補助制度は、今年度に高齢者等居住安定化推進事業の特定部門として行っている生活支援サービス付き高齢者専用賃貸住宅への補助制度と概ね同様の制度で行う。住宅は戸当たり100万円を上限に、生活支援施設は一施設当たり1000万円を上限に助成する。対象となるサービス要件は現在、厚生労働省と内容を詰めている。
高齢者等居住安定化推進事業は8月に10年度第2回の募集を行ったところ。4月に行った第1回募集では、生活支援サービス付き高齢者専用賃貸住宅約5000戸に補助を行ったという。
また、税制改正でも同住宅への優遇を要求した。これまで、高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)に行っていた所得税や法人税、固定資産税、不動産取得税の優遇措置の対象要件を拡充。サービス付き高齢者住宅供給促進の観点から、サービス提供の場となる食堂や浴室などの共同部分を加味した床面積要件とする。
前原国交相は以前から、「医住近接」の重要性に言及しており、こうした補助制度や税制優遇を通じて供給を促進したい考えだ。
環境配慮では、住宅エコポイントの延長・拡充がメーン。330億円を要求している。
住宅エコポイントは、09年度2次補正予算に基づく経済対策として3月にスタートした事業。7月末までに、100億円を超えるポイントが発行されている。現行では、12月末までの着工を期限としているが、これを1年間延長。11年12月末までとする。併せて、ポイント発行対象を拡充。現行制度で対象にしている環境に配慮した新築やリフォームと合わせて、高効率給湯器やソーラーシステムなど省エネ性能のある一定の住宅設備を設置する場合はポイントを付与する。なお、制度拡充は11年4月からになる見通し。
経済対策として始まった事業関連では、フラット35Sの優遇金利制度延長のためにも365億円を要求した。12月末までを申込期限に行っている、省エネ性や耐震性、バリアフリー性に優れた住宅を購入する場合、当初10年間のローン金利を1%引き下げる措置を11年度にも行う。11年1〜3月への措置は、9月10日に決定予定の追加経済対策で対応することなどが考えられる。
中古・リフォーム市場の拡大へは、中古流通やリフォームに併せて、瑕疵保険加入や履歴情報の整備を行う事業への補助などを盛り込んだ。今年度から同様の事業「既存住宅流通活性化等事業」がスタートしており、金額ベースで900億円超の応募があった。11年度は、予算面も考慮し、既存流通を伴うものを中心に補助する考えだ。
また、中古・リフォームに関する税制では、バリアフリー・省エネリフォーム工事費用の10%を所得税から控除する税制優遇の延長▽住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税軽減の延長——などが盛り込まれた。
そのほか、住宅政策関連では、木造の長期優良住宅の整備に対する助成や、住宅や建築物の耐震化への助成事業などを盛り込んでいる。
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長期優良マンション
技術力と普及への鍵
基準・消費者意識に特有の壁

戸建て住宅ではメリット浸透で売りに
国土交通省の調査によると、長期優良住宅の認定戸数は制度を開始した09年6月4日から10年7月末までの1年余で8万9578戸。毎月4000〜5000戸程度だった制度開始当初に対し、7月には9586戸を認定した。順調に増加を続けているように見えるが、認定を受けたほとんどが戸建て住宅。マンションなどは僅か2053戸、全認定住宅の2%程度に留まっている。
長期優良マンションを普及させるうえで大きな壁になるのが、長期優良仕様とするためのコストアップだ。そのコストアップへの捉え方が戸建て住宅とマンションで異なっている。
普及促進に向けて、業界からのヒアリングを行っている国交省は、「戸建て住宅では、ハウスメーカーも地域のビルダーも長期優良住宅を売りにしている。消費者にもメリットとの認識が広がっているようだ」と話す。加えて、注文住宅では施主、つまり住宅購入者が計画段階から入るため、長期仕様への提案が容易であることも要因の1つのようだ。一方、マンションは「市況が良くない現状、値段を抑えて売りたいという考えが強いと聞く」(国交省)
マンションは配管基準「厳しい」
また、長期優良住宅の認定基準にも違いがある。求めることは同じでも、戸建てとマンションではそのクリアの仕方が異なってくる。9項目(劣化対策・耐震性・維持管理、更新の容易性・可変性・バリアフリー性・省エネ性・居住環境・住戸面積・維持保全計画)からなる認定基準のうち、その1つが維持管理・更新の容易性。配管設備に関する基準だ。
基準では「構造躯体などに影響を与えることなく、配管の点検や補修などの維持管理を行うことができること」と「更新時の工事が軽減される措置」を要求。これをマンションで満たす場合は、〝共用〟配管を住戸外に設置することが必要だ。これはマンション特有の措置となっている。
共用配管を住戸外に設置するためには、例えば南側に設置する場合、北側からの配管は床下を通すことが必要。かつ、勾配をつけるための高さが求められる。必然的に階高の上昇に繋がり、コストアップに直結する。国交省へも、「配管の基準が厳しい」という声が特に多く寄せられているという。 
更に、維持管理・更新の容易性は販売現場でも、消費者の理解が得られにくい部分でもあるようだ。
「配管を更新しなければいけないのは30〜40年後の話。30〜40年後の更新のために、コストアップというのは、ユーザーにとって、現実的に受け入れにくい要素になっている」
初の長期優良認定マンション、ブランシエラ浦和を供給する長谷工コーポレーションの河村順二・執行役員はそう話す。
毎日の光熱費に還元される省エネ性や地震への備えとなる耐震性などと比べ、配管の老朽化対応に対する投資に理解を示す人は少ないようだ。
認定マンションが普及しない現状を踏まえ、国交省・成長戦略会議が5月にまとめた成長戦略では、普及促進に向け、基準の見直しを提言した。これを受けた国交省は見直しを検討。配管基準の緩和はその中の論点の1つになる見通しだ。
国交省は長期優良住宅の位置付けを「超ハイスペックではなく、標準住宅よりも少し高い水準のもの」と説明。基準見直しの検討では、「事業者にとって目指しやすく、参入しやすい形を模索していきたい」と話している。
情報共有と認定制度 そしてユーザーも
長期優良マンションの普及に向けては、供給業者などが消費者にそのメリットを上手に伝え、理解を促していくことが重要だ。また、国交省が模索する「事業者が目指しやすく、参入しやすい形」も鍵になってくるだろう。
更にここでもう1つ注目したいのが、認定基準にもなっている「維持保全計画」。この基準では、定期的な点検や補修の計画を策定することと、その履歴を残すことを求めている。これは、マンションに住む消費者自身が行っていかなければならないものだ。
「戸建て住宅に比べて、マンションはどうしても資産としての認識が薄くなる」
管理組合などが管理する共用部がある分、所有者が全てを管理する戸建てとでは差がでてしまうのではないかと。国交省はこうした部分も、標準より資産価値が高くなると期待される長期優良マンションが普及しない要因と見る。
長期優良住宅法の根本にあるのは、いいものを〝長く大切に使う〟という概念だ。自分の住むマンションに愛着がある。だから定期的な点検や補修、履歴情報の蓄積も行い、長く大切に使いたい。ひいては資産としても。そうした消費者の意識の広がりこそ、大きな鍵を握っているのかもしれない。

国交省予算&税制要望
国際競争力強化へ
都市再生事業に補助

「大都市の国際競争力強化」へは、国家戦略としての大都市圏戦略の策定などに向けて、2・48億円を要求した。また、戦略的プロジェクトへの支援として、61億円を要求。都市再生特別措置法の改正により、新たに設置予定の「特定都市再生緊急整備地域」(仮称)での都市拠点施設の整備などに補助を行う。
「特定都市再生緊急整備地域」(仮称)での都市整備へは税制優遇の創設も要望。同地域内で国土交通大臣の認定を受けて事業を行う事業者について、所得税や法人税、登録免許税などを優遇する。
併せて、都市再生特別措置法で指定される都市再生緊急整備地域内で、大臣の認定を受けて行う事業への税制優遇「都市再生促進税制」や、市町村が作成した都市再生整備計画の区域内で大臣の認定を受けて行う事業への税制優遇「まち再生促進税制」もそれぞれ延長・拡充を要望した。
民間の優良な都市開発事業に対する金融支援に向けては50億円を要求。特に調達が困難なミドルリスク資金などについて、民間都市開発推進機構を通じた貸付制度を創設する。
創設に当たっては、民都機構からのローンを受けても、事業を行う特定目的会社の利益に課税されないよう、民都機構を機関投資家に位置付けるよう税制改正要望も行っている。