読者コラム(2010. 3. 12号)

不動産コンサルティング技能登録とFP

 2010年(平成22年)2月9日号の5面に、神奈川県不動産コンサルティング協議会が横浜市内のホテルで不動産コンサルティング技能試験の合格祝賀会を開催したことが報道されていました。

 今年度のコンサルの神奈川県合格者は136名で、合格率は全国平均の54.1%を大きく引き離す69.4%と、大変華々しい実績です。しかも記事によると、この合格者のうち98名が同協議会の基礎教育研修を受講しているとのことで、実に72%もの合格者がこの研修を受けていることになります。

 そして、私もこの基礎教育研修を6年前に受講してコンサルに合格したクチなのですが、今でも強く印象に残っていることがあります。それは、等価交換における地主の取得専有面積の計算です。

 当時私は既にCFP®の資格を取得していたので、等価交換における地主の取得する専有面積といえばすなわち土地の評価額を使用しない計算方法。つまり「マンションの売上高を専有面積あたりの分譲単価で割って、ディベロッパーの必要とする床面積を算出し、残りの床面積を地主が取得する方式」だけしか勉強していませんでした。他の計算方式は存在すら知らなかったのです。

 ところが、当時のコンサルの基礎教育のテキストにはこの計算方式が一切載っていません。載っていたのはもっと単純な積算方式です。コンサルの世界で等価交換における地主の取得する専有面積といえば、土地価額とマンション建築費の合計額に占める土地価額の割合から算出される面積を指していました。当然コンサルの過去問も積算方式です。

 FPもコンサルも、単純にいえば業者と地主の間に入って合意調整する役割を期待されているはずですが、この立場の違いは衝撃的です。

 FPはどちらかといえば地主の利益を最大化させるというイメージですが、等価交換に関する限り、参考書に記載される計算は、明らかにディベロッパー有利の方式です。しかも、FP協会の公式テキストにはわざわざ、ディベロッパーの期待する利益が確保できなければ事業自体が成立しないので、普通はこの方式が採用される旨説明がなされています。

 これに対してコンサルは、どちらかというと実質ディベロッパー寄りというイメージがあったのですが、等価交換では明らかに地主寄りの立場をとっています。これは従来の不動産屋に近い発想です。研修を受けた当時、講師は鉄道系大手不動産業者の方だったと記憶していますが、この違いを質問したところ、地主の合意ができなければ事業は成立しないのだから、普通は積算方式の計算を用いるとの回答だったと記憶しています。FPとは発想がまるで逆なので、内心笑ってしまいました。

 立場が異なると、結論はこうも違うものかと、改めて認識させられた出来事でしたが、現在、この経験は現場で非常に役立っています。クライアントの立場に立ってものごとを考えるのはもちろん重要なのですが、さらにその交渉相手側の立場や理屈をも理解しておくことが、実は調整型の仕事にとって非常に大切なのだと、今改めて実感しています。
高橋満

高橋満

 高橋住宅センター株式会社常務取締役。マンション管理士 CFP
宅地建物取引主任者法定登録講習講師、法定実務講習講師等を歴任
神奈川県不動産コンサルティング協議会事業開発研究委員
『住宅ローンのことがわかる事典』(西東社)、『FP技能士2級攻略問題集』
(TFP出版)等 編集・執筆協力多数
http://www.tjc.jp