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(2008. 8. 12号)
〜子どもの足音や遊び声が「騒音」と見なされる時代が到来した〜
 
8月5・12日号の6面、“新刊紹介”コーナーの冒頭文です。
紹介されているのは、『2階で子どもを走らせるなっ!(橋本典久著)』。本そのものは未だ拝読させていただいていないのですが、サブタイトルに“近隣トラブルは「感情公害」”とある様に(また、紙面に紹介されている通り)、子どもの足音をはじめとした騒音などの近隣トラブルを考える一冊であるようです。

折しも、同じ号の連載“地域マネジメント学会”には、「子どもの遊ぶ権利と住環境の整備(上)」として明治大学名誉教授の野上修市氏による論文が寄せられていました。
野上名誉教授は、「子どもの権利条約」が、「子どもが休息し、余暇を持つ権利、年齢にふさわしい遊び・レクリエーション的活動を行う権利、文化的生活・芸術的活動に自由に参加する権利を保障している」ことを挙げながら、「しかし実態は、子どもが遊ぶ場所や時間、仲間を失い、またもっぱら家の中でひとりもしくは少数で遊ぶのが主流となっている」と、「子どもの遊ぶ権利」が疎外されていることを指摘しています。

私の住むコミュニティでも、
・ 赤ん坊の泣き声がうるさい
・ 子どもの足音がうるさい
・ 道路や駐車場で子どもが遊んで危ない
・ ボールが当たって車に傷が付いた
・ 注意したら悪態をつかれた
などといった“子どもの足音や遊び声を「騒音」と見なす声”が聞かれることがあります。 主に、子どものいない世帯から聞こえてくることが多いような気がしますが、一方で小さな子どもがいる子育て中のママたちにも、
・ 大きな子たちが公園を占領していて小さな子が遊べない
・ 放し飼いのペットが砂場に糞をしているので不衛生で子どもを遊ばせられない
などの主張があるようです。

話は少しそれますが、私は、ファイナンシャルプランナーとして個人事務所を経営するかたわら、社会体育の指導員として、小中学生を中心にカレコレ10年以上空手の指導をしています。
そんな中で子ども達に感じるのは、みんな素直で優しくとても良い子たちである反面、失敗すること、間違うこと、はみ出すことを極力避けようとする…言い換えるならば、未知のモノに挑戦してみる、試してみるなど、実際の体験から自分なりの答えを出すことをとても苦手としているということです。
それに、よく言われる体力低下。武道には、稽古の最初と最後に正座をして静かに目を閉じる“黙想”という短い時間がありますが、著しくバランス感覚が低いがゆえに、その最中に転んでしまった子を目の当たりにしたときは非常に驚きました。

しかし、これらのことは、決して彼らに責任がある訳ではないと私は思います。
小さな頃から遊ぶ場所を制限され、仮にわずかばかりの場所があったとしても、子ども達が感性のままに遊んでいれば、大人たちから「うるさいから」「迷惑だから」と叱られ、「危険だから」と遊びそのものを取り上げられる。
にもかかわらず、大人の商業主義にはしっかり取り込まれていて…画一的でお仕着せられたゲームでしか遊ぶことが許されない環境にあれば、子ども達だって、挑戦も、体験も、体力向上もできるはずがないですよね。

私は最近、保護者の方たちとの雑談の中で、
「親だ、先生だ、大人だと今はエラそうにしているけど、この子たちには無限の可能性がある。自分たちよりうんとエラくなる子だってたくさんいるはずだから、後でよくしてもらえるように今のうちに可愛がっておかなきゃね」
なんて冗談めいて言うことがよくあります。
我が子が高校生になり、大人になる時期がすぐそこに見えて来てから尚更感じるようになったと自己分析していますが、半分以上は本気です。
「可愛がっておく」には、教える・褒める・遊ぶだけでなく、「必要なときには叱ること」ももちろん入っていますけれど。

子どもは社会の宝であることをもう一度見つめ直し、社会が総力を挙げてこの宝を守り育てていくことを考えていくべきときに来ているような気がします。
この点で、街づくり、住まいづくりに求められる役割は大きいと思います。





佐藤名ゝ美

ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー。
生命保険会社、生損保代理店と通算9年の保険営業の現場を経て 2000年に独立。新聞・生活情報誌・ウェブサイトでの執筆や、行政・企業で の講演などにも精力的に取り組みながら、地元熊本に根差してFPコンサルティング活動を展開中。