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column_title (2008.3.11号)
地域コミュニティの創造


 シニアマンション、在宅支援網の整備着々の言葉は「地域貢献型の不動産活用」がこれからのキーワードとなることを予言するものであろう。

 日本は高齢化社会に突入し高齢者人口は急激に増加する、2008年はその序曲にすぎない。しかし、17年後には人口減少と超高齢化社会がやってくるが、団塊の世代が80代に突入し、団塊ジュニアが50代となり、団塊ジュニア・ジュニアが社会人となる時期である。団塊の世代の人口が急激に減少し、後期高齢者の比率が急激に減る時期を視野に入れた提案がなされているのか疑問である。

 現時点の賃貸住宅需要の絶対数では、若年層が多いことも事実である。核家族化が急速に進む中、賃貸需要のかさ上げがされているが、この効果も焼け石に水であろう。現在、高齢者専用、優先住宅の提案がされるケースが多く見受けられる。自立高齢者専用【高齢者入居可】というだけで、人的サービス・介護・ケアもない住宅、「要介護になったら退去」条件付きの施設等では高齢入居者にとって全く魅力がない。要介護高齢者専用、要介護専用施設はもはや「住宅」ではない。

 これからの賃貸住宅はソフト・ハード両面に相応の投資をしないと競争力の無いものになってしまう。少子高齢化の逆風に対する方策のひとつに高齢者住宅事業があるが、既存の事業形態はリスクも大きく、具体的な取り組みとなるとさまざまなジレンマがあり、決断の要素が難しい側面が存在する。

 高齢者専用住宅、家賃補助制度があったとしても、10年〜20年後に賃貸住宅はどうなるのだろうか。補助制度がなくなり、居住者の高齢化が進み、設備の老朽化が顕著となる事を予測するならリスクの高い事業だと言わざるを得ない。高齢者が増加するから高齢者の入居を推進する賃貸住宅を建てる、それだけで良いのだろうか?

 例えばいくら満室でも、老人ホームのように高額な入居一時金を預かったり、終身の利用権を設定したりしては、資産としては一般性・流動性を欠き、運用の幅を狭めてしまう。また、NPOがテナントとして高齢入居者を支援する、福祉長屋(コミュニティハイツ事業)のように、通常の賃貸マンション事業の形態を維持したまま、高齢者需要をプラスアルファできる“第3の選択肢”や、管理会社と地域NPOとのコラボレーションによるサービス提供ができる分譲住宅などの事業展開が可能であろう。

 まだまだ、器だけを作る有効活用提案がなされている、今、新発想が必要かも知れない。「施設ではなく、住宅で暮らす気楽さと、地域で支えあう安心感」という、地域とのコミュニケーション作りがこれからの住宅のキーワードとなりつつあるといえる。

 最後に高齢者が感じている、一般賃貸住宅と有料老人ホームに対する不安が不動産関連業者としての地域作り提案の原点であり生き残り策であると考える。

高齢者の不安要素
<一般賃貸住宅>
●孤独になりがち
●ついつい出不精になってしまう。
●賃貸住宅の高齢者入居は断られる場合が多い。
●ケガで動けなくなったら誰が助けてくれるか不安
●介護が必要になったらどうすれば良いかわからない。
<有料老人ホーム>
●高い入居一時金を払っているので気軽に退去できない。
●自室で食事できない。
●狭いので家具を全て持ち込めない。
●浴室が共同
●息子と一緒には住めない。
●団体行動が多い。


猪股 豊(いのまた ゆたか)

(株)資産承継研究所 代表取締役社長。コミュニティサポートコンソーシアム合同会社【不動産・信託事業統括リーダー】。NPO法人 日本コミュニティライフサポートセンター代表理事。京阪神マンション管理士会理事。不動産実践塾『いの塾』塾長。大阪市立大学法学部法律学科卒業、大阪府立大学経済学部経済研究科修了。資産承継コンサルティング業務、税理士補助業務、不動産調査業務、不動産管理顧問業務、マンションコンサルティング業務、マンション管理者派遣業務、信託業務を中心とした事業展開を行っている。金融機関、建築士会、不動産団体、建築関連企業主催研修会、セミナー講師として活躍。
主な著書に、住宅新報社『マンションの価値を上げる 管理の超実践読本』(共著)。夕刊フジコラム『買って良いのか!このマンション』、住宅新報社新聞『不動産FPセミナー』執筆。