国税庁は8月1日に平成19年度相続税路線価を発表した。全国平均で8.6%の上昇となっている。
地方では下落地点も多くなっており、大都市・地方都市・その他の三分極化が進んでいることが明確になっている。 相続税路線価は土地の相続評価に影響することから、都市部の資産家にとっては、たまったものではない。因みに、昨年は近畿圏の借家権割合が40%から30%に下げられた。大きくは取り上げられていないが、コソっとした増税である。貸家建付地(マンションの敷地)の評価が住宅地で76%から82%に6%も上昇したのである。しかも突然にである。
相続税路線価は約1年前の地価の動きを表している。昨年の後半から現在までの動きをみると、来年も上昇傾向であることが予想される。国税庁は15年間分の鬱憤を晴らすかのように、満を持して路線価の上昇に転じたと言える。この動きは、不動産の証券化に代表されるファンド等の投資と近年の都心回帰現象に現れている。
都心部におけるマンションの建築ラッシュが原因と考えられる。また、歯止めがかかったとは言え、この動きに便乗したバブル期を思い出させる動きがあったことも事実である。今後は、都心部の建物再生に伴う(スクラップ・アンド・ビルド)収益性向上の動きに影響されるであろう。
この相続税路線価の動きが、一般的で正常な個人の経済活動の動きを受けてのものではなく、投資家や企業誘導によるものであることを危惧する。
今は、土地の動きが土地政策外の企業活動の影響を受けつつあると言えるであろう。
しかし、路線価上昇について疑問を持つものはいないのであろうか。東京青山通りで46%、大阪御堂筋で40%の上昇となっているが、本当にこれで良いのだろうか。不動産鑑定評価基準も収益還元法を重視することとなったが、先の40%から46%の上昇は、本当に収益性を表す数字になっているのか。また、不動産の証券化や流動化が高層マンション建築にみられる企業誘導の地価上昇に追随しているのではないか。
この事は地方にも言えるが、都心部と地方により、相続税路線価設定基準に差異が必要ではないだろうか。路線価は全国平均で8.6%上昇したが、そこに住居を構える者達にとっては、地価の上昇を実感するものではない。地域の基盤整備が進み上昇しているのではないからである。今後も都心回帰現象が進むとすれば、ますます都心部の地価だけが上昇し、実勢と乖離した価格が付けられていくのであろう。それに引っ張られ相続税路線価のかさ上げがされていく。
都心部の土地については、区分所有・証券化所有による共有化でしか持ちこたえられなくなるであろう。証券化による価格上昇をこのまま放置して良いのだろうか。金利上昇等の経済変化により、不動産証券化事業が破綻した時、近い将来バブル再来の予感がする。今後の課題として、相続税路線価の評価基準に都心部・地方都市部・地方による差異を認め、収益と保有コストを組合わせた新しい考え方が必要であろう。
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