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column_title (2007. 8. 7号)
不動産コンサルティングと信託


2007年7月3日号に不動産コンサルティングに関する記事が掲載されました。
その中で少し触れられている新しい信託法と不動産コンサルティングについて、考えてみましょう。 

新しい信託法は昨年12月に第165回臨時国会で成立し、今年9月末頃の施行が予定されています。 これに先立ち平成16年に抜本的に改正された信託業法と、新しい信託法の制定に伴う信託業法の改正、平成19年度税制改正によって、信託に関連する法律等が整備されたといえます。

不動産コンサルティングとの関連で言えば、新しい信託法で高齢化社会の到来を背景に後見的な財産管理、遺産承継・事業継承などを目的とする信託に関する規定として設けられた「遺言代用の信託」や「後継ぎ遺贈型の受益権連続信託」など、いわゆる「家族信託」に注目しています。

「遺言代用の信託」とは、委託者が受託者に財産を信託して、委託者が生存中は委託者が受益者となり、委託者の死亡後にその子や配偶者を受益者とする信託で、自己の死亡後の財産分配を遺言ではなく信託で達成しようというものです。 また、「後継ぎ遺贈型の受益権連続信託」とは、例えば委託者が生前は自らを受益者として、「委託者の死後は配偶者を、配偶者の死後は長男を・・・」という形で連続して受益者を定めることができる信託です。

「家族信託」に関する規定が整備されたことで、個々の事情に合わせて、個人事業の継承や生存配偶者や子女の保障を実現するための手段として、信託の有用性が高まっています。

その他にも、不動産の管理を主たる目的とする「財産管理の不動産信託」、相続等により所有権者が分散して一体的な事業の継続に影響を及ぼすリスクを回避する「一元管理の不動産信託」、複数の地権者が一団の土地を信託し事業用定期借地として受託者が管理する「複数地権者に係る土地の信託」、一定の要件の下で複数の受益者が小口化された信託受益権を所有する「現物不動産への投資に代わる信託受益権への投資」など、不動産信託の組成や信託財産の運用・助言(※)などにも不動産コンサルティングのビジネスチャンスが拡がることでしょう。

(※) 信託財産に関する業務に限ります。信託受益権の運用・助言に関する業務は、9月に予定されている金融商品取引法の施行によって規制の対象となります。



米田 淳(こめだ あつし)

大丸ハウス株式会社代表取締役。きりう不動産信託株式会社顧問。大阪府不動産コンサルティング協会理事・教育研究部会長。大阪不動産コンサルティング事業協同組合理事。大阪府宅地建物取引業協会西成区支部副支部長。大阪大学基礎工学部物性物理工学科卒業。不動産コンサルティング業、不動産業、不動産賃貸業、建築業を中心とした事業展開を行っている。不動産信託等に関するセミナー講師として活躍。
主な著書に住宅新報社『不動産の信託』(共著)。「不動産コンサル再現問題集」(住宅新報社)解説文寄稿、住宅新報社『不動産FPセミナー』執筆・監修など。