不動産鑑定評価基準の改正に関する記事が、4月3日号(第3008号)に掲載されました。不動産の価格に関する鑑定評価の手法には、原価(同じものを作るならいくらかかるか)から考える原価法、取引事例を元に算定する取引事例比較法以外に、収益(儲け)から考える収益還元法があります。
収益還元法は、簡単に説明すると「所有していればこの位儲かるんだから、売るんだったらこの位の値段だ!」という発想です。従来は、「将来のことはわからないから、現在これだけ儲かるんだから今買うならこの位の価格だ。」という直接還元法という方法しかありませんでした。たとえば、あるビルを所有していると1年間に500万円儲かる(純収益がある)。この投資で5%の利回りを確保したいと考えると、500万円÷5%(0.05)=1億円となり、価格は1億円と算定されます。
しかし、バブル崩壊後にDCF法という手法が新たに加わりました。こちらは、投資期間を決めてトータルでどの位儲かるかを考える、というものです。たとえば、あるビルを購入し、7年間賃貸してから売却しようと考えます。7年間賃貸してどの位儲かるか、そして7年後売却してどの位儲かるか(又は損するか)ということを考えます。現金を不動産に投入してから処分して再び現金化するまでで結局どうなっているか、という発想です。そして、ここが重要なのですが、ビルを購入して投資した現金は、7年かけて回収します。この間にタイムラグがあるので、その分を考慮します。たとえば今ある1億円を7年間定期預金に預けておくと複利で増えるので、7年後には1億円よりは少し増えています。ということは、7年後の1億円は現在の価値では1億円より少ない、ということになります。将来のお金を複利を逆算するかたちで、今投資するお金と比較するようにします。
今回の不動産鑑定評価基準の改正は、投資目的の「証券化不動産」では収益価格を求める場合にはDCF法を適用しなければならない、とされました(直接還元法も適用して検証することが適切である、ともしています。)。証券化不動産とは、Jリート(不動産投資信託)が行う不動産取引と不動産特定共同事業にかかる不動産取引などが対象となります。鑑定評価に際しては、依頼者に建築物、設備、環境の専門家が行った対象不動産の況に関する報告書であるエンジニアリング・レポート(ER)の提出を求め、鑑定評価にその内容を反映させます。収益価格を求める際にも、運営収益と運営費用を元にした運営純収益をめ、さらに一時金の運用益等を算定して純収益を求める、とったように所定の収益費用項目に区分して評価書に記載しなければならない、とされています。これにより物件の比較が容易となります。
改正された不動産鑑定評価基準は、7月1日から施行されます。
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