|
私と住宅新報との出会いは宅建試験であった。受験したのがバブル景気も末期の平成2年、受験申込者が42万人を超え、試験問題は超難化し合格率も12.9%と非常に低い年であった。それ以前の問題とはレベルが全く異なり正確な情報を入手したかったのだが、当時はパソコンよりワープロ、パソコン通信はあったがインターネットって何?という時代だった。確か駅の売店で購入したのだが、正誤に自信がなかった問題も運よく正解し、通年の正解率でも十分合格できることを確認し安堵した記憶がある(ちなみに50問中26問という史上最低の正解でも合格でき、しかも1問没問があったという非常に特異な年であった)。
その後、取引主任者証記載の都知事も鈴木、青島、石原氏と代わり、以前は記載されていなかった住所も取引主任者証に記載するようになった。不動産会社にて専任の取引主任者として重要事項説明書面に記名押印していた関係上、自ずと住宅新報の読み方はプロとして真剣なものと変わっていった。
この経験を踏まえての読み方であるが、まずは「一般紙との違い」である。当然のことながら、毎日発行される一般紙は日々のニュースを中心にオールジャンルの事柄を扱う。それに対し住宅新報のような業界紙は、それぞれの業界に特化した内容をより深く取り上げて記事にする。たとえば、12月19日号(第2994号)は1面のトップ記事が「与党税制改正大綱まとまる」である。一般紙には様々な税制改正が網羅的に記事になっており、不動産関連では住宅ローン減税が選択性になるという改正がメインである。
しかし、住宅新報ではもちろん住宅ローン減税は大きく取り上げられているものの、バリアフリー改修の方が活字も大きく目玉として取り上げられている。バリアフリー改修は、リフォームという日本もスクラップ&ビルド型の建築需要からの転換から新たなビジネスチャンスという側面と、団塊の世代を見込んだシルバービジネスの開拓という両面からのアプローチが可能となる、不動産業界にとって重要な改正である。これは、一般紙と比較して見ることでわかる大きな違いである。業界紙は、同じ事柄でも業界の目から見た独特の切り口がある。「視点を変えるプラスアルファ」として住宅新報を読んでいただきたい。
また住宅新報を購読することで、一般紙では余り取り上げられていないが極めて重大な問題についても、今後の方向性を踏まえた動向も含めて情報を入手することができる。その典型が「中間省略登記」である。詳細は別の機会に譲るが、建売住宅販売をメインとする不動産業者は地主さんから土地を仕入れて、建物を建ててマイホーム購入希望者に分譲する。理屈からいえば土地の持主(所有者)は、地主さん→不動産業者→マイホーム購入希望者という順なる。不動産業者はこの通り登記をすると、登録免許税や不動産取得税を納税しなければならない。最初から転売するのが目的なのであるから、登記は地主さんからマイホーム購入希望者へ直接移転し、不動産業者への登記をショートカット(中間省略)する、これが中間省略登記である。不動産登記法が平成17年に全文改正されたが、それ以前は最高裁の判例で中間省略登記は認められていた。ところが法改正により中間省略登記を認めない方向にシフトしつつあった。
しかし、これは最終的には末端のエンドユーザー(ここではマイホーム購入希望者)の負担を増加させることになるので、不動産業界を挙げて反対していた。ここら辺りの事情についても多くの不動産取引に影響するに関わらず、一般紙ではほとんど取り上げられていなかった。しかし、住宅新報では事細かに流れを追って記事として取り上げていた。「実質的解決へ」ということなので、詳細は12月19日号(第2994号)をご覧頂きたい。
最後に、これから住宅新報を購読してみようという方にアドバイス。不動産業界の方は、住宅新報は購読していて当たり前です。この業界の経験が浅い方は、記事をネタにベテラン社員にどんどん質問してください。不動産業界以外の方も、先ほどのバリアフリーが団塊の世代や老後の問題につながるように、不動産は他業種に必ずリンクします。会社に稟議を上げて購読してください。そして個人で購読してみようと考えている方へ。不動産は自宅(マイホーム)をどうするのかという問題と、投資の対象(ワンルームマンション・アパート経営やリートのような不動産証券化商品)として考える2つの側面があります。日本は不動産に対する信頼が世界的に見ても非常に高い国です。今、でなくともいつか必ず役立つときが来ます。是非、購読してみてください。
|